2019.06.14
Athlete Feature泉谷駿介(順大)
驚異の進化を続ける〝跳躍ハードラー〟
中学で最も得意だったのは走高跳
今季、110mハードルを中心に走幅跳、三段跳でも好記録を連発している泉谷駿介(順大)。彼の現在の姿を想像できた者が、どれだけいただろうか。
日本陸上界の〝異才〟とも言えるマルチアスリートが競技を開始したのは神奈川・緑が丘中に入学してから。「小学校ではサッカーをやっていたんですけど、あまり好きじゃなくて、あきちゃったんです。それで足が速かったので」というのが陸上部を選んだ理由だ。最初は短距離で、3年時は四種競技に取り組んだ。「当時、一番得意だったのは走高跳で、県で7番くらいだったと思います」と泉谷は振り返る。
武相高では走高跳に種目を絞ったものの、「身体が大きくなって、筋肉がついたお陰で、1年の冬季に行われた学内の混成競技会で、苦手だった投てきができるようになっていたんです」と、2年時から八種競技に挑戦するようになった。
2年時のインターハイ路線は神奈川県大会で3位に入ると、南関東大会を5416点の3位で突破。全国では「表彰台」を目指した。だが、14位に沈んだ。
ただ、この時に味わった「今でも覚えています」と言うほどの「悔しさ」は、泉谷の未来を変えた。冬季練習で厳しいトレーニングに打ち込み、3年時のインターハイは高校歴代6位(当時)の5916点をマークして、チームメイトの原口凜(現・国士大)とワン・ツーを達成。三段跳も15m16(+1.7)で3位に入っている。
「混成競技はいろんな種目ができるので、練習も楽しかったですね」と泉谷。朝練習はスプリントと投てき(砲丸投、やり投)、本練習はハードルと跳躍種目のトレーニングがメインだった。そういったトレーニングの中で、インターハイ後に110mハードルの今につながる〝兆し〟を見せている。10月の横浜市選手権で高校歴代4位の13秒
93という好タイムをマークした。
そんな泉谷にとって、大学進学にあたって種目選択に迷うところがあった。考えた末に、高校タイトルを手にした種目よりも、自分の特徴を生かせる、何よりも好きな種目を選ぶことに決めた。
「身体(当時は身長174cm、体重65kg)が大きくなかったですし、十種競技をやるには棒高跳に恐怖心がありました。だから混成競技は高校までにして、大学では三段跳をメインに、走幅跳と110mハードルも同じくらいやりたいなと思っていたんです」
順大に進学した泉谷は、跳躍ブロックに所属した。
入学直後の四大学対校が転機
最初に脚光を浴びたのは〝ハードラー〟としてだった。それは、名門チームならではの理由から。跳躍ブロックの越川一紀コーチ(陸上競技部部長)が説明する。
「春の四大学対校で、先輩たちが強かったので走幅跳と三段跳の出場枠が埋まっていたんです。それで110mハードルに出させました。追い風参考の13秒88(+3.0)で走ると、水戸招待は向かい風のレースを14秒05(-4.0)で勝った。それで関東インカレもハードルで出場させることになったんです」
関東インカレのデビューが110mハードルに決まった泉谷はというと、あまり深くは考えていなかった。
「跳躍種目に出たいなと思っていたけど、ハードルに出るのか、という感じでした。ただ、関東インカレと日本インカレで活躍したいという目標は持っていたんです。できれば1年生で表彰台に、卒業までには絶対にてっぺんに上ろうと思っていました」
泉谷のおもしろいところは、「どの種目で」とは言わないところだ。越川コーチも、「大学ではハードル練習をあまりしていない」と言い切るほどで、110mハードルに傾倒していたわけではなかった。
それでも泉谷は、関東インカレで存在感を放つ。
※この続きは2019年5月14日発売の『月刊陸上競技』7月号をご覧ください
Athlete Feature泉谷駿介(順大)
驚異の進化を続ける〝跳躍ハードラー〟
[caption id="attachment_3559" align="aligncenter" width="600"] 春季シーズンで衝撃的なパフォーマンスを連発した泉谷駿介(順大)[/caption]中学で最も得意だったのは走高跳
今季、110mハードルを中心に走幅跳、三段跳でも好記録を連発している泉谷駿介(順大)。彼の現在の姿を想像できた者が、どれだけいただろうか。 日本陸上界の〝異才〟とも言えるマルチアスリートが競技を開始したのは神奈川・緑が丘中に入学してから。「小学校ではサッカーをやっていたんですけど、あまり好きじゃなくて、あきちゃったんです。それで足が速かったので」というのが陸上部を選んだ理由だ。最初は短距離で、3年時は四種競技に取り組んだ。「当時、一番得意だったのは走高跳で、県で7番くらいだったと思います」と泉谷は振り返る。 武相高では走高跳に種目を絞ったものの、「身体が大きくなって、筋肉がついたお陰で、1年の冬季に行われた学内の混成競技会で、苦手だった投てきができるようになっていたんです」と、2年時から八種競技に挑戦するようになった。 2年時のインターハイ路線は神奈川県大会で3位に入ると、南関東大会を5416点の3位で突破。全国では「表彰台」を目指した。だが、14位に沈んだ。 ただ、この時に味わった「今でも覚えています」と言うほどの「悔しさ」は、泉谷の未来を変えた。冬季練習で厳しいトレーニングに打ち込み、3年時のインターハイは高校歴代6位(当時)の5916点をマークして、チームメイトの原口凜(現・国士大)とワン・ツーを達成。三段跳も15m16(+1.7)で3位に入っている。 「混成競技はいろんな種目ができるので、練習も楽しかったですね」と泉谷。朝練習はスプリントと投てき(砲丸投、やり投)、本練習はハードルと跳躍種目のトレーニングがメインだった。そういったトレーニングの中で、インターハイ後に110mハードルの今につながる〝兆し〟を見せている。10月の横浜市選手権で高校歴代4位の13秒 93という好タイムをマークした。 そんな泉谷にとって、大学進学にあたって種目選択に迷うところがあった。考えた末に、高校タイトルを手にした種目よりも、自分の特徴を生かせる、何よりも好きな種目を選ぶことに決めた。 「身体(当時は身長174cm、体重65kg)が大きくなかったですし、十種競技をやるには棒高跳に恐怖心がありました。だから混成競技は高校までにして、大学では三段跳をメインに、走幅跳と110mハードルも同じくらいやりたいなと思っていたんです」 順大に進学した泉谷は、跳躍ブロックに所属した。 [caption id="attachment_3561" align="aligncenter" width="600"] 普段は跳躍ブロックでトレーニングを積んでいる[/caption]入学直後の四大学対校が転機
最初に脚光を浴びたのは〝ハードラー〟としてだった。それは、名門チームならではの理由から。跳躍ブロックの越川一紀コーチ(陸上競技部部長)が説明する。 「春の四大学対校で、先輩たちが強かったので走幅跳と三段跳の出場枠が埋まっていたんです。それで110mハードルに出させました。追い風参考の13秒88(+3.0)で走ると、水戸招待は向かい風のレースを14秒05(-4.0)で勝った。それで関東インカレもハードルで出場させることになったんです」 関東インカレのデビューが110mハードルに決まった泉谷はというと、あまり深くは考えていなかった。 「跳躍種目に出たいなと思っていたけど、ハードルに出るのか、という感じでした。ただ、関東インカレと日本インカレで活躍したいという目標は持っていたんです。できれば1年生で表彰台に、卒業までには絶対にてっぺんに上ろうと思っていました」 泉谷のおもしろいところは、「どの種目で」とは言わないところだ。越川コーチも、「大学ではハードル練習をあまりしていない」と言い切るほどで、110mハードルに傾倒していたわけではなかった。 それでも泉谷は、関東インカレで存在感を放つ。 [caption id="attachment_3560" align="aligncenter" width="600"] 自分の可能性について「どうなるかわからない」と話す泉谷[/caption] ※この続きは2019年5月14日発売の『月刊陸上競技』7月号をご覧ください
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