2021.03.19
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第86回「あこがれの松田耕作記者」(向永拓史)
前回、コラムを書いた時にも思いましたが、順番回ってくるのが早すぎ。誰かサボっているんじゃないか? と思ったけど、きちんと(遅れた人も、ギリギリの人もちらほら…)書いていました。これはもう、編集部の人員不足としか言えません。コラムもこれだけ続くと、書くことなんてなくなってきそうなものですが、案外、みんなちゃんと書いていますよね。どれくらい需要があるのかは不明ですが。
今回は、ちょっと紹介したい人がいるので、その人のことについて。
私は自分の話をするのはあまり好きではないのですが、スポーツマスコミを目指したのは大学生の頃だと思います。でも、小学生の頃から、ジャンプ<サッカーマガジンで、その頃から「雑誌」とか「スポーツ新聞」の記者にはあこがれていたのだと思います。サッカー選手をあきらめた高校生くらいには、おぼろげに「伝える側」というイメージがあったのかもしれません。
もちろん、文章を書くのも苦手で、本も当時は人並以下しか読んでいなかったです。そういう私が、とてもあこがれたスポーツ新聞の記者がいます。それが『日刊エヴリースポーツ』記者の「松田耕作」さんです。
誰? ですよね。知らない人は。
これは、浦沢直樹さんが描かれた漫画『YAWARA!』に出てくる登場人物です。『YAWARA!』を読んだことがない人なんて、日本にいませんよね? でも、念のため。柔道一家に生まれた少女・猪熊柔(いのくま・やわら)が、おじいちゃんの英才教育のもとで天賦の才を花開かせ、オリンピック金メダル、国民栄誉賞を獲得する物語なのです。いわゆる「フツーの女の子」になりたい柔は、柔道をやっていることをひた隠しにするのですが、ひょんなことから周囲にバレはじめ……。
と、まぁ名作なので読んでもらうしかないのですが、その猪熊柔を追いかける記者が松田記者なのです。
彼女を初めて見た時(最初はひったくりを巴投げする姿)から、そのスター性と輝きを感じ、まるでストーカーのごとくつきまといます。一歩間違えれば危ない人なのですが、そのスポーツ報道、アスリートに懸ける情熱たるや、すさまじいのです。めっちゃ熱い人。両親にお金を借りて海外取材をしたり、デスクに怒られながらも柔道ばかり取材したり。(めっちゃ怒られるけど、デスクは松田記者のことをめちゃくちゃ評価しているんですが)
そこには、常に選手を人として尊重し、尊敬している姿があります。とても人間味溢れる泥臭い人で、大好きです。そして、いつしか猪熊柔も惹かれていきます! 2人はお互いに好きなのに、ひっついたり、離れたりするのですが、そのへんも、やっぱり読んでもらうしかないのです。
あ、私は別に選手とどうこうなれる! というわけではないです。念のため。
その『YAWARA!』の中で、とても印象的なシーンがありまして。あるとき、猪熊柔が柔道から逃げて、やりたくない!となります(どうしてかは読んでください)。そこで、おじいちゃんが大激怒! 娘の部屋に勝手に入り(いつも怒られます)、自分が新聞の切り抜きをスクラップしていたアルバムを柔に投げて部屋を出ていきます。
柔は泣きながら、そのアルバムを開きます。自分の載っている新聞記事がたくさん貼ってあるのですが、それを読むと、どこからともなく大歓声が聞こえてくるんです。どれだけの人に応援されていたのか、自分がどれだけ柔道を好きだったのか。その文章の最後にはいつも「松田耕作」と記されています。そして、柔は再び柔道をすると決めるのです。
もうね、名シーンなんですよ。
これを最初に読んだ時は、自分がスポーツメディアになるとも、もちろん思っていなかったです。でも、こういう仕事を始めてから、ずっと「こういう記事を書けるようになりたい」と思っています。
アスリートがくじけそうになったとき、背中を押せる記事。それだけじゃダメで、読者にアスリートや競技の魅力がしっかり伝わるような記事。そんな仕事がしたい。
出版業界は厳しい状況です。この仕事をしたいという人は減っています。それでも、自分の書いた記事、作った本が、誰かの力になったり、役に立ったり。そういう可能性がある仕事をしていることを誇りに思います。
でも、こうしてざっと書いたのですが、『YAWARA!』の魅力も、松田記者の魅力も全然伝えられていない気がします。まだまだ、あこがれの記者のようにはなれそうもありませんね。
コラムも大変だし、雑誌も大変だし、どこかに松田記者のような人材はいませんか? 履歴書お待ちしています。
向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。尊敬する人はカズ、尾崎豊、宮本輝、本田宗一郎。 |
編集部コラム第85回「スポーツのチカラ」(小川)
編集部コラム第84回「初心」(船越)
編集部コラム第83回「高校生にとってのインターハイ」(松永)
編集部コラム第82回「2020年世界リストTop10入り日本人選手」(大久保)
編集部コラム第81回「〝きっかけ〟の提供を」(井上)
編集部コラム第80回「一番アツい夏」(山本)
編集部コラム第79回「前向きな言葉という魔法」(向永)
編集部コラム第78回「自分なりの『答え』を探す」(小川)
編集部コラム第77回「カメラマンの箱根駅伝」(船越)
編集部コラム第76回「専門誌記者の箱根駅伝」(松永)
編集部コラム第75回「データで見る箱根駅伝当日エントリー変更」(大久保)
編集部コラム第74回「2020年を振り返って」(井上)
編集部コラム第73回「プレッシャーとの向き合い方」(山本)
編集部コラム第72回「陸上競技のイメージを変えたい」(向永)
編集部コラム第71回「2020年ラストスパート!!」(小川)
編集部コラム第70回「理不尽なこと」(船越)
編集部コラム第69回「這い上がる」(松永)
編集部コラム第68回「都道府県対抗 男子十種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第67回「都大路も高速レースの予感」(井上)
編集部コラム第66回「陸上競技を続けると……?」(山本)
編集部コラム第65回「強い選手の共通点?パート2」(向永)
編集部コラム第64回「2020年シーズンはまだこれから!!」(小川)
編集部コラム第63回「質と量」(船越)
編集部コラム第62回「たかが2cm、されど2cm」(松永)
編集部コラム第61回「都道府県対抗 女子七種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
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編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
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編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第86回「あこがれの松田耕作記者」(向永拓史)


向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。尊敬する人はカズ、尾崎豊、宮本輝、本田宗一郎。 |
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