HOME ニュース、国内

2021.07.18

日本王者・河村一輝が1500mで日本新!日本人初の3分35秒台突入「日本新の流れきていた」/ホクレン千歳
日本王者・河村一輝が1500mで日本新!日本人初の3分35秒台突入「日本新の流れきていた」/ホクレン千歳


◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会(7月17日/北海道千歳市)

ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021の第5戦千歳大会、男子1500mで河村一輝(トーエネック)が3分35秒42の日本新記録を樹立した。

この種目は、今年5月に荒井七海(Honda)が17年ぶりの日本新記録となる3分37秒05を打ち立てたばかりだったが、その記録を一気に1秒63も更新した。

「日本記録の更新を目標にしていたんですけど、(3分)36秒前半ぐらいかなと思っていた。35秒4までいくとは思っていなかったので、ちょっとびっくりです」と、河村自身が驚くほどの大幅な記録更新だった。

今季の河村は、4月の金栗記念で3分38秒83の自己記録で走り、6月の日本選手権では日本一に輝き、好調を維持していた。「日本選手権では荒井さんに競り勝つことができて、自分も日本記録更新のチャンスがないわけではないんだと思いました」と、記録更新へ自信も芽生えていた。

また、この日は、男子800mで源裕貴(環太平洋大4年)が日本タイ記録。直前の女子1500mでは田中希実(豊田自動織機TC)が日本新記録を樹立。

広告の下にコンテンツが続きます

「中距離で日本記録が出る流れができていたので、自分も行かなきゃなっていう気持ちがありました」

男子1500mでも、記録更新への機運が高まっていた。3人のペースメーカーが付き、その1人が男子800mでも日本記録をアシストした田母神一喜(阿見AC)だった。

同学年の田母神からは「俺を、日本記録を2つ作ったペースメーカーにしてくれよ」とレース前に声をかけられ、「それも力になった」と言う。また、レース中は、ペースメーカーの1人の安倍優紀(東海大)が前半をハイペースで飛ばしたが、「みんな気負い過ぎだから、落とそう」と田母神は声をかけ、冷静にペースメイク。ラスト1周まで絶妙なペースで引っ張った。そういったサポートもあって、ラスト1周(1100m)を2分38秒で通過し、日本記録更新が一気に現実味を帯びた。

ラスト1周に入った時点で、高校生の佐藤圭汰(洛南高3年・京都)がピタリとつき、少し間を開けて、東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)が続いていた。

「ペースメーカーが全員抜けてからは、左斜め後ろに佐藤君の影がチラチラ見えていました。それが怖かったので、ラストのキレにつながったのかもしれません(笑)」

最後は、日本選手権覇者の貫禄を見せ、佐藤を突き放し、1着でフィニッシュし、快挙を成し遂げた。これで、来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(3分35秒00)も射程圏内に入った。

「最後もうちょっと絞り出せたら、標準が切れたのかな……。冬季の練習をうまく乗り切って、あと0.4秒を削りたいです」

早くも次なる目標を見据え、世界に挑む覚悟を固めている。

2着の佐藤が3分37秒18の高校新、3着に入った東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)も日本歴代7位の3分37秒99と好記録が相次いだ。

文・写真/和田悟志

◇ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021千歳大会(7月17日/北海道千歳市) ホクレン・ディスタンスチャレンジ2021の第5戦千歳大会、男子1500mで河村一輝(トーエネック)が3分35秒42の日本新記録を樹立した。 この種目は、今年5月に荒井七海(Honda)が17年ぶりの日本新記録となる3分37秒05を打ち立てたばかりだったが、その記録を一気に1秒63も更新した。 「日本記録の更新を目標にしていたんですけど、(3分)36秒前半ぐらいかなと思っていた。35秒4までいくとは思っていなかったので、ちょっとびっくりです」と、河村自身が驚くほどの大幅な記録更新だった。 今季の河村は、4月の金栗記念で3分38秒83の自己記録で走り、6月の日本選手権では日本一に輝き、好調を維持していた。「日本選手権では荒井さんに競り勝つことができて、自分も日本記録更新のチャンスがないわけではないんだと思いました」と、記録更新へ自信も芽生えていた。 また、この日は、男子800mで源裕貴(環太平洋大4年)が日本タイ記録。直前の女子1500mでは田中希実(豊田自動織機TC)が日本新記録を樹立。 「中距離で日本記録が出る流れができていたので、自分も行かなきゃなっていう気持ちがありました」 男子1500mでも、記録更新への機運が高まっていた。3人のペースメーカーが付き、その1人が男子800mでも日本記録をアシストした田母神一喜(阿見AC)だった。 同学年の田母神からは「俺を、日本記録を2つ作ったペースメーカーにしてくれよ」とレース前に声をかけられ、「それも力になった」と言う。また、レース中は、ペースメーカーの1人の安倍優紀(東海大)が前半をハイペースで飛ばしたが、「みんな気負い過ぎだから、落とそう」と田母神は声をかけ、冷静にペースメイク。ラスト1周まで絶妙なペースで引っ張った。そういったサポートもあって、ラスト1周(1100m)を2分38秒で通過し、日本記録更新が一気に現実味を帯びた。 ラスト1周に入った時点で、高校生の佐藤圭汰(洛南高3年・京都)がピタリとつき、少し間を開けて、東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)が続いていた。 「ペースメーカーが全員抜けてからは、左斜め後ろに佐藤君の影がチラチラ見えていました。それが怖かったので、ラストのキレにつながったのかもしれません(笑)」 最後は、日本選手権覇者の貫禄を見せ、佐藤を突き放し、1着でフィニッシュし、快挙を成し遂げた。これで、来年のオレゴン世界選手権の参加標準記録(3分35秒00)も射程圏内に入った。 「最後もうちょっと絞り出せたら、標準が切れたのかな……。冬季の練習をうまく乗り切って、あと0.4秒を削りたいです」 早くも次なる目標を見据え、世界に挑む覚悟を固めている。 2着の佐藤が3分37秒18の高校新、3着に入った東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)も日本歴代7位の3分37秒99と好記録が相次いだ。 文・写真/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.02.22

「インターハイでも勝ちたい」高校2年の栗村凌がU20男子を制す 女子は真柴愛里が貫禄/日本選手権クロカン

◇第40回U20日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) U20日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(8km)では栗村凌(学法石川高2福島)が23分20秒で優勝を果たした。 今年も全国から有力 […]

NEWS 三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン

2025.02.22

三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン

◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 来年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(10km)はパリ […]

NEWS 【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)

2025.02.22

【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)

【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日/福岡・海の中道海浜公園) ●男子10km 1位 三浦龍司(SUBARU)   28分24秒 2位 井川龍人(旭化成)   28分25秒 3位 塩尻和 […]

NEWS 今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場

2025.02.22

今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場

第108回日本選手権クロスカントリー、第40回U20日本選手権クロスカントリーは今日2月22日、福岡・海の中道海浜公園の1周2kmのコースを舞台に行われる。 日本選手権は男子が10km、女子が8kmで争われ、男子にはパリ […]

NEWS 編集部コラム「奥が深い」

2025.02.21

編集部コラム「奥が深い」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年3月号 (2月14日発売)

2025年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝

page top