◇織田記念(4月29日/広島・エディオンスタジアム)
サトウ食品日本グランプリシリーズの織田記念、男子100mは山縣亮太(セイコー)が小池祐貴(住友電工)、桐生祥秀(日本生命)、多田修平(住友電工)らを抑えて優勝した。
地元・広島で久々の快走見せた山縣は3年ぶりのVに笑顔が弾けた。「予選、決勝と自分が思っている結果に近いものだったので安心しています」。雨の中だった予選は10秒29(+1.0)、そして決勝ではスタートから「自分のレースに持ち込む」強みを見せると、「中間からの加速も、このレースに限れば出せた。中盤は手応えがありました」と、10秒14(+0.1)で完勝した。10秒1台は2019年5月以来、約2年ぶり。2着の小池に0.12秒差をつけた。
その19年6月以降、肺気胸や度重なるケガに泣かされてきた山縣。だが、2012年ロンドン五輪、16年リオ五輪と100mで日本人最高記録をマークしてきた「オリンピック男」が、やはり東京五輪シーズンに調子を上げてきた。「ケガがあり、スピードを抑えることが多かった」が、この冬からシーズンインまで「全力を出す」とテーマに取り組んできた。
今年2月からは寺田明日香らを指導する高野大樹氏をコーチに迎えた。これまで特定のコーチを置かずに競技をしてきた山縣だが、「第三者の目を通すことで自分の走りを最短距離で完成させていく」と新たな試みをし、大きな効果をもたらしたといえる。
これまで何度も挫折と復活を繰り返した山縣。「ケガ、不調の原因を考え尽くしてきたことと、周囲のサポートがあった」からこそ、どんな逆境もはねのけてきた。「周りから見ても、調子を戻してきたなと思ってもらえるレース。自信がついたレースになった」と胸を張る。
東京五輪の参加標準記録は10秒05。現在、サニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)、桐生、小池が突破済み。出場枠は最大3名のため、参加標準記録突破は最低条件。「ここから身体も仕上がっていくと思うので、射程圏内に入っていると感じます」と、山縣は大きな手応えをつかんだ。
2位の小池は「前半の乗りが良くなかった。どこかでミスをしたらタイムが落ちる」とレースを振り返る。桐生は10秒30で3着。「まだスピード練習が足りていないので、次(5月9日のテストイベント)に向けて修正したい」。4位に多田が10秒32で続いた。
同大会では男女スプリントーハードルで金井大旺(ミズノ)、寺田明日香(ジャパンクリエイト)が日本記録を樹立したほか、女子やり投では佐藤友佳(ニコニコのり)が61m01のセカンドベストで優勝した。
男子やり投では小南拓人(染めQ)が最終投てきで日本歴代5位となる82m52を投げて、ディーン元気(ミズノ)を逆転して優勝。「練習から調子が良かった。最後は思いっ切り投げた」と言い、「次も確実に80mを超えられるようにしたい」と語った。
男子走幅跳は小田大樹(ヤマダホールディングス)が7m98(+2.4)で優勝。「試合の流れが良かった。走り込みで基礎体力も向上した。次につなげていきたい」とした。注目の橋岡優輝(富士通)は1、2回目とファウルが続いて3回目に7m97(+1.1)と記録を残したが、残り3回もファウル。日本記録(8m40)を大きく上回る跳躍を見せつつ、「助走は良かったが、ファウルはファウル。この負けでより自分が強くなれると思う」と総括した。
女子5000mは五輪代表に内定している田中希実(豊田自動織機TC)が15分11秒82で日本人トップの3位だった。女子100mは君嶋愛梨沙(土木管理総合)が11秒64(+0.9)の自己新で優勝。男子3000m障害はフィレモン・キプラガット(愛三工業)に続いて三浦龍司(順大)が8分25秒31で日本人トップ、女子3000m障害は吉村玲美(大東大)が9分51秒47で制した。


|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.04.27
-
2025.04.20
-
2025.04.20
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.01
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.27
5000m松井海斗が13分44秒59の大会新V 果敢に牽引したルーキー・鈴木琉胤が2位/日本学生個人
◇日本学生個人選手権(4月25日~27日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)3日目 ワールドユニバーシティゲームズ代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権が行われ、男子5000mは松井海斗(東洋大)は13分44秒59で優勝し […]
2025.04.27
3000mSCはルーキー・佐々木哲が8分36秒30の大会新で制覇!「もっと上を目指して」/日本学生個人
◇日本学生個人選手権(4月25日~27日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)3日目 ワールドユニバーシティゲームズ代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権が行われ、男子3000m障害はルーキーの佐々木哲(早大)が8分36秒3 […]
2025.04.27
落合晃が東京世界陸上へ前進 開催国枠エントリー記録にピタリ! 「一本一本のレースを大切に」/日本学生個人
◇日本学生個人選手権(4月25日~27日/神奈川・レモンガススタジアム平塚)3日目 ワールドユニバーシティゲームズ代表選考会を兼ねた日本学生個人選手権が行われ、男子800mで日本記録保持者(1分44秒80)の落合晃(駒大 […]
2025.04.27
ルイジアナ州立大・澤田結弥が1500m4分23秒82のシーズンベスト 日本陸連ダイヤモンドアスリート
日本陸連のダイヤモンドアスリート・澤田結弥(ルイジアナ州立大)が4月26日に同大学で行われた競技会「LSU Alumni Gold」の女子1500mでシーズンベストとなる4分23秒82をマークして3位に入った。 序盤は1 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)