◇日本選手権室内(3月17、18日/大阪城ホール)
男子60mハードルは予選で室内日本新(7秒56)を出していた泉谷駿介(順大)が、その記録をさらに0.06秒短縮する7秒50で優勝した。この記録は今季世界リスト4位、アジア歴代では2004年アテネ五輪金メダリストでもある劉翔(中国)の7秒41に次ぐ2位という快記録だ。
予選から快調なハードリングを見せていた泉谷。6レーンに入った決勝も、1台目までのアプローチを、昨年から取り組み始めた7歩でしっかりと合わせると、そのまま勢いに乗る。左に並ぶ石川、金井との競り合いから中盤で抜け出し、最後は身体一つの差をつけてフィニッシュラインを駆け抜けた。
「決勝は良ければ7秒4台を狙っていたけど、勝てたことが良かった。周りの人たちがまだ調整しきっていない部分もあると思うけど、このメンバーの中で勝てたことは自信になる。スタートを7歩に変えたことで、予選の前半は失敗しましたが、決勝でしっかりと取り返すことができた」
昨年は春先に左、コロナ禍で遅れたシーズンの開幕直後の8月には右のハムストリングスを肉離れ。10月の日本選手権にはなんとか間に合わせて3位を確保したが、ドーハ世界選手権代表入りを果たすなど大躍進を遂げた2019年ほどのインパクトは残せなかった。
しかし、冬季にケガをしたハムストリングスやお尻周りをしっかりと鍛え上げ、スプリントも着実に成長。しかも、その身体をうまくコントロールすることもできたという。スタートからのアプローチも、「スプリントがついてきて全体の出力も上がっている。今回うまくいったので、今シーズンはこのまま7歩でいきたいと考えている」と、この日の走りに大きな手応えを得たようだ。
ドーハでは直前のケガで立てなかった世界のスタートライン。東京五輪ではそこで、世界と戦うことを目指している。東京五輪の参加標準記録(13秒32)にはまだ届いていないが、自己ベストの13秒36を早い段階で更新してきそうな勢い。「五輪が開催されるならハードル一本に集中する。今回良いスタートが切れたので、ここからどんどん上げていけるように、がんばっていきたい。東京では決勝に残りたい」と力強く語る。
大学1年時にはU20世界選手権(U20規格)で銅メダルを獲得するなどハードラーとして活躍してきた一方、神奈川・武相高ではインターハイの八種競技で優勝、走幅跳は追い風参考で8mオーバー、三段跳のベストは16m08とその能力は多岐にわたる。
我慢を強いられた2020年を経て、爆発の予感が漂う大器。大学ラストイヤーに向けて、泉谷が最高のスタートを切った。
2位は前回王者・石川周平(富士通)で7秒57。「7秒5台を目標にしていたので、それを達成できて良かった」と振り返った。予選で泉谷とともに室内日本記録を樹立していた金井大旺(ミズノ)は7秒60で3位にとどまり、「決勝はスタートの1歩目でちょっと浮いてしまった。悔しさが残るレースでした」。屋外110mの日本記録(13秒25)保持者・高山峻野(ゼンリン)はフライングで失格となった。

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