2019.02.21
追跡 箱根駅伝 相澤 晃 (東洋大)
「箱根」と「安芸路」で快走
いざ、学生長距離界の〝新エース〟に!!
今年の箱根駅伝は4区(20.9km)で区間記録(1時間2分21秒)を塗り替えただけでなく、藤田敦史(駒大/現・駒大ヘッドコーチ)の旧区間記録をも上回る〝実質最速〟の1時間0分54秒で走破。東洋大の往路V2に貢献した相澤晃(3年)の勢いが止まらない。アンカーを任された1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝では、25秒先行する群馬を悠々と逆転して福島に初優勝をもたらした。
1月に2つの駅伝で快走し、学生長距離界の〝新エース〟に名乗りを挙げた相澤は、大学最後のシーズンにどんな進化を遂げるのか。
箱根駅伝で〝新たな感覚〟
正月の箱根駅伝は東洋大・相澤晃(3年)にとって悔しさと喜びが交錯した大会になった。昨年11月末に左腓骨筋を痛めた影響で、前回区間3位で走破した〝花の2区〟を回避。代わって4区に出走すると、昨年の大会で大塚倭(神奈川大/現・NTT西日本)が出した区間記録(1時間2分21秒)を大幅に縮め、駒大・藤田敦史(現・駒大コーチ)が1999年に旧コースで樹立した〝実質区間記録(1時間0分56秒)〟も2秒上回った。
「ベストな状態で臨めたわけではなかったですけど、スタートラインに立った時には区間賞を取ると決めていました。総合優勝はできませんでしたが、想定以上の走りはできたと思います。福島の偉大な先輩である藤田さんの記録を超えられたこともすごく自信になりました」
相澤は総合優勝を逃した悔しさを味わいながらも、個人の走りとしては〝ステージ〟をワンランク上げている。
「全日本(大学駅伝、11月/8区19.7kmで区間賞=58分23秒)までと箱根以降は感覚的に違うんです。全日本はがんばって走っている感じでしたけど、箱根は力まなくても走れるというか、動くようになったんです」
箱根でつかんだ〝新たな感覚〟は1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝でも発揮されることになる。箱根の後は数日間のオフを取ってから順調にトレーニングを消化。箱根前に痛めた左腓骨筋も完治し、体調が上がる気配を感じていた。
「昨年は箱根の後、相当ダメージがあったんです。でも、今回は12月もそこまで練習をやってなかったですし、前回走った2区と比べるときついコースではなかったので、ダメージは少なかったと思います」
昨年の都道府県駅伝もアンカーを予定していたが、胃腸炎になって当日交代している。今年は前回7区(13.0km)で区間2位だった東洋大の後輩・西山和弥(2年)の記録(38分01秒)を参考に「38分00秒」という目標タイムを設定。1km 2分55秒ペースで走るイメージでスピード練習を行ってきた。
「ウォーミングアップの段階からすごく調子が良くて、区間3位以内では走れるんじゃないかなという気持ちでした」
13kmを2分51秒ペースで走破
そして迎えた3年ぶりの安芸路。トップの群馬・牧良輔(SUBARU)と25秒差の2位でスタートした相澤は、同タイムでタスキをつないだ長野の中谷雄飛(早大)と並走するかたちで前を追いかけた。中谷の存在もあり、当初の予定よりもハイペースになった。
「初優勝のためには前(群馬)を追わなければいけない。スタート前に長野の中谷君から『一緒に行きましょう』と声をかけられたんですけど、中谷君が背後ではなく、横で走ってくれたので、一緒に前を追いかけることができて良かったです。5kmを14分20秒くらいで入れたらと考えていたんですけど、14分04秒の通過で、中間点が18分29秒だったんです。中谷君に終盤までつかれたらラスト勝負では負けるなと思っていたので、その前に引き離しました」
7km過ぎに中谷を振り切った相澤は7.6km付近で牧をかわしてトップに立ち、10kmは28分20秒前後と、10000mの自己ベスト(28分17秒81)に近いタイムで通過。最終的には区間記録にあと5秒と迫る37分14秒で区間賞を獲得した。13kmを1km2分51秒ペースで走破したことになる。
「佐藤敦之さん(現・京セラ監督)が持っていた福島県記録(37分29秒)を少しは意識していましたが、タイムには驚きましたね。あまり力まず、きつすぎないペースで走ることを考えていました。その結果が1km2分50~51秒くらいのペースだったんです。自分の中では2分52秒はイージーというか、楽に走れるタイム。後半はそのペースを意識して走りました」
箱根に続き、約半月後の広島でも快走した相澤は何かをつかみつつある。
※この続きは2019年2月14日発売の『月刊陸上競技』3月号をご覧ください
追跡 箱根駅伝 相澤 晃 (東洋大)
「箱根」と「安芸路」で快走 いざ、学生長距離界の〝新エース〟に!!
今年の箱根駅伝は4区(20.9km)で区間記録(1時間2分21秒)を塗り替えただけでなく、藤田敦史(駒大/現・駒大ヘッドコーチ)の旧区間記録をも上回る〝実質最速〟の1時間0分54秒で走破。東洋大の往路V2に貢献した相澤晃(3年)の勢いが止まらない。アンカーを任された1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝では、25秒先行する群馬を悠々と逆転して福島に初優勝をもたらした。 1月に2つの駅伝で快走し、学生長距離界の〝新エース〟に名乗りを挙げた相澤は、大学最後のシーズンにどんな進化を遂げるのか。箱根駅伝で〝新たな感覚〟
正月の箱根駅伝は東洋大・相澤晃(3年)にとって悔しさと喜びが交錯した大会になった。昨年11月末に左腓骨筋を痛めた影響で、前回区間3位で走破した〝花の2区〟を回避。代わって4区に出走すると、昨年の大会で大塚倭(神奈川大/現・NTT西日本)が出した区間記録(1時間2分21秒)を大幅に縮め、駒大・藤田敦史(現・駒大コーチ)が1999年に旧コースで樹立した〝実質区間記録(1時間0分56秒)〟も2秒上回った。 「ベストな状態で臨めたわけではなかったですけど、スタートラインに立った時には区間賞を取ると決めていました。総合優勝はできませんでしたが、想定以上の走りはできたと思います。福島の偉大な先輩である藤田さんの記録を超えられたこともすごく自信になりました」 相澤は総合優勝を逃した悔しさを味わいながらも、個人の走りとしては〝ステージ〟をワンランク上げている。 「全日本(大学駅伝、11月/8区19.7kmで区間賞=58分23秒)までと箱根以降は感覚的に違うんです。全日本はがんばって走っている感じでしたけど、箱根は力まなくても走れるというか、動くようになったんです」 箱根でつかんだ〝新たな感覚〟は1月20日の全国都道府県対抗男子駅伝でも発揮されることになる。箱根の後は数日間のオフを取ってから順調にトレーニングを消化。箱根前に痛めた左腓骨筋も完治し、体調が上がる気配を感じていた。 「昨年は箱根の後、相当ダメージがあったんです。でも、今回は12月もそこまで練習をやってなかったですし、前回走った2区と比べるときついコースではなかったので、ダメージは少なかったと思います」 昨年の都道府県駅伝もアンカーを予定していたが、胃腸炎になって当日交代している。今年は前回7区(13.0km)で区間2位だった東洋大の後輩・西山和弥(2年)の記録(38分01秒)を参考に「38分00秒」という目標タイムを設定。1km 2分55秒ペースで走るイメージでスピード練習を行ってきた。 「ウォーミングアップの段階からすごく調子が良くて、区間3位以内では走れるんじゃないかなという気持ちでした」13kmを2分51秒ペースで走破
そして迎えた3年ぶりの安芸路。トップの群馬・牧良輔(SUBARU)と25秒差の2位でスタートした相澤は、同タイムでタスキをつないだ長野の中谷雄飛(早大)と並走するかたちで前を追いかけた。中谷の存在もあり、当初の予定よりもハイペースになった。 「初優勝のためには前(群馬)を追わなければいけない。スタート前に長野の中谷君から『一緒に行きましょう』と声をかけられたんですけど、中谷君が背後ではなく、横で走ってくれたので、一緒に前を追いかけることができて良かったです。5kmを14分20秒くらいで入れたらと考えていたんですけど、14分04秒の通過で、中間点が18分29秒だったんです。中谷君に終盤までつかれたらラスト勝負では負けるなと思っていたので、その前に引き離しました」 7km過ぎに中谷を振り切った相澤は7.6km付近で牧をかわしてトップに立ち、10kmは28分20秒前後と、10000mの自己ベスト(28分17秒81)に近いタイムで通過。最終的には区間記録にあと5秒と迫る37分14秒で区間賞を獲得した。13kmを1km2分51秒ペースで走破したことになる。 「佐藤敦之さん(現・京セラ監督)が持っていた福島県記録(37分29秒)を少しは意識していましたが、タイムには驚きましたね。あまり力まず、きつすぎないペースで走ることを考えていました。その結果が1km2分50~51秒くらいのペースだったんです。自分の中では2分52秒はイージーというか、楽に走れるタイム。後半はそのペースを意識して走りました」 箱根に続き、約半月後の広島でも快走した相澤は何かをつかみつつある。 ※この続きは2019年2月14日発売の『月刊陸上競技』3月号をご覧ください
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