2021.09.24
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第113回「TOKYO 2020の喜劇」(小川雅生)
つわものたちが夢のあと…
2ヵ月前の昨日、東京五輪の開会式が行われたのかと思うと、月日が経つのは本当に早いものです。年をとると余計にそう思ってしまうのですが……。先日、私が編集部に入ってまる20年となりました。年取ったわけだわ(苦笑)。
今回は、2ヵ月経っても昨日のことのように思い出す東京五輪で、本誌には書けなかった裏話を少々。ちなみに札幌のすったもんだは、すでにこちらでばらしたヤツがいるので、それ以外の〝ネタ〟をご紹介したいと思います。
●勝負ポイントは「午前10時」
東京五輪の朝は早い! 国立競技場で行われた9日間のうち、7日は午前9時~9時10分に競技開始。後半3日間は5時半(男子50㎞競歩)、6時(女子マラソン)、7時(男子マラソン)とさらに早く、締め切りも重なって後半3日間はほぼ起きてました(笑)。
とはいえ、後半3日間はレース中はほぼテレビで状況をチェックしていたので、涼しい場所にいることができました。
しかし、7日目までは国立競技場の記者席での取材。連日の酷暑にいかに耐えるかが、大きな課題でした。初日から凍ったスポーツドリンクなど水分はしっかりと確保して臨みましたが、飲んだそばから汗となって吹き出します。選手の取材でミックスゾーンに下りる時が、実は涼みに行けるタイミング。ミックスゾーンも決して涼しくはないのですが(ボランティアの人たちは『暑い、暑い』と言っていました)、スタンドと比べれば天国のような場所。ここで、選手たちの力強いコメントなどで英気を養い、再びスタンドへと戻るのです。
ただ、この暑さとの戦いにもポイントがあります。それが「午前10時」。メインスタンドにかかる影が、ちょうどこの時に記者席のあるところまで下りてきてくれるのです。日差しを直接受けないだけで、全然違いますよね。毎日、この時間になるのが待ち遠しくて待ち遠しくて……日陰になったら「よっしゃ、今日も勝った」などとつぶやいていました。
それにしても、コンビニの凍らせたスポーツドリンクには本当にお世話になりました。初日に気がついて良かった(汗)。
●寒さとの戦い
これは、国際大会取材のあるあるです。日本だからといって、それは変わりません。とにかく、プレスのワーキングルームは冷房がガンガン効いているので、めちゃくちゃ寒い! スタンドとの気温差がすごいので、長袖が必須。熱々のコーヒーが美味いのなんの。
場所取りも欠かせません。空調の吹き出し口近くに座ると、風が直接当たってさらに凍えます。朝は比較的空いているので、1日の取材は天井をチェックしながら席を選ぶところから始まっていました。
●ディナーは「焼きそば」と「ほうれん草」
取材は体力勝負なので、しっかり食べることも仕事の1つ(?)。なのですが、締め切りに間に合わせるためには1分1秒でも惜しいタイミングがあります。なので、夜は競技開始前に簡単に済ませることがほとんどでした。
国立競技場のすぐ近くにあるコンビニで買い込むことも多かったのですが、もっとも利用したのはスタンドの売店。私、スタジアムの売店って結構好きで、なかでも焼きそばをよく食べます。いろんなスタジアムの焼きそばを食べてきたので、そのうちランキングでもつけようか……などと冗談半分に話しているほど、結構お世話になっています。今回は1週間で3回も。
ただ、それだけでは栄養が偏るので、野菜不足解消のために妻に持たされたものが乾燥野菜の「ほうれん草」。コンビニで豚汁や具沢山味噌汁を買い、このほうれん草を足して飲む。これで、野菜はバッチリ!
そして、これにおにぎりをつければ焼きそば定食の完成!! なのですが、さすがにそれは食べ過ぎと思って、1回しかやっていません。え? やってるやん? 関西人としては、焼きそばとごはんと味噌汁はセットなもので。
●国立からの札幌、からの国立
ロード種目が札幌の移転したことで、大会終盤の取材スケジュールには頭を悩ませました。そこで出した結論が、陸上7日目(8月5日)の午前セッションを終えて札幌の移動し、男子20㎞競歩を取材。さらに翌日の男子50㎞競歩を取材したあと、国立競技場に戻って来るという、約26時間の弾丸ツアーでした。女子20㎞競歩、男女マラソンは各所にコメントの提供をお願いして、レースはテレビでチェックすることで何とかカバーしました。
東京も暑かったのですが、札幌も暑かった! 男子20㎞競歩ではあんなこともありましたし、テイクアウトしようと思った札幌駅地下街の回転寿司屋がタッチの差で8時を過ぎて閉店。男子50㎞競歩ではプレスセンター内に缶の飲み物を持ち込みができず、近くのコンビニで買ったエナジードリンクを一気飲み。
札幌からの東京では、やっぱり東京のほうが暑かった! 毎日通った外苑前駅から国立競技場への道のりが、いつも以上に遠く感じたのは気のせいではないんです……きっと。
◇ ◇ ◇
こうして振り返ってみると、とにかく取材をし、記事を書き、ページを作り続けた10日間だったので、それ以外の記憶がほとんどないです(笑)。いつもなら、全競技が終わったら仲間内で記念撮影をしたり、トラックに下りてみたりして、〝つわものたちの夢のあと〟的に余韻に浸ることが多いのですが、最終日には男子マラソンが控えていましたし、「締め切りまであと15時間……」なんてことばかり考えてながら、編集部にスタスタ帰りました。
でも、記念に国立競技場の写真だけは撮りました。テレビ局ブースの隣なので、見覚えのある景色かもしれませんね。
開催前も、開催中も、本当にさまざまなことが起こりましたが、2021年夏に「TOKYO 2020」が開催されたという事実を、それだけで終わらせてはいけないと思っています。日本陸上界だけでなく日本のスポーツ界全体が、この夏をきっかけにさらに発展していけるようにならなければなりません。
大会前は、盛んに「レガシー」という言葉が使われていました。コロナ禍ということも含め、あらゆる角度からこの大会を検証し、歴史に残すこともその1つ。すでに、多くの選手たちが新たなスタートを切っています。我々も、動き出さなといけません。五輪の余韻が消えないうちに。
小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、44歳。173cm、67kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成し、自己新を出した尿酸値もドーピングにより改善。来季は現状を安定させることが目標。 |
編集部コラム第112回「点と点のつながり」(船越)
編集部コラム第111回「裏方あっての表舞台」(松永)
編集部コラム第110回「2020東京五輪優勝記録ランキング」(大久保)
編集部コラム第109回「月陸の歴史も切り開いた田中選手」(井上)
編集部コラム第108回「特別な存在」(山本)
編集部コラム第107回「オリンピックの価値」(向永)
編集部コラム第106回「どうしても気になるどうでもいいこと」(船越)
編集部コラム第105回「東京五輪ついに開幕!!!」(小川)
編集部コラム第104回「オリンピックの思い出とインターハイ」(松永)
編集部コラム第103回「五輪メダリストのトリビア」(大久保)
編集部コラム第102回「あたたかい目」(井上)
編集部コラム第101回「4年サイクル」(山本)
編集部コラム第100回「誰がために月陸はある」(向永)
編集部コラム第99回「『9』秒台」(小川)
編集部コラム第98回「いいわけ」(船越)
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編集部コラム第96回「追い風最高記録」(大久保)
編集部コラム第95回「競技会に必要なもの」(井上)
編集部コラム第94回「メンタルトレーニング」(山本)
編集部コラム第93回「努力は報われた」(向永)
編集部コラム第92回「2年ぶりの織田記念」(小川)
編集部コラム第91回「エゴイスト」(船越)
編集部コラム第90回「あらためて100m10秒台ってすごいタイムですよね??」(松永)
編集部コラム第89回「学生競技会の華 大学対校戦!」(大久保)
編集部コラム第88回「U20世界選手権の上位候補をリサーチ!」(井上)
編集部コラム第87回「編集部コラム「郷土の応援」(山本)
編集部コラム第86回「あこがれの松田耕作記者」(向永)
編集部コラム第85回「スポーツのチカラ」(小川)
編集部コラム第84回「初心」(船越)
編集部コラム第83回「高校生にとってのインターハイ」(松永)
編集部コラム第82回「2020年世界リストTop10入り日本人選手」(大久保)
編集部コラム第81回「〝きっかけ〟の提供を」(井上)
編集部コラム第80回「一番アツい夏」(山本)
編集部コラム第79回「前向きな言葉という魔法」(向永)
編集部コラム第78回「自分なりの『答え』を探す」(小川)
編集部コラム第77回「カメラマンの箱根駅伝」(船越)
編集部コラム第76回「専門誌記者の箱根駅伝」(松永)
編集部コラム第75回「データで見る箱根駅伝当日エントリー変更」(大久保)
編集部コラム第74回「2020年を振り返って」(井上)
編集部コラム第73回「プレッシャーとの向き合い方」(山本)
編集部コラム第72回「陸上競技のイメージを変えたい」(向永)
編集部コラム第71回「2020年ラストスパート!!」(小川)
編集部コラム第70回「理不尽なこと」(船越)
編集部コラム第69回「這い上がる」(松永)
編集部コラム第68回「都道府県対抗 男子十種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第67回「都大路も高速レースの予感」(井上)
編集部コラム第66回「陸上競技を続けると……?」(山本)
編集部コラム第65回「強い選手の共通点?パート2」(向永)
編集部コラム第64回「2020年シーズンはまだこれから!!」(小川)
編集部コラム第63回「質と量」(船越)
編集部コラム第62回「たかが2cm、されど2cm」(松永)
編集部コラム第61回「都道府県対抗 女子七種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
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編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
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編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
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編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第113回「TOKYO 2020の喜劇」(小川雅生)
つわものたちが夢のあと… 2ヵ月前の昨日、東京五輪の開会式が行われたのかと思うと、月日が経つのは本当に早いものです。年をとると余計にそう思ってしまうのですが……。先日、私が編集部に入ってまる20年となりました。年取ったわけだわ(苦笑)。 今回は、2ヵ月経っても昨日のことのように思い出す東京五輪で、本誌には書けなかった裏話を少々。ちなみに札幌のすったもんだは、すでにこちらでばらしたヤツがいるので、それ以外の〝ネタ〟をご紹介したいと思います。●勝負ポイントは「午前10時」
東京五輪の朝は早い! 国立競技場で行われた9日間のうち、7日は午前9時~9時10分に競技開始。後半3日間は5時半(男子50㎞競歩)、6時(女子マラソン)、7時(男子マラソン)とさらに早く、締め切りも重なって後半3日間はほぼ起きてました(笑)。 とはいえ、後半3日間はレース中はほぼテレビで状況をチェックしていたので、涼しい場所にいることができました。 しかし、7日目までは国立競技場の記者席での取材。連日の酷暑にいかに耐えるかが、大きな課題でした。初日から凍ったスポーツドリンクなど水分はしっかりと確保して臨みましたが、飲んだそばから汗となって吹き出します。選手の取材でミックスゾーンに下りる時が、実は涼みに行けるタイミング。ミックスゾーンも決して涼しくはないのですが(ボランティアの人たちは『暑い、暑い』と言っていました)、スタンドと比べれば天国のような場所。ここで、選手たちの力強いコメントなどで英気を養い、再びスタンドへと戻るのです。 ただ、この暑さとの戦いにもポイントがあります。それが「午前10時」。メインスタンドにかかる影が、ちょうどこの時に記者席のあるところまで下りてきてくれるのです。日差しを直接受けないだけで、全然違いますよね。毎日、この時間になるのが待ち遠しくて待ち遠しくて……日陰になったら「よっしゃ、今日も勝った」などとつぶやいていました。 それにしても、コンビニの凍らせたスポーツドリンクには本当にお世話になりました。初日に気がついて良かった(汗)。●寒さとの戦い
これは、国際大会取材のあるあるです。日本だからといって、それは変わりません。とにかく、プレスのワーキングルームは冷房がガンガン効いているので、めちゃくちゃ寒い! スタンドとの気温差がすごいので、長袖が必須。熱々のコーヒーが美味いのなんの。 場所取りも欠かせません。空調の吹き出し口近くに座ると、風が直接当たってさらに凍えます。朝は比較的空いているので、1日の取材は天井をチェックしながら席を選ぶところから始まっていました。●ディナーは「焼きそば」と「ほうれん草」
取材は体力勝負なので、しっかり食べることも仕事の1つ(?)。なのですが、締め切りに間に合わせるためには1分1秒でも惜しいタイミングがあります。なので、夜は競技開始前に簡単に済ませることがほとんどでした。 国立競技場のすぐ近くにあるコンビニで買い込むことも多かったのですが、もっとも利用したのはスタンドの売店。私、スタジアムの売店って結構好きで、なかでも焼きそばをよく食べます。いろんなスタジアムの焼きそばを食べてきたので、そのうちランキングでもつけようか……などと冗談半分に話しているほど、結構お世話になっています。今回は1週間で3回も。 ただ、それだけでは栄養が偏るので、野菜不足解消のために妻に持たされたものが乾燥野菜の「ほうれん草」。コンビニで豚汁や具沢山味噌汁を買い、このほうれん草を足して飲む。これで、野菜はバッチリ! そして、これにおにぎりをつければ焼きそば定食の完成!! なのですが、さすがにそれは食べ過ぎと思って、1回しかやっていません。え? やってるやん? 関西人としては、焼きそばとごはんと味噌汁はセットなもので。●国立からの札幌、からの国立
ロード種目が札幌の移転したことで、大会終盤の取材スケジュールには頭を悩ませました。そこで出した結論が、陸上7日目(8月5日)の午前セッションを終えて札幌の移動し、男子20㎞競歩を取材。さらに翌日の男子50㎞競歩を取材したあと、国立競技場に戻って来るという、約26時間の弾丸ツアーでした。女子20㎞競歩、男女マラソンは各所にコメントの提供をお願いして、レースはテレビでチェックすることで何とかカバーしました。 東京も暑かったのですが、札幌も暑かった! 男子20㎞競歩ではあんなこともありましたし、テイクアウトしようと思った札幌駅地下街の回転寿司屋がタッチの差で8時を過ぎて閉店。男子50㎞競歩ではプレスセンター内に缶の飲み物を持ち込みができず、近くのコンビニで買ったエナジードリンクを一気飲み。 札幌からの東京では、やっぱり東京のほうが暑かった! 毎日通った外苑前駅から国立競技場への道のりが、いつも以上に遠く感じたのは気のせいではないんです……きっと。◇ ◇ ◇
こうして振り返ってみると、とにかく取材をし、記事を書き、ページを作り続けた10日間だったので、それ以外の記憶がほとんどないです(笑)。いつもなら、全競技が終わったら仲間内で記念撮影をしたり、トラックに下りてみたりして、〝つわものたちの夢のあと〟的に余韻に浸ることが多いのですが、最終日には男子マラソンが控えていましたし、「締め切りまであと15時間……」なんてことばかり考えてながら、編集部にスタスタ帰りました。 でも、記念に国立競技場の写真だけは撮りました。テレビ局ブースの隣なので、見覚えのある景色かもしれませんね。 開催前も、開催中も、本当にさまざまなことが起こりましたが、2021年夏に「TOKYO 2020」が開催されたという事実を、それだけで終わらせてはいけないと思っています。日本陸上界だけでなく日本のスポーツ界全体が、この夏をきっかけにさらに発展していけるようにならなければなりません。 大会前は、盛んに「レガシー」という言葉が使われていました。コロナ禍ということも含め、あらゆる角度からこの大会を検証し、歴史に残すこともその1つ。すでに、多くの選手たちが新たなスタートを切っています。我々も、動き出さなといけません。五輪の余韻が消えないうちに。小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、44歳。173cm、67kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成し、自己新を出した尿酸値もドーピングにより改善。来季は現状を安定させることが目標。 |
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