写真/時事
陸上競技2日目のハイライトはイブニングセッションの女子100m決勝。4レーンにE.トンプソン・ヘラー、5レーンにS.A.フレイザー・プライス。女子100m決勝はこの種目で五輪の金メダルを獲得したことがある“ジャマイカ対決”になった。
34歳で一児の母であるフレイザー・プライスは北京、ロンドン五輪の女王。今季6月には10秒70だった自己記録を9年ぶりに更新する世界歴代2位の10秒63を叩き出して世界を驚かせた。一方、リオ五輪女王で29歳のトンプソン・ヘラーも2年ぶりの10秒7台となる10秒78をマークしていた。
調子を上げていたジャマイカのヒロインたちは東京で激突。中盤まではほぼ互角の戦いを見せるも、終盤はトンプソン・ヘラーがライバルを徐々に引き離していく。最後は勝利を確信すると左腕を突き上げてトップでフィニッシュラインを駆け抜けて、喜びを爆発させた。
「優勝した瞬間は言葉が見つかりませんでした。とても幸せだったので、大声で叫んでしまいました」とトンプソン。優勝タイム10秒61(-0.6)は、向かい風の中での世界最高で、現在も10秒49の世界記録が残るフローレンス・グリフィス・ジョイナー(米国)が1988年のソウル五輪でマークした五輪記録(10秒62)を0.01秒塗り替えるもの。リオ五輪以降はケガもあり苦しんだが、「東京五輪で再び、タイトルを獲得できたことに感謝しています。200mもリオ五輪のように優勝したいと思っています」と、200mとの2冠を見据えていた。
フレイザー・プライスは10秒74で2位。4大会連続メダル(※リオ五輪は銅)を獲得。3位にはS.ジャクソンが10秒76の自己ベストで入り、ジャマイカ勢がメダル独占の快挙も成し遂げた。ジャマイカのメダル独占は2008年北京(※2位同着)に続いて2度目。
写真/時事
五輪で初採用となった男女混合4×400mリレーは、4ヵ国がアンカー決戦を繰り広げ、ポーランドが3分09秒87で大混戦を制して初代チャンピオンに輝いた。フィールド最初の決勝種目となった男子円盤投はスウェーデン勢の争いになり、ドーハ世界選手権を制したD.ストールが68m90で優勝。「ここにたどり着くまで、たくさんのつらい練習や楽しいことがあった。今は誇らしい気持ちでいっぱいだ」と喜びを語る。2位には同じくスウェーデンのS.ペターションが67m39で2位に入った。同国はこの種目で3位が最高だったが、今回ワンツーを達成した。
日本勢は男子100m予選に山縣亮太(セイコー)、小池祐貴(住友電工)、多田修平(住友電工)が挑んだが、3人とも予選突破ならず。女子100mハードルは寺田明日香(ジャパンクリエイト)が12秒95をマークし、タイムで拾われて21年ぶりに準決勝進出を果たした。男子走幅跳では橋岡優輝(富士通)が8m17(+0.4)で予選通過記録8m15を1回でクリアした。この種目の決勝進出は37年ぶり。
◇陸上競技1日目のメダリスト
男子円盤投
金 D.ストール(スウェーデン)68m90
銀 S.ペターション(スウェーデン)67m39
銅 L.ヴァイスハイディンガー(オーストラリア)67m07
女子100m(-0.6)
金 E.トンプソン・ヘラー(ジャマイカ)10秒61
銀 S.-A.フレイザー・プライス(ジャマイカ)10秒74
銅 S.ジャクソン(ジャマイカ)10秒76
男女混合4×400mR
金 ポーランド 3分12秒88
銀 英国 3分11秒95
銅 ドイツ 3分12秒94


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