HOME 国内、大学

2021.05.22

東大医学部生・内山咲良が三段跳V!関東インカレ初の快挙「日本選手権で13mを」
東大医学部生・内山咲良が三段跳V!関東インカレ初の快挙「日本選手権で13mを」


◇関東インカレ(5月20~23日/神奈川・相模原)

関東インカレ女子1部三段跳の最終6回目。トラック種目が終了し、スタンドの視線は集中した。優勝を決めた内山咲良(東大)が手拍子を求める。スタンドの拍手は応援と優勝を称えているように大きく聞こえた。2回目に跳んだ12m86(+2.0)は超えられなかったが、再び12m80を越える12m82(+1.3)をマーク。東大生の優勝は関東インカレ史上、女子では初の快挙を第100回目の大会で達成した瞬間だった。

「実感が湧かないですが、優勝できてうれしいです」と笑顔がこぼれるが、「13mが目標だったので記録的には物足りないです」と振り返る。2回目の優勝記録となったジャンプは「弾む感覚がありました」と手応えのある跳躍だった。

筑波大附高出身の東大医学部6年生。医者を志しているジャンパーだ。2019年の日本インカレで13m00(+0.9)を跳び2位。昨年はコロナ禍にあって練習環境の確保も難しく、右足を疲労骨折するなど、思うような練習が積めなかった。それでも、「この冬はケガとうまく付き合いながら練習できました」と復調。今シーズンは「全体的にまんべんなく強化してきましたが、スピードがついて助走が速くなったと思います」と順調に来ていた。

高校時代は走幅跳に取り組みインターハイにも出場。大学でも続けたが、「インカレの参加標準記録にも届かなかった」。3年生で挑戦した三段跳で可能性を見出し、4年時に初めてインカレに出場できるように。今回が3度目の関東インカレだった。

実習などとの兼ね合いもあるが、「練習にかける時間は変わっていませんが、4年生の時よりも自由にできていると思います」と言う。メニューは基本的に自分で立てながら、短距離コーチなどにアドバイスをもらう。「負荷の高い種目なので跳躍練習をし過ぎず、でも負荷に順応できるようにしないといけない。そのバランスを考えています」と言う。“頭脳派”な一面もありつつ、「今日は追われる立場だったので、いつ抜かれるかと(精神的に)きつかったです」とも。それでも、「そういう気持ちの変動をあえて(抑えずに)利用している側面もあります」と言うあたりもさすがだ。

“東大生”という肩書きで注目されることに、最初は戸惑いもあった。4年時の関東インカレで4位に入った時には「東大生じゃなかったら記事にしてもらえなかったんだろうな」と思ったという。だからこそ、「結果を出そう」という思いは強くなり、体現してきた。13mを跳んで記事になったことに胸を張り、今回もタイトルを取り、堂々とインタビューに応えた。

広告の下にコンテンツが続きます

最終跳躍の手拍子は「この規模の大会では初めてです。高揚感がありました」と充実の表情を浮かべる内山。今シーズンを「集大成」ととらえており、「オリンピックに出るとか、よほどのことがない限り最後」という思いで臨んでいる。「走幅跳で6mを跳びたかった自分は、すでに報われていて、充足している。今は“ボーナスステージ”なんです」と笑う内山。次は「日本選手権で13mを跳びたい。13mの試合をしたいんです」と言う。秋の日本インカレが最後のビッグマッチ。「勝てるように13mを跳べる準備をしていきます」。

東大医学部生のタイトルは確かに特別なことだろう。だが、陸上と自分自身に真摯に向き合い、自らを高めていく姿は、一人のアスリートとして光り輝いていた。

◇関東インカレ(5月20~23日/神奈川・相模原) 関東インカレ女子1部三段跳の最終6回目。トラック種目が終了し、スタンドの視線は集中した。優勝を決めた内山咲良(東大)が手拍子を求める。スタンドの拍手は応援と優勝を称えているように大きく聞こえた。2回目に跳んだ12m86(+2.0)は超えられなかったが、再び12m80を越える12m82(+1.3)をマーク。東大生の優勝は関東インカレ史上、女子では初の快挙を第100回目の大会で達成した瞬間だった。 「実感が湧かないですが、優勝できてうれしいです」と笑顔がこぼれるが、「13mが目標だったので記録的には物足りないです」と振り返る。2回目の優勝記録となったジャンプは「弾む感覚がありました」と手応えのある跳躍だった。 筑波大附高出身の東大医学部6年生。医者を志しているジャンパーだ。2019年の日本インカレで13m00(+0.9)を跳び2位。昨年はコロナ禍にあって練習環境の確保も難しく、右足を疲労骨折するなど、思うような練習が積めなかった。それでも、「この冬はケガとうまく付き合いながら練習できました」と復調。今シーズンは「全体的にまんべんなく強化してきましたが、スピードがついて助走が速くなったと思います」と順調に来ていた。 高校時代は走幅跳に取り組みインターハイにも出場。大学でも続けたが、「インカレの参加標準記録にも届かなかった」。3年生で挑戦した三段跳で可能性を見出し、4年時に初めてインカレに出場できるように。今回が3度目の関東インカレだった。 実習などとの兼ね合いもあるが、「練習にかける時間は変わっていませんが、4年生の時よりも自由にできていると思います」と言う。メニューは基本的に自分で立てながら、短距離コーチなどにアドバイスをもらう。「負荷の高い種目なので跳躍練習をし過ぎず、でも負荷に順応できるようにしないといけない。そのバランスを考えています」と言う。“頭脳派”な一面もありつつ、「今日は追われる立場だったので、いつ抜かれるかと(精神的に)きつかったです」とも。それでも、「そういう気持ちの変動をあえて(抑えずに)利用している側面もあります」と言うあたりもさすがだ。 “東大生”という肩書きで注目されることに、最初は戸惑いもあった。4年時の関東インカレで4位に入った時には「東大生じゃなかったら記事にしてもらえなかったんだろうな」と思ったという。だからこそ、「結果を出そう」という思いは強くなり、体現してきた。13mを跳んで記事になったことに胸を張り、今回もタイトルを取り、堂々とインタビューに応えた。 最終跳躍の手拍子は「この規模の大会では初めてです。高揚感がありました」と充実の表情を浮かべる内山。今シーズンを「集大成」ととらえており、「オリンピックに出るとか、よほどのことがない限り最後」という思いで臨んでいる。「走幅跳で6mを跳びたかった自分は、すでに報われていて、充足している。今は“ボーナスステージ”なんです」と笑う内山。次は「日本選手権で13mを跳びたい。13mの試合をしたいんです」と言う。秋の日本インカレが最後のビッグマッチ。「勝てるように13mを跳べる準備をしていきます」。 東大医学部生のタイトルは確かに特別なことだろう。だが、陸上と自分自身に真摯に向き合い、自らを高めていく姿は、一人のアスリートとして光り輝いていた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.18

都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]

NEWS 西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

NEWS 栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

2025.01.17

栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top