◇シレジア2021世界リレー選手権日本代表選考トライアル(3月28日/宮崎・ひなた陸上競技場)
世界リレー選手権(5月1日、2日/ポーランド)に向けての代表選考レース、女子100mは高校生が魅せた。決勝で鋭く抜け出した青山華依(大阪高3)が、高校歴代&U20日本歴代4位タイとなる11秒56(-0.4)の自己新でトップ。2位に齋藤愛美(大阪成蹊大)が11秒66で続き、石川優(相洋高3神奈川)が11秒71で続いた。
青山、石川、そして石堂陽奈(立命館慶祥高3北海道)の『高校女子スプリントトップ3』の中で、11秒5台がなかった青山がついに自己新で、仲良く同タイムで歴代にランクイン。「11秒5台が出てうれしいです」と笑顔が弾けた。つい10日前の大阪室内の60mでU20室内日本新となる7秒38をマークしていた青山。「室内で課題だったスタートの反応と、1歩目、2歩目を意識できていたので、それを発揮できた」と言う。後半は「少し落ちてしまった」と反省するが、「前半からスピードに乗れた」という会心のレースだった。
陸上経験者で、インターハイ優勝経験のある両親の元に生まれた青山。昨年は親子制覇を狙ったインターハイもコロナ禍で中止となり、相性の良い国体も延期、そして100mのベストが高2の11秒61から更新できずと、悔しい思いをしたシーズンだった。
それでも、冬は「長い距離を積んできたお陰で、後半まで落ちないで走れるようになったし、疲れにくくなりました」と充実の鍛錬期を過ごしてきた。これで4月10日に編成される出雲陸上の女子4×100mリレーメンバー入りにも大きく近づき、「代表になりたいという気持ちも少し出てきました」と言う。
春からは甲南大に進学し、元100m日本記録保持者の伊東浩司氏の師事を仰ぐ。そんな青山があこがれるのは和田麻希(ミズノ)と寺田明日香(パソナグループ)。「走りも含めて、全部がかっこいい」と言う。来る大学生活では、「高校記録は出せなかったので、学生記録(11秒32)の更新を目指していきたいです」と、新たな環境での目標を掲げた。
昨年100mで11秒35を出した兒玉芽生(福岡大)は女子100mと200mに出場。100m予選で12秒13(-3.3)を走ったあと、200mの途中で「少し右脚に違和感を覚えた」と流すかたちになって24秒50(-0.6)の5着。100m決勝は大事をとって棄権したが、「大きなケガなく順調に練習が積めている」とシーズンに向けては心配なさそう。
200mで日本選手権を制した鶴田玲美(南九州ファミリーマート)は100m(予選12秒33/-3.3)と400m(56秒30)に出場。100mについては「まだスピードが上げ切れていない」と話した。400mは「100mと200mにつながるように出場した」とその意図を明かし、「最初からスピードに乗れず、ただただ疲れた」と苦笑い。
昨シーズンや今回のトライアルの結果を踏まえて代表を選考する4×100mリレーは、世界リレーの出場を目指して4月10日の出雲陸上でリレートライアルを実施。参加標準記録(43秒90)を突破する条件に「2ヵ国以上のレース」が必要なため、現在はインドネシア代表の派遣を交渉して、前向きに検討してくれているという。
■女子100m高校歴代・U20日本歴代5傑
11.43(1.8)土井杏南(埼玉栄2) 12年
11.46(1.4)御家瀬緑(恵庭北3) 19年
11.54(1.7)高橋萌木子(埼玉栄3) 06年
11.56(-0.1)石堂陽奈(立命館慶祥2) 19年
11.56(2.0)石川 優(相洋3) 20年
11.56(-0.4)青山華依(大阪3+) 21年
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