明日6月24日に開幕する第105回日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)を前に6月23日、オンライン形式で前日会見が行われ、男子100mに出場する5選手が意気込みを語った。
日本記録(9秒95)保持者の山縣亮太(セイコー)は「この一発勝負ですべてが決まってくる。緊張感を持っていきたいです」と自身3大会連続の五輪代表に向けて心の内を明かした。
6月6日の布勢スプリントでサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が持っていた日本記録を0.02秒更新。その疲労回復は「いつもより時間がかかった」と言うものの、日本選手権に向けては「概ね予定通りの練習ができた」と充実した様子を見せた。精神面でも日本記録更新に浸ることなく、「布勢が終わってすぐにまだまだいい走りができると気持ちが切り替わった」と振り返った。
布勢スプリントでは日本新をマークしたものの、「スタートから2次加速へのつなぎ」を課題に挙げ、その修正にも取り組んできたという。
日本最速という立場になったが、「東京五輪選手選考ではチャレンジャーであることに変わりは無い。今の自分に必要なのは、どんどん課題にチャレンジしていくこと」ときっぱり。貪欲な姿勢でレースに臨むつもりだ。
日本歴代3位タイの9秒98を自己ベストに持つ桐生祥秀(日本生命)は布勢スプリント予選で追い風参考ながら10秒01(+2.6)をマーク。日本選手権に向けて「鳥取で感じた走りを確認するためにも明日の予選、準決勝をしっかり走りたい」と話した。布勢では右アキレス腱痛で決勝を棄権。その後は「痛みを取ることを最優先してきた」という。五輪選考会はリオ五輪が行われた2016年以来、5年ぶり2回目となるが、「技術的にもタイムの水準も当時と比べて上がっている。いつも通り緊張感を持ってしっかり走っていきたい」と2大会連続の代表入りへ力を込めた。
桐生と同じく自己ベスト9秒98の小池祐貴(住友電工)は「調子は上がってきている。出る以上は優勝を目指します」と語った。6月6日の布勢スプリントに出た後は、ウエイトトレーニングも取り入れ、「これまで夏にはやってこなかった」ほぼMAXの重さを挙げてきたという。100mについては「ここ2年は納得するレースが1本もない」と言うだけに「集中していきます」と力を込め、100mの他にエントリーしている200mの目標については「100mが終わってから考えます」と話していた。
山縣が日本新記録をマークした同じレースで4年ぶりの自己ベストとなる10秒01を叩き出すなど、今季は好調な多田修平(住友電工)は「布勢以降、すごい調子が上がってきた。この流れに乗って日本選手権を走りたい」と話した。布勢スプリントの後は課題としている後半局面に「120mや250mを取り入れて、後傾にならないように姿勢を維持してきた」と語り、充実した調整ぶりを明かした多田。「緊張感がすごくて3、4日前から眠れない」と漏らしつつも、「しっかり優勝したい」と意気込んだ。25歳の誕生日を迎える明日24日の予選、準決勝を経て、25日の決勝への快走に想いを募らせた。
いまだ五輪参加標準記録(10秒05)を突破していないケンブリッジ飛鳥(Nike)は「標準を切って勝たなきゃいけない」と強い意気込みを見せ、「予選、準決勝としっかり自分のかたちを作りつつタイムを狙っていきたい」と話した。今季は左ハムストリングスに違和感があったが、「布勢スプリントには痛みがなくなり、その後は違和感もだいぶ取れている。思い切ってやるだけ」と復調をアピール。前回のリオ五輪が行われた2016年の日本選手権でこの種目を初制覇して「いいイメージ」があるだけに、2大会連続の五輪代表入りへ全力を尽くすつもりだ。
男子100mは明日24日に予選が15時40分から、準決勝は19時32分から行われ、決勝は翌25日20時30分。

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