近年、革新的なテクノロジーとデザインでランニングシューズ業界において着用シェアを伸ばしているスイスのパフォーマンスブランド「On(オン)」。6月22日にはエリート向けレーシングシューズ「Cloudboom Echo(クラウドブーム エコー)」を新たに発売した。そこで、トップランナーとしてこれまで数々の実績を残し、昨年11月からはオン・ジャパンのメンバーとなったサイラス・ジュイ氏にOnのランニングシューズについて語っていただいた。
6月22日に発売されたOnのエリート向けレーシングシューズ「Cloudboom Echo(クラウドブーム エコー)」。前作よりもミッドソールがさらに厚くなり、「Speedboard」と呼ばれるプレートが湾曲して反発を生み出す構造となっている
クッション性が向上したレーシングモデル
「Cloudboom Echo」
On初のカーボンプレート搭載シューズ「Cloudboom(クラウドブーム)」発売から約1年。前作からさらに進化を遂げた革新的なモデル「Cloudboom Echo(クラウドブーム エコー)」が注目を集めている。
クラウドブーム エコーは前作と同様に、「CloudTec(クラウドテック)」と名付けられた特許技術をミッドソールに搭載。それを2層構造にしてカーボン製プレート「Speedboard(スピードボード)」を挟む設計にしているのが特徴だ。
クラウドブーム エコーのアウトソール。中央に見える黒い部分がカーボン製のSpeedboard
ミッドソールには「Helion(ヘリオン)」という独自素材を採用し、軽量性と反発性を両立している。前作よりもヘリオンを柔らかく、分厚く使用することでクッション性が飛躍的に向上した。さらに、つま先と踵を反り上がらせたロッカー形状とすることで、走行時のエネルギー効率と推進力を高めている。
この最新シューズの効果を実感しているのが、2020年11月にオン・ジャパンのメンバーに加わった元トップランナーのサイラス・ジュイ氏だ。
「このシューズを履いてまず感じたのはクッション性。私は柔らかすぎるシューズはあまり好みではないですし、硬すぎるのもダメ。クラウドブーム エコーはそこが適度に調整されていると思います。あとはグリップ。まるでスパイクのような感覚があってズレないのも良いと思います」
重量も前作に比べて約5g軽くなっているが、ジュイ氏は「とにかく軽い。重さを感じない」と数字以上の変化を感じている。練習で着用していても、クラウドブーム エコーの性能には驚きを隠せない様子だ。
「先日、クラウドブーム エコーで20000mのペース走(前半は1000m3分30秒、後半は3分15秒ペース、ラスト1000mは3分07秒)をやった後に400mを10本走ったのですが、56秒くらいまで上がりました。普段はだいたい59秒くらいの設定でも後半には疲労感が出てしまうのですが、この時はそれが少なかった。20000m走った後のインターバルで56秒を出せる。そして、脚へのダメージも少なかったというのはびっくりしました。基本はロード用シューズではありますが、トラック練習でも使いやすいと思いました。前作よりもスピードを出しやすく、駅伝でも履けるシューズだと思います」
また、クラウドブーム エコーは過去にOnが開発したシューズよりもスピードボードが湾曲している。これは接地時に曲げられたスピードボードが元に戻ろうとする“バネ効果”があり、一般的にはフォアフット(前足部)で着地するランナーに向いていると考えられているが、ジュイ氏はどのランナーにもクラウドブーム エコーを履いてほしいと願っている。
「私がフォアフット走法ですが、クラウドブーム エコーはミッドソールが2重構造になっているため、どこで踏み込んでも適度な反発が得られます。ヒール重心のランナーにも対応しますし、ダメージがあまりこないので、どんなランナーでも履けるシューズだと思います」
Onのシューズをどう使い分けるか
現在、ジュイ氏は大学生や市民ランナーを指導する傍ら、自身も各種レースに出場する「プレイングコーチ」として活動している。水曜日は代々木公園、金曜日は皇居周辺で「Onランニングクラブbyサイラス」という練習会を開催し、ジュイ氏によるケニア式ドリルや自己ベスト更新を目指すランナーに向けた練習メニューが好評だ。毎回30人ものランナーが集まるが、練習会には常連も多く、マラソンで2時間20分台の記録を持つ市民ランナーもいるという。
そして、オン・ジャパンのメンバーであるジュイ氏は自身もシーンごとにOnのシューズを使い分けている。
「ジョグなどゆっくり長く走るような練習ではCloudswift(クラウドスイフト)やCloudflyer(クラウドフライヤー)を履いています。ペース走などではCloudflow(クラウドフロー)が軽くて使いやすい。1㎞3分から3分30秒くらいまでのペースで使います。このシューズは安定感やサポート性が高い。適度なクッションもあってストレスが少ないシューズです」
クラウドフローはアップデートされた3代目モデルが7月8日に発売された。グリップ力が高くなり、スピードを出しやすくなったことでさらに使い勝手が良くなりそうだ。
そして、トラックやロードでのスピード練習やロードレースは前述のクラウドブームエコーがお気に入り。一方、トラックレースではOnのラインナップで唯一、世界陸連の定める800m以上の中長距離トラック種目で使用可能なモデル「Cloudflash(クラウドフラッシュ)」を着用する。
「トラックのコーナーワークが優れていると思います。クラウドブームやクラウドブーム エコーは直進性に優れていますが、クラウドフラッシュは内側のクラウドパーツが1つ少ないことでコーナーでの安定感があります。重心バランスがやや前寄りで、トラックで力を出せるシューズだと思います」
また、ジュイ氏が練習以外の普段使いで愛用するのがCloud(クラウド)。もともとは世界大会メダリストがレースで使用するほどのパフォーマンスランニングシューズだが、現在は優れたデザイン性が機能性とともに高く評価され、多くのユーザーに愛されるOnのベストセラーモデルとなっている。
さらに、ジュイ氏は雨天時には防水機能を備えた「Cloudflyer Waterproof(クラウドフライヤー ウォータープルーフ)」を着用するなど、トレーニングからライフスタイルまでOnをシームレスに活用している。ただし、Onはあくまでもパフォーマンスブランドであり、On本社のあるスイスでは今夏の世界大会に出場するナショナルチームのオフィシャルパートナーとして同社のシューズやアパレルを提供し、その機能性はトップアスリートにも認められている。
ジュイ氏は今後、トレイルランニングの大会にも本格参戦する予定だ。「もともとクロカンが大好き」と言い、トレイルランではCloudultra(クラウドウルトラ)やCloudventure(クラウドベンチャー)を愛用している。
「Onのシューズは種類が豊富。どのモデルも好きですが、目的に合わせて使い分けられるのがうれしいですね」とジュイ氏。これからも日本全国にOnの魅力を広めていくつもりだ。
文/田中 葵
ジュイ氏お勧めのOnシューズラインナップ
Cloudboom Echo(クラウドブーム エコー)
¥29,480(税込)
重量:片足約220g(26.5㎝)
ドロップ:9㎜
クッション性と反発性を高いレベルで両立したマラソン、ロードレース用のエリートレーシングシューズ
Cloudflash(クラウドフラッシュ)
¥20,680(税込)
重量:片足約210g(26.5㎝)
ドロップ:5㎜
トラックでも使用可能なレーシングシューズをアップデート。カーボン製Speedboardを内蔵
Cloudflow(クラウドフロー)
¥16,830(税込)
重量:片足約238g(26.5㎝)
ドロップ:6㎜
2021年7月に2度目のアップデートを果たした人気モデル。レースやスピード練習に適した高反発シューズ
Cloud(クラウド)
¥15,180(税込)
重量:片足約230g(26.5㎝)
ドロップ:6㎜
Onのベストセラーシューズ。この1足でランニングからライフスタイルまでオールカバー
Cyrus Gichobi Njui(サイラス・ギチョビ・ジュイ)
1986年2月11日生まれ、35歳。ケニア出身。流経大柏高時代には3000m障害でインターハイを2連覇。流経大を経て実業団選手となり、2010年に北海道マラソンで優勝するなどトップランナーとして活躍した。自己記録は5000m13分22秒76、10000m27分56秒63、ハーフマラソン1時間1分03秒、マラソン2時間9分10秒。
現在でも10000mは「28分台では走れる」と話すジュイ氏。最近始めたトレイルランニングではOnのクラウドウルトラ(手前)などを着用している
※この記事は『月刊陸上競技』2021年8月号に掲載しています
<関連記事>
本格レーシングモデルが続々登場〝熱意〟で広まるランニングブランド「On(オン)」/PR
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! On史上最速シューズ「Cloudboom(クラウドブーム)」
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! 「On」のCloud(クラウド)
<関連リンク>
オン・ジャパン(公式サイト)

クッション性が向上したレーシングモデル 「Cloudboom Echo」
On初のカーボンプレート搭載シューズ「Cloudboom(クラウドブーム)」発売から約1年。前作からさらに進化を遂げた革新的なモデル「Cloudboom Echo(クラウドブーム エコー)」が注目を集めている。 クラウドブーム エコーは前作と同様に、「CloudTec(クラウドテック)」と名付けられた特許技術をミッドソールに搭載。それを2層構造にしてカーボン製プレート「Speedboard(スピードボード)」を挟む設計にしているのが特徴だ。

Onのシューズをどう使い分けるか
現在、ジュイ氏は大学生や市民ランナーを指導する傍ら、自身も各種レースに出場する「プレイングコーチ」として活動している。水曜日は代々木公園、金曜日は皇居周辺で「Onランニングクラブbyサイラス」という練習会を開催し、ジュイ氏によるケニア式ドリルや自己ベスト更新を目指すランナーに向けた練習メニューが好評だ。毎回30人ものランナーが集まるが、練習会には常連も多く、マラソンで2時間20分台の記録を持つ市民ランナーもいるという。 そして、オン・ジャパンのメンバーであるジュイ氏は自身もシーンごとにOnのシューズを使い分けている。 「ジョグなどゆっくり長く走るような練習ではCloudswift(クラウドスイフト)やCloudflyer(クラウドフライヤー)を履いています。ペース走などではCloudflow(クラウドフロー)が軽くて使いやすい。1㎞3分から3分30秒くらいまでのペースで使います。このシューズは安定感やサポート性が高い。適度なクッションもあってストレスが少ないシューズです」 クラウドフローはアップデートされた3代目モデルが7月8日に発売された。グリップ力が高くなり、スピードを出しやすくなったことでさらに使い勝手が良くなりそうだ。 そして、トラックやロードでのスピード練習やロードレースは前述のクラウドブームエコーがお気に入り。一方、トラックレースではOnのラインナップで唯一、世界陸連の定める800m以上の中長距離トラック種目で使用可能なモデル「Cloudflash(クラウドフラッシュ)」を着用する。 「トラックのコーナーワークが優れていると思います。クラウドブームやクラウドブーム エコーは直進性に優れていますが、クラウドフラッシュは内側のクラウドパーツが1つ少ないことでコーナーでの安定感があります。重心バランスがやや前寄りで、トラックで力を出せるシューズだと思います」 また、ジュイ氏が練習以外の普段使いで愛用するのがCloud(クラウド)。もともとは世界大会メダリストがレースで使用するほどのパフォーマンスランニングシューズだが、現在は優れたデザイン性が機能性とともに高く評価され、多くのユーザーに愛されるOnのベストセラーモデルとなっている。 さらに、ジュイ氏は雨天時には防水機能を備えた「Cloudflyer Waterproof(クラウドフライヤー ウォータープルーフ)」を着用するなど、トレーニングからライフスタイルまでOnをシームレスに活用している。ただし、Onはあくまでもパフォーマンスブランドであり、On本社のあるスイスでは今夏の世界大会に出場するナショナルチームのオフィシャルパートナーとして同社のシューズやアパレルを提供し、その機能性はトップアスリートにも認められている。 ジュイ氏は今後、トレイルランニングの大会にも本格参戦する予定だ。「もともとクロカンが大好き」と言い、トレイルランではCloudultra(クラウドウルトラ)やCloudventure(クラウドベンチャー)を愛用している。 「Onのシューズは種類が豊富。どのモデルも好きですが、目的に合わせて使い分けられるのがうれしいですね」とジュイ氏。これからも日本全国にOnの魅力を広めていくつもりだ。 文/田中 葵ジュイ氏お勧めのOnシューズラインナップ




Cyrus Gichobi Njui(サイラス・ギチョビ・ジュイ)
1986年2月11日生まれ、35歳。ケニア出身。流経大柏高時代には3000m障害でインターハイを2連覇。流経大を経て実業団選手となり、2010年に北海道マラソンで優勝するなどトップランナーとして活躍した。自己記録は5000m13分22秒76、10000m27分56秒63、ハーフマラソン1時間1分03秒、マラソン2時間9分10秒。
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