HOME バックナンバー
【誌面転載】「逆襲」のプロ・スプリンター ケンブリッジ飛鳥
【誌面転載】「逆襲」のプロ・スプリンター ケンブリッジ飛鳥

「逆襲」のプロ・スプリンター ケンブリッジ飛鳥

〝モヤモヤ〟続いたリオ後の2年「来季こそ爆発したい」

日大を卒業して社会人1年目のシーズン(2016年)に大ブレイクした、男子短距離のケンブリッジ飛鳥(Nike/当時・ドーム)。日本選手権の100mで山縣亮太(セイコー)と桐生祥秀(日本生命/当時・東洋大)を終盤の爆発力で蹴散らし、初優勝。その年のリオ五輪では100mで準決勝まで進出すると、銀メダルに輝いた4×100mリレーではアンカーを務め、ジャマイカのウサイン・ボルトに次いでフィニッシュした。翌年からプロに転向したケンブリッジはロンドン世界選手権、ジャカルタ・アジア大会と2017年、18年の主要大会代表になっているものの、彼本来の走りが影を潜めている。17年に10秒08(-0.9)まで自己記録を縮めたが、18年のシーズンベストは10秒12(+0.9)にとどまり、「ここ2年間はずっとモヤモヤが続いている」状態。そこからの脱却を図って再び上昇軌道に戻すため、ケンブリッジはこの冬、海外に行かず母校の日大グラウンドで走り込んでいた。

10月半ばから冬季トレーニング

東京・世田谷にある日大グラウンドは、冬休みに入った附属の高校生も練習にやってきて賑わっていた。師走も押し詰まった12月25日。天気予報では「クリスマス寒波」の到来が言われていたが、風さえなければ日差しが暖かい。
午前9時半から小一時間、ダイナマックス・メディシンボールなどを使ったフィジカル・トレーニングでウォーミングアップを済ませたケンブリッジは、額にうっすら汗を浮かべていた。
8月末のジャカルタ・アジア大会で2018年シーズンを終え、10月半ばには冬季トレーニングに入った。「シーズン中の感覚が良くなかったので、秋のレースは見送って、ちょっとゆっくりしてから、普段より早めに来季に向けたトレーニングに入りました」とケンブリッジ。「最初の2週間は完全オフにしたんですけど、その後は動いてないのが気持ち悪くて、週に1~2回グラウンドに来て、300m1本走ったりして帰るとかしてました」と言って笑う。それも含めて1ヵ月半の休養期間は「一番長いオフかもしれません」。
冬季トレーニングの火曜日と土曜日は走ることがメインで、特に火曜日はスピード系のメニューが中心。この日の本練習は300m+200m+100m+200mで、つなぎはウォーク。サングラスに白の長袖シャツ、黒のアンダータイツ姿のケンブリッジは後輩の学生4人を従え、最初の300mを36秒台で走ったが、だんだんと疲労が溜まり、最後の200mは1人で遅れてやることに。ストップウォッチを持つ渕野辰雄コーチ(日大短距離コーチ)が「もがくなよ」と叫ぶ中、何とか走り終えたケンブリッジは、しばらく横になって回復を待った。
「2セットじゃなくて良かったな」と苦笑いしながら、選手たちに声をかける渕野コーチ。ケンブリッジは「火曜と土曜はいつもヘロヘロで、ぶっ倒れてます」と打ち明けるが、充実した練習が継続できている様子で、表情はシーズン中より明るかった。

1年前の米国長期合宿は「行って良かった」

1年前の冬は米国アリゾナ州のクラブチーム「Altis」に単身で行き、年末年始の一時帰国を挟んで11月から年明け4月まで4ヵ月半、長期滞在してトレーニングを積んだ。決してアジア大会をないがしろにしたわけではないが、2018年は世界選手権もオリンピックもない年。2020年の東京五輪を考えると、「普段と違ったことに挑戦するのはこの時期かな」と決断した。

※この続きは2019年1月12日発売の『月刊陸上競技』2月号をご覧ください

「逆襲」のプロ・スプリンター ケンブリッジ飛鳥

〝モヤモヤ〟続いたリオ後の2年「来季こそ爆発したい」

日大を卒業して社会人1年目のシーズン(2016年)に大ブレイクした、男子短距離のケンブリッジ飛鳥(Nike/当時・ドーム)。日本選手権の100mで山縣亮太(セイコー)と桐生祥秀(日本生命/当時・東洋大)を終盤の爆発力で蹴散らし、初優勝。その年のリオ五輪では100mで準決勝まで進出すると、銀メダルに輝いた4×100mリレーではアンカーを務め、ジャマイカのウサイン・ボルトに次いでフィニッシュした。翌年からプロに転向したケンブリッジはロンドン世界選手権、ジャカルタ・アジア大会と2017年、18年の主要大会代表になっているものの、彼本来の走りが影を潜めている。17年に10秒08(-0.9)まで自己記録を縮めたが、18年のシーズンベストは10秒12(+0.9)にとどまり、「ここ2年間はずっとモヤモヤが続いている」状態。そこからの脱却を図って再び上昇軌道に戻すため、ケンブリッジはこの冬、海外に行かず母校の日大グラウンドで走り込んでいた。

10月半ばから冬季トレーニング

東京・世田谷にある日大グラウンドは、冬休みに入った附属の高校生も練習にやってきて賑わっていた。師走も押し詰まった12月25日。天気予報では「クリスマス寒波」の到来が言われていたが、風さえなければ日差しが暖かい。 午前9時半から小一時間、ダイナマックス・メディシンボールなどを使ったフィジカル・トレーニングでウォーミングアップを済ませたケンブリッジは、額にうっすら汗を浮かべていた。 8月末のジャカルタ・アジア大会で2018年シーズンを終え、10月半ばには冬季トレーニングに入った。「シーズン中の感覚が良くなかったので、秋のレースは見送って、ちょっとゆっくりしてから、普段より早めに来季に向けたトレーニングに入りました」とケンブリッジ。「最初の2週間は完全オフにしたんですけど、その後は動いてないのが気持ち悪くて、週に1~2回グラウンドに来て、300m1本走ったりして帰るとかしてました」と言って笑う。それも含めて1ヵ月半の休養期間は「一番長いオフかもしれません」。 冬季トレーニングの火曜日と土曜日は走ることがメインで、特に火曜日はスピード系のメニューが中心。この日の本練習は300m+200m+100m+200mで、つなぎはウォーク。サングラスに白の長袖シャツ、黒のアンダータイツ姿のケンブリッジは後輩の学生4人を従え、最初の300mを36秒台で走ったが、だんだんと疲労が溜まり、最後の200mは1人で遅れてやることに。ストップウォッチを持つ渕野辰雄コーチ(日大短距離コーチ)が「もがくなよ」と叫ぶ中、何とか走り終えたケンブリッジは、しばらく横になって回復を待った。 「2セットじゃなくて良かったな」と苦笑いしながら、選手たちに声をかける渕野コーチ。ケンブリッジは「火曜と土曜はいつもヘロヘロで、ぶっ倒れてます」と打ち明けるが、充実した練習が継続できている様子で、表情はシーズン中より明るかった。

1年前の米国長期合宿は「行って良かった」

1年前の冬は米国アリゾナ州のクラブチーム「Altis」に単身で行き、年末年始の一時帰国を挟んで11月から年明け4月まで4ヵ月半、長期滞在してトレーニングを積んだ。決してアジア大会をないがしろにしたわけではないが、2018年は世界選手権もオリンピックもない年。2020年の東京五輪を考えると、「普段と違ったことに挑戦するのはこの時期かな」と決断した。 ※この続きは2019年1月12日発売の『月刊陸上競技』2月号をご覧ください

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.18

都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]

NEWS 西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

NEWS 栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

2025.01.17

栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top