2018.09.15
特集 全中岡山大会
第45回全日本中学校選手権大会は8月19日~21日の3日間、岡山市のシティライトスタジアム(岡山県総合グラウンド陸上競技場)で行われ、女子砲丸投では地元岡山の2年生・奥山琴未(上道)が、従来の記録を21cm更新する16m88の中学新記録を打ち立てて優勝。男子走幅跳を大会タイ記録の7m22(+0.9)で制した栁田大輝(館林一3群馬)とともに、MVPに相当する文部科学大臣賞を受賞した。
驚異の2年生プッター、地元で輝く
大会最終日、女子砲丸投に出場した地元岡山の2年生・奥山琴未(上道)が、特大の中学新記録を樹立した。
1投目で15m16、2投目に16m58の大会新(中学歴代2位)を刻み、迎えた3投目。「全然(砲丸が)飛んだ感じがしなかった」と振り返る一投だったが、スピード感のあるグライドから放たれた鉄球は、16mラインを大きく越えて地面へ落下。スタンドからは「オォー!」と歓声が上がり、大記録誕生の期待が高まる。奥山はタオルを口元に当てながら祈り、そして電光掲示板に記録が表示された――。
「16m88」。
2014年3月に尾山和華(志方・兵庫/現・福岡大)が打ち立てた16m67を上回り、7月に14歳を迎えたばかりの少女が〝中学記録保持者〟となった瞬間だった。
「記録にはびっくりしました。いろんな人たちから『がんばれ!』とか『観に行くからな!』と言われ、期待を裏切らないようにしようと、決勝の1投目まではかなり緊張していました」と、地元ならではのプレッシャーを感じていたという奥山。しかし、そんなマイナスな感情を吹き飛ばしたのは、競り合えるライバルの存在だった。
「今回の好記録は、会場の雰囲気と今西さん(あかり/天理南3奈良)の存在が大きかったと思います。2投目に入る直前、今西さんが15m48でトップに立ったことで、(奥山の)スイッチが入ったのでしょう」と、クラブチーム「さくら走練」で指導する竹中一雄監督。奥山は大記録を打ち立てた後も〝スイッチ〟を切らさず、16m16、16m61と16m台を連発。2位の今西に1m21差をつけ、2年生優勝、地元Ⅴ、そしてMVPにあたる文部科学大臣賞も手中に収めた。
奥山は、全国小学生交流大会で5年時にソフトボール投3位、6年時にジャベリックボール投で4位の実績があり、砲丸投を本格的に取り組み始めたのは中学入学後から。昨年は1年生ながら全中で2位に食い込み、2016年までの中1最高記録(13m85)を何度も更新。3月には15m73をマークした。
顧問の古茂田充先生いわく「素直で負けず嫌いな性格」で、練習では自分が納得するまで止めない一面があるという。そんな性格が記録向上に結びついたのか、2年生になってもその勢いはとどまることを知らず、4月に中2最高の15m82、7月23日の岡山県中学通信では中学歴代3位の16m32をプット。そして、地元全中でさらなる飛躍を遂げた。
「今後は17mを目指していきたいです」と意気込みを口にした奥山だったが、実は決勝の練習投てきで「17m04」の〝幻の17m〟を叩き出していた。「砲丸投は私にとって親友みたいな存在です!」と話す奥山は、今後どこまで記録を伸ばすのだろうか。
(松永貴允)
※全中岡山大会については2018年9月14日発売の『月刊陸上競技』10月号で詳しく特集しています

特集 全中岡山大会
第45回全日本中学校選手権大会は8月19日~21日の3日間、岡山市のシティライトスタジアム(岡山県総合グラウンド陸上競技場)で行われ、女子砲丸投では地元岡山の2年生・奥山琴未(上道)が、従来の記録を21cm更新する16m88の中学新記録を打ち立てて優勝。男子走幅跳を大会タイ記録の7m22(+0.9)で制した栁田大輝(館林一3群馬)とともに、MVPに相当する文部科学大臣賞を受賞した。驚異の2年生プッター、地元で輝く
大会最終日、女子砲丸投に出場した地元岡山の2年生・奥山琴未(上道)が、特大の中学新記録を樹立した。 1投目で15m16、2投目に16m58の大会新(中学歴代2位)を刻み、迎えた3投目。「全然(砲丸が)飛んだ感じがしなかった」と振り返る一投だったが、スピード感のあるグライドから放たれた鉄球は、16mラインを大きく越えて地面へ落下。スタンドからは「オォー!」と歓声が上がり、大記録誕生の期待が高まる。奥山はタオルを口元に当てながら祈り、そして電光掲示板に記録が表示された――。 「16m88」。 2014年3月に尾山和華(志方・兵庫/現・福岡大)が打ち立てた16m67を上回り、7月に14歳を迎えたばかりの少女が〝中学記録保持者〟となった瞬間だった。 「記録にはびっくりしました。いろんな人たちから『がんばれ!』とか『観に行くからな!』と言われ、期待を裏切らないようにしようと、決勝の1投目まではかなり緊張していました」と、地元ならではのプレッシャーを感じていたという奥山。しかし、そんなマイナスな感情を吹き飛ばしたのは、競り合えるライバルの存在だった。 「今回の好記録は、会場の雰囲気と今西さん(あかり/天理南3奈良)の存在が大きかったと思います。2投目に入る直前、今西さんが15m48でトップに立ったことで、(奥山の)スイッチが入ったのでしょう」と、クラブチーム「さくら走練」で指導する竹中一雄監督。奥山は大記録を打ち立てた後も〝スイッチ〟を切らさず、16m16、16m61と16m台を連発。2位の今西に1m21差をつけ、2年生優勝、地元Ⅴ、そしてMVPにあたる文部科学大臣賞も手中に収めた。 奥山は、全国小学生交流大会で5年時にソフトボール投3位、6年時にジャベリックボール投で4位の実績があり、砲丸投を本格的に取り組み始めたのは中学入学後から。昨年は1年生ながら全中で2位に食い込み、2016年までの中1最高記録(13m85)を何度も更新。3月には15m73をマークした。 顧問の古茂田充先生いわく「素直で負けず嫌いな性格」で、練習では自分が納得するまで止めない一面があるという。そんな性格が記録向上に結びついたのか、2年生になってもその勢いはとどまることを知らず、4月に中2最高の15m82、7月23日の岡山県中学通信では中学歴代3位の16m32をプット。そして、地元全中でさらなる飛躍を遂げた。 「今後は17mを目指していきたいです」と意気込みを口にした奥山だったが、実は決勝の練習投てきで「17m04」の〝幻の17m〟を叩き出していた。「砲丸投は私にとって親友みたいな存在です!」と話す奥山は、今後どこまで記録を伸ばすのだろうか。 (松永貴允) ※全中岡山大会については2018年9月14日発売の『月刊陸上競技』10月号で詳しく特集しています
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.22
フランス発のランニング専門ブランド「KIPRUN」 いよいよ日本でも本格展開
-
2025.04.22
-
2025.04.22
-
2025.04.17
-
2025.04.19
-
2025.04.17
-
2025.04.20
-
2025.04.20
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.04.01
-
2025.04.12
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.22
駒大・大八木総監督の「Ggoat」が新チーム設立! 駒大OB中心に個人レースや駅伝出場へ 中高生の指導も開始
駒大総監督の大八木弘明氏が選手とともに世界を目指すアスリートプロジェクト「Ggoat Project」は4月21日、新たなチーム「Ggoat Running Team」を設立したと発表した。2月から活動を始めている。 新 […]
2025.04.22
フランス発のランニング専門ブランド「KIPRUN」 いよいよ日本でも本格展開
フランス発のランニング専門ブランド「KIPRUN」。2018年にその歴史が始まったが、瞬く間に世界中の話題を席巻した。2025年1月には千葉・幕張にもオフィシャルショップがオープンし、徐々に日本国内でもその名が知られるよ […]
2025.04.22
劇場長編アニメーション『ひゃくえむ。』 主演は松坂桃李さん&染谷将太さんに決定! 東京世界陸上開催中の9月19日から公開
人気漫画「チ。―地球の運動について―」で手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞するなど、注目を集める漫画家の魚豊さんの連載デビュー作「ひゃくえむ。」。その劇場版アニメの9月19日に公開されることが決まった。 また、物語に登場する […]
2025.04.22
コリルが2時間4分45秒でメジャーマラソン連勝!女子はロケディが2時間17分22秒の大会新V/ボストンマラソン
第129回ボストン・マラソンは4月21日に米国の当地で行われ、男子はジョン・コリル(ケニア)が大会歴代3位の2時間4分45秒で優勝した。女子でシャロン・ロケディ(ケニア)が2時間17分22秒の大会新で制した。 最初の5k […]
2025.04.22
Onが三浦龍司をアスリート契約締結「新しい競技人生のスタート」本職初戦で世界陸上「内定決めたい」
スイスのスポーツブランド「On(オン)」は4月22日、男子3000m障害で五輪2大会連続入賞の三浦龍司(SUBARU)とアスリート契約締結を発表した。同日、国立競技場で会見を開いた。 勢いに乗るスポーツメーカーと日本のエ […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)