HOME 東京五輪、日本代表、五輪
19歳の三浦龍司がまたも快挙!3000m障害日本人初入賞「正直悔しい」21年ぶりトラック種目入賞
19歳の三浦龍司がまたも快挙!3000m障害日本人初入賞「正直悔しい」21年ぶりトラック種目入賞


写真/時事
◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技4日目

雨上がりのトラックで日本の若き才能が世界に立ち向かった。男子3000m障害の三浦龍司(順大)だ。

予選で8分09秒92の日本記録を樹立して、1972年ミュンヘン五輪の小山隆治以来、49年ぶりに予選を突破した三浦。決勝はスローペースになり、最初の水濠を跳び越えた後に三浦が先頭に立つ。1000mを2分50秒04で通過。その後はエチオピア勢が前に出て、三浦は4~5番目に後退。2000mはトップが5分35秒66で通過した。

残り2周で5人が抜け出し、残り1周で三浦は10番目。最後の水濠を越えた時は9番目だったが、持ち味のスパート力を世界の舞台で発揮する。2人をかわして最終的には7位(8分16秒90)に食い込んだ。

「オリンピックの舞台で決勝をしっかり走るという目標はクリアできました。入賞もできたんですけど、正直悔しい気持ちもあります」

世界大会特有のペースチェンジに戸惑っただけでなく、集団の中では踏み切りのタイミングがなかなか合わなかったという。それでも三浦はしっかりと結果を残した。

小山隆治の過去最高9位を上回り、日本人初入賞の快挙を達成。トラックの個人種目での入賞は2000年シドニー大会10000m7位高岡寿成以来21年ぶりとなる。

ラストで順位を上げるのはこれまでの日本人選手にはなかなか見られなかったもの。歴史を塗り替える快走劇だったと言ってもいいだろう。

島根県浜田市出身。小学校の頃からクラブチーム「浜田ジュニア陸上競技教室」に通い始めた。80mハードルにも挑戦し、ハードリングの基礎を身につけた。決勝のレース後、飛躍の秘訣を聞かれ、「高校で基礎を作っていただいて、大学でつなげられている」と話した三浦。浜田東中から京都の名門・洛南高に進学し、奥村隆太郎先生の指導により走力がアップし、「3000m障害の申し子」とまで言われた才能をさらに磨いた。

高3時で高校記録(櫛部静二、8分44秒77/1989年)を30年ぶりに更新し、昨年は37年ぶりのU20日本新(※従来=愛敬重之8分31秒27/1983年)、41年ぶりの日本学生新記録(※従来=新宅雅也8分25秒8/1979年)と、次々に歴史を塗り替えた。今年5月に8分17秒46と18年ぶり日本新(※従来=岩水嘉孝8分18秒93/2003年)、翌月の日本選手権では転倒しながらも8分15秒99と更新して五輪代表を勝ち取った。

障害のないフラットレースでも5000mはU20日本歴代2位の13分26秒78がベスト。これは今季の日本人学生トップ、日本ランキング2位だ。昨年の箱根駅伝予選会のハーフマラソンでは1時間01分41秒のU20日本最高記録(それまでの記録は大迫傑の1時間01分47秒)で日本人トップ。11月の全日本大学駅伝では1区9.5kmを区間新の27分07秒で1年生区間賞を獲得するなど、ロード、クロカンなどでも活躍。異彩を放っている。

「オリンピックでいっぱいいっぱい」だったが、このあとは「駅伝」にシフト。「チームとして駅伝をやっていくので、切り替えたい」と三浦は、秋に向けて「1人の学生ランナー」に戻って順大の仲間たちと戦う。

「東京五輪は自分にとって大切な経験になったと思います。3年後のパリ五輪では今回の7位を上回り、自分が納得できる走りをしたいと思います。サンショーは自分の個性を出せる唯一の種目。自分の持っている力を出し切るまで向き合っていきたい」

19歳の三浦はまだまだ「先」を見つめている。今度はどんな景色を見せるのだろうか。

写真/時事 ◇東京五輪(7月30日~8月8日/国立競技場)陸上競技4日目 雨上がりのトラックで日本の若き才能が世界に立ち向かった。男子3000m障害の三浦龍司(順大)だ。 予選で8分09秒92の日本記録を樹立して、1972年ミュンヘン五輪の小山隆治以来、49年ぶりに予選を突破した三浦。決勝はスローペースになり、最初の水濠を跳び越えた後に三浦が先頭に立つ。1000mを2分50秒04で通過。その後はエチオピア勢が前に出て、三浦は4~5番目に後退。2000mはトップが5分35秒66で通過した。 残り2周で5人が抜け出し、残り1周で三浦は10番目。最後の水濠を越えた時は9番目だったが、持ち味のスパート力を世界の舞台で発揮する。2人をかわして最終的には7位(8分16秒90)に食い込んだ。 「オリンピックの舞台で決勝をしっかり走るという目標はクリアできました。入賞もできたんですけど、正直悔しい気持ちもあります」 世界大会特有のペースチェンジに戸惑っただけでなく、集団の中では踏み切りのタイミングがなかなか合わなかったという。それでも三浦はしっかりと結果を残した。 小山隆治の過去最高9位を上回り、日本人初入賞の快挙を達成。トラックの個人種目での入賞は2000年シドニー大会10000m7位高岡寿成以来21年ぶりとなる。 ラストで順位を上げるのはこれまでの日本人選手にはなかなか見られなかったもの。歴史を塗り替える快走劇だったと言ってもいいだろう。 島根県浜田市出身。小学校の頃からクラブチーム「浜田ジュニア陸上競技教室」に通い始めた。80mハードルにも挑戦し、ハードリングの基礎を身につけた。決勝のレース後、飛躍の秘訣を聞かれ、「高校で基礎を作っていただいて、大学でつなげられている」と話した三浦。浜田東中から京都の名門・洛南高に進学し、奥村隆太郎先生の指導により走力がアップし、「3000m障害の申し子」とまで言われた才能をさらに磨いた。 高3時で高校記録(櫛部静二、8分44秒77/1989年)を30年ぶりに更新し、昨年は37年ぶりのU20日本新(※従来=愛敬重之8分31秒27/1983年)、41年ぶりの日本学生新記録(※従来=新宅雅也8分25秒8/1979年)と、次々に歴史を塗り替えた。今年5月に8分17秒46と18年ぶり日本新(※従来=岩水嘉孝8分18秒93/2003年)、翌月の日本選手権では転倒しながらも8分15秒99と更新して五輪代表を勝ち取った。 障害のないフラットレースでも5000mはU20日本歴代2位の13分26秒78がベスト。これは今季の日本人学生トップ、日本ランキング2位だ。昨年の箱根駅伝予選会のハーフマラソンでは1時間01分41秒のU20日本最高記録(それまでの記録は大迫傑の1時間01分47秒)で日本人トップ。11月の全日本大学駅伝では1区9.5kmを区間新の27分07秒で1年生区間賞を獲得するなど、ロード、クロカンなどでも活躍。異彩を放っている。 「オリンピックでいっぱいいっぱい」だったが、このあとは「駅伝」にシフト。「チームとして駅伝をやっていくので、切り替えたい」と三浦は、秋に向けて「1人の学生ランナー」に戻って順大の仲間たちと戦う。 「東京五輪は自分にとって大切な経験になったと思います。3年後のパリ五輪では今回の7位を上回り、自分が納得できる走りをしたいと思います。サンショーは自分の個性を出せる唯一の種目。自分の持っている力を出し切るまで向き合っていきたい」 19歳の三浦はまだまだ「先」を見つめている。今度はどんな景色を見せるのだろうか。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.11.22

田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設

来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]

NEWS 早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

2024.11.21

早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結

11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]

NEWS 立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

2024.11.21

立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン

第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]

NEWS M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

2024.11.20

M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」

神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]

NEWS 第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

2024.11.20

第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑

・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年12月号 (11月14日発売)

2024年12月号 (11月14日発売)

全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会

page top