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2021.10.29

【展望】大学駅伝女王の座をつかむのは?名城大が5連覇に挑戦、大東大、日体大、立命大が追う/全日本大学女子駅伝
【展望】大学駅伝女王の座をつかむのは?名城大が5連覇に挑戦、大東大、日体大、立命大が追う/全日本大学女子駅伝

第39回全日本大学女子駅伝対校選手権大会は、10月31日(日)に宮城県仙台市の弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)をスタート、仙台市役所前市民広場をフィニッシュとする6区間38.1㎞のコースで開催される。

前回8位までに入ったシード校と、各地区予選を突破した17校、さらにオープン参加の東北学連選抜チームを加えた全26チームが出場し、「杜の都」を舞台に熱戦を繰り広げる大学女子駅伝の日本一決定戦。その優勝争い、シード争いを各校の戦力や今季の大会結果などをもとに、レースの模様を展望する。

史上2校目の大偉業に挑む女王・名城大

優勝争いの中心は、今年も名城大になるだろう。4連覇中の「駅伝女王」が挑むのは、立命大(2011年~15年)だけが成し遂げたことがある5連覇の偉業だ。

4連覇のすべてに最長9.2kmの5区で貢献してきた加世田梨花(現・ダイハツ)がこの春に卒業したが、前回メンバーから抜けたのはその加世田だけ。分厚い選手層は今年も健在だ。

米田勝朗監督が選手たちに課したテーマは、「前回の自分たちが作った大会記録(2時間2分57秒)を超える」こと。いかに自分たちの力を出し切ることに集中するか。それが、他校に付け入る隙を与えない継走へとつながるということだ。

その軸となるのが、10000m学生記録(31分22秒34)保持者の小林成美(3年)と、主将の和田有菜、副主将の高松智美ムセンビの4年生コンビ。来年の世界選手権の参加標準記録(31分25秒00)を突破し、今や学生女子長距離界を代表するランナーとなった小林、そして入学以来、年末の全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)との駅伝2冠を撮り続けてきた和田と高松の三枚看板は、超強力だ。

その脇を固めるメンバーも前々回4区区間賞、前回2区2位の山本有真(3年)や、前回4区区間賞の増渕佑香(2年)、5000mで15分44秒13を持つ荒井優奈(3年)ら実績のある選手に加え、谷本七星や五味叶花といった1年生も台頭してきた。最終調整の場だった10月17日の諫早ナイター5000mでは、山本の15分33秒45を筆頭に、高松、和田、小林が15分50秒台、1年生コンビも16分10秒前後にまとめている。

順当にいけば5区は小林。序盤に和田、高松、山本ら当日に調子のいいメンバーが配置できれば、どの区間からでも攻めることができるだろう。中盤に1年生を抜擢できるようなら、来年以降も見据える盤石のオーダーと言える。

年々厳しさを増すチーム内競争が選手個々の意識を高め、それがチーム力アップへとつながってきた。長距離区間からスピード区間まで、全方位で対応できる名城大に、今年も死角は見当たらない。

大東大、日体大、立命大が「打倒・名城」に燃える

金字塔に向けて揺るぎない名城大を追うのは、前回2~4位を占めた大東大、日体大、立命大だろう。それぞれのストロングポイントを発揮できれば、頂点へのチャンスはある。
2013年以降の8大会で準優勝7回の大東大は、おそらく5区で待つエースで主将、文字通りの大黒柱である鈴木優花(4年)に、どんな位置でタスキを渡せるかが最大のポイントだ。

1年時から2区、3区、6区で区間賞を獲得してきた鈴木。春先に左脚脛骨を疲労骨折したが、日本インカレ10000mで大会新(32分04秒58)優勝を飾るなど復調した。名城大を追う展開が予想されるが、背中がしっかりと視界に入る位置であれば逆転の芽があるか。

そのためには、3000m障害で2年前のドーハ世界選手権に出場、今年の日本インカレでは学生記録(9分41秒43)をマークした吉村玲美(3年)の力走が欠かせない。同じ3年生の山賀瑞穂や今井彩月、エントリー10名中半分を占める1年生が、吉村と鈴木の間をしっかりとつなげば、悲願の初優勝が見えてくる。

後半勝負の大東大に対して、序盤の先行力で秀でるのが日体大と立命大だ。

日体大は前回3位のメンバーが、2区区間賞だった保坂晴子(2年)をはじめ全員が残り、1年間の上積みができた。そこに、2年前のインターハイ1500mで日本人トップ(4位)、3年連続で全国高校駅伝出場の実績がある1年生・山崎りさが加わり、さらに充実の戦力を誇る。

保坂や山崎を前半区間に配置すれば、名城大を相手にしても優位にレースを進めることができるだろう。つなぎ区間を含めて5区をしのげるだけのリードを作れるかどうかが、こちらも初優勝へのポイントとなるか。

立命大は前回4位と、03年から守り続けてきたトップスリーの座から陥落。だが、その第一歩となる9月の関西学生女子駅伝を5年ぶりに制し、しっかりと立て直してきた。

前回1区区間賞の飛田凜香(3年)が、日本インカレ10000mで2位とエース格に成長。小林朝(2年)、村松灯、中地こころ(ともに1年)といった下級生も元気だ。日体大と同様に5区までにより先行できるオーダーが想定されるが、そのリード次第では6年ぶりの女王の座奪還が視野に入ってくる。

このほか、シード争いは優勝経験のある松山大、関大や大阪学大、大阪芸大といった関西勢、筑波大や拓大ら関東勢を中心に激戦の予感。

この中では4年連続シードを目指す松山大が、5000m15分台を持つ小松優衣(3年)や日本インカレ3000m障害3位の西山未奈美(4年)ら上級生を軸に一歩リードか。

注目は日本インカレ5000m優勝をはじめトラックで大活躍のスーパールーキー・不破聖衣来を擁する前回9位の拓大。4年連続出場で初のシード権獲得に向けて、目標は「5位」に置いている。

秋深まる杜の都で、各区間で白熱のレースが繰り広げられるだろう。

第39回全日本大学女子駅伝出場チーム

■シード校
名 城 大 23年連続23回目
大 東 大 11年連続11回目
日 体 大 10年連続33回目
立 命 大 32年連続32回目
関  大 14年連続14回目
大阪学大 13年連続28回目
城 西 大 27年連続28回目
松 山 大 14年連続14回目
■北海道
札幌国際大 5年連続5回目
■東 北
東北福祉大 15年連続19回目
石巻専修大 2年ぶり5回目
■関 東
筑 波 大 7年ぶり25回目
拓  大 4年連続4回目
順  大 2年連続28回目
中  大 3年連続30回目
■北信越
新潟医療福祉大 10年連続10回目
■東 海
中京学大 3年連続3回目
中 京 大 3年ぶり35回目
■関 西
大阪芸大 6年連続9回目
佛 教 大 4年連続20回目
関西外大 2年連続7回目
兵 庫 大 2年ぶり2回目
■中国四国
環太平洋大 3年連続4回目
■九 州
福 岡 大 12年連続33回目
鹿屋体大 2年連続17回目
<オープン>
東北学連選抜

第39回全日本大学女子駅伝対校選手権大会は、10月31日(日)に宮城県仙台市の弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)をスタート、仙台市役所前市民広場をフィニッシュとする6区間38.1㎞のコースで開催される。 前回8位までに入ったシード校と、各地区予選を突破した17校、さらにオープン参加の東北学連選抜チームを加えた全26チームが出場し、「杜の都」を舞台に熱戦を繰り広げる大学女子駅伝の日本一決定戦。その優勝争い、シード争いを各校の戦力や今季の大会結果などをもとに、レースの模様を展望する。

史上2校目の大偉業に挑む女王・名城大

優勝争いの中心は、今年も名城大になるだろう。4連覇中の「駅伝女王」が挑むのは、立命大(2011年~15年)だけが成し遂げたことがある5連覇の偉業だ。 4連覇のすべてに最長9.2kmの5区で貢献してきた加世田梨花(現・ダイハツ)がこの春に卒業したが、前回メンバーから抜けたのはその加世田だけ。分厚い選手層は今年も健在だ。 米田勝朗監督が選手たちに課したテーマは、「前回の自分たちが作った大会記録(2時間2分57秒)を超える」こと。いかに自分たちの力を出し切ることに集中するか。それが、他校に付け入る隙を与えない継走へとつながるということだ。 その軸となるのが、10000m学生記録(31分22秒34)保持者の小林成美(3年)と、主将の和田有菜、副主将の高松智美ムセンビの4年生コンビ。来年の世界選手権の参加標準記録(31分25秒00)を突破し、今や学生女子長距離界を代表するランナーとなった小林、そして入学以来、年末の全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)との駅伝2冠を撮り続けてきた和田と高松の三枚看板は、超強力だ。 その脇を固めるメンバーも前々回4区区間賞、前回2区2位の山本有真(3年)や、前回4区区間賞の増渕佑香(2年)、5000mで15分44秒13を持つ荒井優奈(3年)ら実績のある選手に加え、谷本七星や五味叶花といった1年生も台頭してきた。最終調整の場だった10月17日の諫早ナイター5000mでは、山本の15分33秒45を筆頭に、高松、和田、小林が15分50秒台、1年生コンビも16分10秒前後にまとめている。 順当にいけば5区は小林。序盤に和田、高松、山本ら当日に調子のいいメンバーが配置できれば、どの区間からでも攻めることができるだろう。中盤に1年生を抜擢できるようなら、来年以降も見据える盤石のオーダーと言える。 年々厳しさを増すチーム内競争が選手個々の意識を高め、それがチーム力アップへとつながってきた。長距離区間からスピード区間まで、全方位で対応できる名城大に、今年も死角は見当たらない。

大東大、日体大、立命大が「打倒・名城」に燃える

金字塔に向けて揺るぎない名城大を追うのは、前回2~4位を占めた大東大、日体大、立命大だろう。それぞれのストロングポイントを発揮できれば、頂点へのチャンスはある。 2013年以降の8大会で準優勝7回の大東大は、おそらく5区で待つエースで主将、文字通りの大黒柱である鈴木優花(4年)に、どんな位置でタスキを渡せるかが最大のポイントだ。 1年時から2区、3区、6区で区間賞を獲得してきた鈴木。春先に左脚脛骨を疲労骨折したが、日本インカレ10000mで大会新(32分04秒58)優勝を飾るなど復調した。名城大を追う展開が予想されるが、背中がしっかりと視界に入る位置であれば逆転の芽があるか。 そのためには、3000m障害で2年前のドーハ世界選手権に出場、今年の日本インカレでは学生記録(9分41秒43)をマークした吉村玲美(3年)の力走が欠かせない。同じ3年生の山賀瑞穂や今井彩月、エントリー10名中半分を占める1年生が、吉村と鈴木の間をしっかりとつなげば、悲願の初優勝が見えてくる。 後半勝負の大東大に対して、序盤の先行力で秀でるのが日体大と立命大だ。 日体大は前回3位のメンバーが、2区区間賞だった保坂晴子(2年)をはじめ全員が残り、1年間の上積みができた。そこに、2年前のインターハイ1500mで日本人トップ(4位)、3年連続で全国高校駅伝出場の実績がある1年生・山崎りさが加わり、さらに充実の戦力を誇る。 保坂や山崎を前半区間に配置すれば、名城大を相手にしても優位にレースを進めることができるだろう。つなぎ区間を含めて5区をしのげるだけのリードを作れるかどうかが、こちらも初優勝へのポイントとなるか。 立命大は前回4位と、03年から守り続けてきたトップスリーの座から陥落。だが、その第一歩となる9月の関西学生女子駅伝を5年ぶりに制し、しっかりと立て直してきた。 前回1区区間賞の飛田凜香(3年)が、日本インカレ10000mで2位とエース格に成長。小林朝(2年)、村松灯、中地こころ(ともに1年)といった下級生も元気だ。日体大と同様に5区までにより先行できるオーダーが想定されるが、そのリード次第では6年ぶりの女王の座奪還が視野に入ってくる。 このほか、シード争いは優勝経験のある松山大、関大や大阪学大、大阪芸大といった関西勢、筑波大や拓大ら関東勢を中心に激戦の予感。 この中では4年連続シードを目指す松山大が、5000m15分台を持つ小松優衣(3年)や日本インカレ3000m障害3位の西山未奈美(4年)ら上級生を軸に一歩リードか。 注目は日本インカレ5000m優勝をはじめトラックで大活躍のスーパールーキー・不破聖衣来を擁する前回9位の拓大。4年連続出場で初のシード権獲得に向けて、目標は「5位」に置いている。 秋深まる杜の都で、各区間で白熱のレースが繰り広げられるだろう。 第39回全日本大学女子駅伝出場チーム ■シード校 名 城 大 23年連続23回目 大 東 大 11年連続11回目 日 体 大 10年連続33回目 立 命 大 32年連続32回目 関  大 14年連続14回目 大阪学大 13年連続28回目 城 西 大 27年連続28回目 松 山 大 14年連続14回目 ■北海道 札幌国際大 5年連続5回目 ■東 北 東北福祉大 15年連続19回目 石巻専修大 2年ぶり5回目 ■関 東 筑 波 大 7年ぶり25回目 拓  大 4年連続4回目 順  大 2年連続28回目 中  大 3年連続30回目 ■北信越 新潟医療福祉大 10年連続10回目 ■東 海 中京学大 3年連続3回目 中 京 大 3年ぶり35回目 ■関 西 大阪芸大 6年連続9回目 佛 教 大 4年連続20回目 関西外大 2年連続7回目 兵 庫 大 2年ぶり2回目 ■中国四国 環太平洋大 3年連続4回目 ■九 州 福 岡 大 12年連続33回目 鹿屋体大 2年連続17回目 <オープン> 東北学連選抜

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