2021.06.15
昨年の全国高校大会で男女4×100m、男子4×400mとリレー3種目を制した中京大中京(愛知)が、さらにパワーアップして今年の高校陸上界を席巻している。5月下旬の愛知県大会では男女14種目を制し、2016年から続く5大会連続の総合アベックVを成し遂げた。全国トップクラスの実力者も多く、5月末時点で男女4×100mリレー、女子200m、同800mが全国高校リスト1位だ。
インターハイでの総合優勝は、男子が1998年を最後に計3度(中京時代も含む)、女子が2018年に1度達成しているが、狙うは1966年の長良(岐阜)以来2校目の男女V。6月の東海大会をステップに、夏の福井ではさらなる存在感を発揮するつもりだ。
文/奥村 崇
女子エース・倉橋が好調
2021年の高校シーズンが本格化して早々に中京大中京(愛知)の選手たちが躍動している。5月は1日〜3日の名古屋南支部大会、9日のREADY STEADY TOKYO、愛知県大会(21日〜23日)などで次々と好記録をマーク。多くの種目で充実ぶりを示している。
その中で核となるのが男女の4×100mリレーだろう。昨年は全国高校大会で男女優勝を達成。そのうち、主力が残る女子が、まずは快調に滑り出している。支部大会で46秒24をマークすると、READY STEADY TOKYOでは高校歴代6位の45秒44。昨シーズンのベスト記録(45秒46 /全国高校大会予選)を早くも上回った。
県大会では45秒70。東海大会進出が至上命題だけに、バトンパスは安全策を取ったのだが、2〜3走のパスでかなり詰まった。2走は100mを11秒95(−1.1)で制した倉橋美穂(3年)。「100mのラウンドを進むにつれて、どんどん調子を上げていけました。急きょ入ることになった4×100mリレー決勝が個人的には一番いい走りになりました」。それだけ動きが良かった分、いつも息ピッタリの3走・須崎心優(3年)とのバトンパスが、このレースでは間隔が詰まってしまった。
200m(24秒32 /−1.1)も含めて3冠の倉橋は、「幸いどこも痛いところがなく、不安なく来ています」と状態が良い。条件さえ整えば、1年時にマークした自己記録(100m11秒81、200m24秒20)の更新は時間の問題だ。
その倉橋に次いで100m、200mともに2位だったのが藏重みう(2年)。4月29日の織田記念100mで自己ベストの11秒82(+0.9)をマークしている。
倉橋が「目標は最終的に11 秒6前後。200 mは23 秒台で全国優勝です。4継も全国優勝と44 秒台を目指します」と意気込めば、藏重は「目標は11 秒6〜7台。昨年逃した全国大会での入賞が目標です」と先を見据えていた。
愛知県大会の女子100mは倉橋美穂(3年、右端)が11秒95(−1.1)で優勝。倉橋は200mも制し、1学年後輩の藏重みう(左)が両種目とも2位だった
男子4継は衝撃の40秒00
女子は2015年に愛知がマークした大会記録(46秒49)を大幅に更新したが、衝撃度は直後の男子が上回った。
初夏の陽が陰ってきたなか、香山勇輝(2年)、舘野峻輝(3年)、田邉隼門(2年)、髙橋大地(2年)が疾風となってトラックを駆け抜けた。
1走は100m4位の香山。その走力で序盤から大きくリードするが、1〜2走・舘野とのバトンパスが、2人の身体が重なりそうなくらい詰まった。それでも中京大中京の優勢は変わらず、100m1位の舘野、同2位の3走・田邉がその走力を発揮。2〜3走、3〜4走のスムーズな受け渡しもあり、2位との差を一気に広げた。
記録を意識した髙橋が上体を倒してフィニッシュすると、速報は「40.01」。正式タイムは0.01秒短縮され、高校歴代7位の40秒00となった。
従来の大会記録は19年に自チームが打ち立てた40秒49。その夏の沖縄インターハイで大会新の39秒91をマークして優勝しているメンバーだ。そんな2年前を大きく上回ったことで、再び頂点をつかみ取るだけの実力を誇示したと言っていい。
代表して話した舘野が胸を張る。「まだミスがあります。しっかり修正していけば、2年前の39秒79も超えられるのではないかと思っています」。19年7月にマークしたチームベスト(高校歴代5位、学校別歴代4位)の更新も視野に入れている。
舘野は個人種目でも100m(10秒67 /−0.9)に加え、200mも21秒32(−1.8)で制した。
「冬季に課題の加速部分を重点的に取り組み、一次加速、二次加速が改善されたと思います」と舘野。100mでは「スタートがハマらなかったけど、二次加速以降をまとめられた」という準決勝で10秒57(+1.6)をマーク。200mでは向かい風を受けながら大会タイを出した。
この続きは2021年6月14日発売の『月刊陸上競技7月号』をご覧ください。
定期購読はこちらから
女子エース・倉橋が好調
2021年の高校シーズンが本格化して早々に中京大中京(愛知)の選手たちが躍動している。5月は1日〜3日の名古屋南支部大会、9日のREADY STEADY TOKYO、愛知県大会(21日〜23日)などで次々と好記録をマーク。多くの種目で充実ぶりを示している。 その中で核となるのが男女の4×100mリレーだろう。昨年は全国高校大会で男女優勝を達成。そのうち、主力が残る女子が、まずは快調に滑り出している。支部大会で46秒24をマークすると、READY STEADY TOKYOでは高校歴代6位の45秒44。昨シーズンのベスト記録(45秒46 /全国高校大会予選)を早くも上回った。 県大会では45秒70。東海大会進出が至上命題だけに、バトンパスは安全策を取ったのだが、2〜3走のパスでかなり詰まった。2走は100mを11秒95(−1.1)で制した倉橋美穂(3年)。「100mのラウンドを進むにつれて、どんどん調子を上げていけました。急きょ入ることになった4×100mリレー決勝が個人的には一番いい走りになりました」。それだけ動きが良かった分、いつも息ピッタリの3走・須崎心優(3年)とのバトンパスが、このレースでは間隔が詰まってしまった。 200m(24秒32 /−1.1)も含めて3冠の倉橋は、「幸いどこも痛いところがなく、不安なく来ています」と状態が良い。条件さえ整えば、1年時にマークした自己記録(100m11秒81、200m24秒20)の更新は時間の問題だ。 その倉橋に次いで100m、200mともに2位だったのが藏重みう(2年)。4月29日の織田記念100mで自己ベストの11秒82(+0.9)をマークしている。 倉橋が「目標は最終的に11 秒6前後。200 mは23 秒台で全国優勝です。4継も全国優勝と44 秒台を目指します」と意気込めば、藏重は「目標は11 秒6〜7台。昨年逃した全国大会での入賞が目標です」と先を見据えていた。 愛知県大会の女子100mは倉橋美穂(3年、右端)が11秒95(−1.1)で優勝。倉橋は200mも制し、1学年後輩の藏重みう(左)が両種目とも2位だった男子4継は衝撃の40秒00
女子は2015年に愛知がマークした大会記録(46秒49)を大幅に更新したが、衝撃度は直後の男子が上回った。 初夏の陽が陰ってきたなか、香山勇輝(2年)、舘野峻輝(3年)、田邉隼門(2年)、髙橋大地(2年)が疾風となってトラックを駆け抜けた。 1走は100m4位の香山。その走力で序盤から大きくリードするが、1〜2走・舘野とのバトンパスが、2人の身体が重なりそうなくらい詰まった。それでも中京大中京の優勢は変わらず、100m1位の舘野、同2位の3走・田邉がその走力を発揮。2〜3走、3〜4走のスムーズな受け渡しもあり、2位との差を一気に広げた。 記録を意識した髙橋が上体を倒してフィニッシュすると、速報は「40.01」。正式タイムは0.01秒短縮され、高校歴代7位の40秒00となった。 従来の大会記録は19年に自チームが打ち立てた40秒49。その夏の沖縄インターハイで大会新の39秒91をマークして優勝しているメンバーだ。そんな2年前を大きく上回ったことで、再び頂点をつかみ取るだけの実力を誇示したと言っていい。 代表して話した舘野が胸を張る。「まだミスがあります。しっかり修正していけば、2年前の39秒79も超えられるのではないかと思っています」。19年7月にマークしたチームベスト(高校歴代5位、学校別歴代4位)の更新も視野に入れている。 舘野は個人種目でも100m(10秒67 /−0.9)に加え、200mも21秒32(−1.8)で制した。 「冬季に課題の加速部分を重点的に取り組み、一次加速、二次加速が改善されたと思います」と舘野。100mでは「スタートがハマらなかったけど、二次加速以降をまとめられた」という準決勝で10秒57(+1.6)をマーク。200mでは向かい風を受けながら大会タイを出した。 この続きは2021年6月14日発売の『月刊陸上競技7月号』をご覧ください。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.16
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会