2021.01.28
連載34区
「箱根駅伝振り返り!復路編」
長野県をロケしてきました!
佐久長聖高出身の濱野選手が激走
みなさん、こんばんは!
前回に引き続き、箱根駅伝の振り返りをお届けします。今回は復路編です!
折り返しの6区では、往路のタイムが1位より10分以上遅れていた大学は時間差スタートをせずに午前8時10分に一斉スタートをします。今年、一斉スタートとなったチームは例年より少なく4校でした。近年では10校以上繰り上げ一斉スタートすることもあり、改めて今年は各大学の実力が拮抗していることが感じ取れました。
トップを走るのは創価大学・濱野将基選手(2年)。ご本人は「まさか1位でスタートすることになるとは」と予想していなかったそうです。そんな濱野選手は神奈川県出身。ですが高校は長野県にある佐久長聖高校へ進みました。私も長野県出身ということもあり高校駅伝では佐久長聖高校を一番チェックしますが、高校時代から応援していた選手が箱根路を駆け抜ける姿を見られるのは、やはりうれしいですね。
濱野選手は高校3年生の時に頭角を表し、5000m14分06秒という世代トップクラスのタイムを記録したものの、全国高校駅伝の大会直前に疲労骨折が発覚。3年間1度も全国高校駅伝に出場できなかった選手でした。創価大学へ進学した最初の1年もケガで苦しみ、箱根駅伝は出場かなわず。
そんな、あと一歩のところで駅伝出場を逃していた濱野選手が今年の復路幕開けを切り、先頭で小田原中継所へやってきた姿を見た時は胸がいっぱいになりました。箱根駅伝はチーム種目ですけれど、こうして一人ひとりに違ったドラマがあるのも見どころですよね。
あ、長野県つながりのこのお話もさせていただきますが(少々無理矢理ではあります笑)NBS長野放送、BSフジで放送される『わがまま!気まま!旅気分 ウインターリゾート信州 温泉・グルメ・絶景ツアー』に出演させていただきます! 長野県内をロケしてきました! 放送日はBSフジ 1月30日6時〜6時55分、長野放送 1月30日14時半~15時22分です。ぜひみなさん見てくださいね!(まさかの途中での番組宣伝!笑)
さて、話を戻します。
続いて、この6区で一番インパクトを残したのは、駒澤大学・花崎悠紀選手(3年)。花崎選手は元々、競歩の選手で、本格的に長距離を始めたのは高校3年生からとのこと。箱根駅伝密着番組を見ていると、少しいじられキャラなのでしょうか、チームメイトからとっても愛されている様子が伺えます。先頭の創価大学との差を1分8秒詰め、見事に区間賞を獲得。なんと区間歴代3位の記録で、4年生以外では初の57分台となりました。
ちなみに……花崎選手は箱根駅伝が終わったあと、なんと走って寮まで帰ってそうです。6区を走る選手は、毎回走り終わると倒れ込んでいたり、しばらくは歩くこともままならない状態になったりする選手が多く見られている中でのこの余裕……(笑)。走りはもちろん、内面部分も気になるところがたくさんあり、多くの陸上ファンの心をつかんだ花崎選手でありました。
明大・大保選手が意地の区間賞
続く7区。ここの区間で創価大学が優勝へ王手をかけたように感じました。6区で駒澤大学に差を詰められたものの、7区・原富慶季選手(4年)が区間2位の走りで再び後方との差を広げます。往路終了時と比べたら後方との差はわずか30秒ほどしか詰められておらず、まさに創価大学の優勝が目前に近づいていることを実感しました。
原富選手を抑えて区間賞を獲得したのは、東京国際大学・佐伯涼選手(4年)。区間賞を意識せずレースを進めていたそうで、この結果に一番驚いていたのは佐伯選手本人だったようです。佐伯選手はこのレースで競技を引退。最後の最後で輝きを放った快走は、東京国際大学のシード権獲得に大きく貢献しました。
そして、この区間で私が一番うれしかったのは、青山学院大学・近藤幸太郎選手(1年)の走りです。11月に行われた全日本大学駅伝では原晋監督からの太鼓判が押されていたものの、結果は2区13位と悔しい結果に。往路12位、想定外の順位から始まった復路で青山学院大学の本来の強さを証明させるかのような意地を見せた爆走は、全日本の悔しさも同時に晴らした瞬間のように思えました。
8区では駒澤大学が創価大学との差を22秒詰めたものの、依然トップは創価大学。8区はチーム内8~10番手の選手が起用されることも多いと言われている区間です。つまり8区を見れば、そのチームの選手層がわかるということもあり、他校の8区を走る選手がどういった選手なのかよくチェックしている監督もいるそうです。
この区間で印象に残ったのが明治大学・大保海士選手(4年)の区間賞。全日本大学駅伝3位、トラックシーズンでも記録を伸ばして存在感を発揮してきた明治大学でしたが、今年の箱根では往路14位、個人成績でもふたケタ順位の選手が続くなど厳しい戦いが続きました。そんな中で、大保選手が4年生らしいチームに活気を取り戻す力強い走りを見せました。
以前、明治大学のスポーツ新聞である「明大スポーツ」に取材をしていただいたご縁もあり、全日本大学駅伝前から明治大学に注目をしていました。結果的には11位とシード権を逃す悔しい順位となってしまいましたが、変わらず応援していきたいと思います。
復路エース区間である9区では、青山学院大学・飯田貴之選手(3年)の走りに注目が集まりました。飯田選手は昨年、山上りである5区を走り区間2位になっています。選手層が厚く、競争が激しい青山学院大学の中でもエントリーに名前を連ねてくる、言わずもがなチームの主力選手です。しかし、全日本駅伝では彼の姿はなく、箱根駅伝ではどこの区間を走るのか(そもそも走るのか)、多くの注目が集まっていました。
当日出走したのは9区。どこの区間を任されても崩れることない安定感が魅力の飯田選手は、その期待通り4位まで浮上し、3とも1分15秒差に迫り、トップ3も見えてくる力強い走りを披露しました。
そういえば、給水シーンも話題となりましたね。飯田選手に力水を渡したのは、大会直前にケガしたキャプテンの神林勇太選手(4年)。エントリーから外れてもチームに尽力する姿がそこに見られました。きっと彼は、原監督のように伝説の営業マンになる……! 多くの陸上ファンがその姿を楽しみにしています。
先頭では、創価大学・石津佳晃選手(4年)が独走し、区間賞も獲得。石津選手も今年で競技を引退するため、ラストの学生駅伝において最初で最後の区間賞を獲得しました。2位駒澤大学との差は3分19秒。創価大学の優勝はもう目前……。
最終10区。この時点で創価大学がフィニッシュテープを切る姿を想像していた私ですが、まさかの大逆転のドラマがありました。創価大学アンカーを走った小野寺勇樹選手(3年)はスピードが思うように出せず、苦しみながらレースを進めている様子でした。すると、その後方から、駒澤大学の石川拓慎選手(3年)の足音が聞こえてきたのです。フィニッシュまで残り2km手前でついに石川選手が、逃げる小野寺選手に追いつき、首位逆転! アンカー区間、それも終盤の終盤でトップが入れ替わる衝撃の展開でした。
レース後、駒澤大学の大八木弘明監督は、「9区終了時点で3分以上の差は厳しいと思っていた」とインタビューで正直な気持ちを吐露していました。常識的には逆転不可能な3分19秒差でも諦めることなく前に進み、優勝を目指し続けた石川選手の執念が、箱根駅伝史上、まれに見る大逆転劇を生んだのです。
そして、順位が入れ替わる瞬間に涙を浮かべていた小野寺選手を、これから応援したいと思ったのはきっと私だけではないはず……。実際に私のファンの方からも「小野寺選手のこれからがとても楽しみ!」「来年も箱根を見て小野寺くんを応援したい!」と多くのコメントが届きました。
新型コロナウイルスの影響で開催するかもどうかわからなかった今年の箱根駅伝ですが、厳しい状況に置かれながらもあきらめなかった選手や関係者のみなさんの努力が素敵な大会を作り上げました。そんな大会で実現した、箱根駅伝に長く関わる大八木監督が率いる駒澤大学の13年ぶりの優勝。他校のファンも含めて陸上界全体が一体となって祝福していることに、駅伝というスポーツの魅力を再発見することができました。この大会で競技を引退される方も多いかと思いますが、またどこかで元気な姿をお見かけできるよう願って、競技を続ける方と変わらず、これからも応援していきます。
そして最後に、また私のお知らせとなってしまいますが、2月に再び「酔狂落語」にチャレンジすることになりました。2月21日~23日、東京・武蔵野芸能劇場で出演しますので、見に来てくださるとうれしいです。詳細はこちらから!
また酔狂落語に挑戦させていただきます!
※Twitterのハッシュタグ「♯西村菜那子の陸上日記」で感想や質問、コラムの内容など随時募集中!
前回の記事はこちら
![]() NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ) 1997年8月11日生/O型/長野県出身 特技:クラシックバレエ、歴代の箱根駅伝の優勝校を暗記 趣味:陸上観戦、サッカー観戦 2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で幼い頃から駅伝を好きになる。アイドルとしての活動を続ける中で、自身のSNSを通して陸上競技に関する情報を発信。駅伝関連のメディア出演も多数。 西村菜那子モバイルサイト ●Information NGT48 5thシングル『シャーベットピンク』発売中!©︎Flora ![]() 最新情報はNGT48公式HPまで 『NGT48ゲーム部』(Mildom)レギュラー出演中!詳細はHPまで/再び落語に挑戦!「酔狂落語~二〇二一春の陣~」出演する第一陣は2021年2月13日~2月27日。詳細は公式HPまで/舞台『風が強く吹いている』6月10日~17日公演予定※新型コロナウイルスの影響で延期となりました。詳細は公式HPまで |

連載34区 「箱根駅伝振り返り!復路編」

佐久長聖高出身の濱野選手が激走
みなさん、こんばんは! 前回に引き続き、箱根駅伝の振り返りをお届けします。今回は復路編です! 折り返しの6区では、往路のタイムが1位より10分以上遅れていた大学は時間差スタートをせずに午前8時10分に一斉スタートをします。今年、一斉スタートとなったチームは例年より少なく4校でした。近年では10校以上繰り上げ一斉スタートすることもあり、改めて今年は各大学の実力が拮抗していることが感じ取れました。 トップを走るのは創価大学・濱野将基選手(2年)。ご本人は「まさか1位でスタートすることになるとは」と予想していなかったそうです。そんな濱野選手は神奈川県出身。ですが高校は長野県にある佐久長聖高校へ進みました。私も長野県出身ということもあり高校駅伝では佐久長聖高校を一番チェックしますが、高校時代から応援していた選手が箱根路を駆け抜ける姿を見られるのは、やはりうれしいですね。 濱野選手は高校3年生の時に頭角を表し、5000m14分06秒という世代トップクラスのタイムを記録したものの、全国高校駅伝の大会直前に疲労骨折が発覚。3年間1度も全国高校駅伝に出場できなかった選手でした。創価大学へ進学した最初の1年もケガで苦しみ、箱根駅伝は出場かなわず。 そんな、あと一歩のところで駅伝出場を逃していた濱野選手が今年の復路幕開けを切り、先頭で小田原中継所へやってきた姿を見た時は胸がいっぱいになりました。箱根駅伝はチーム種目ですけれど、こうして一人ひとりに違ったドラマがあるのも見どころですよね。
明大・大保選手が意地の区間賞
続く7区。ここの区間で創価大学が優勝へ王手をかけたように感じました。6区で駒澤大学に差を詰められたものの、7区・原富慶季選手(4年)が区間2位の走りで再び後方との差を広げます。往路終了時と比べたら後方との差はわずか30秒ほどしか詰められておらず、まさに創価大学の優勝が目前に近づいていることを実感しました。 原富選手を抑えて区間賞を獲得したのは、東京国際大学・佐伯涼選手(4年)。区間賞を意識せずレースを進めていたそうで、この結果に一番驚いていたのは佐伯選手本人だったようです。佐伯選手はこのレースで競技を引退。最後の最後で輝きを放った快走は、東京国際大学のシード権獲得に大きく貢献しました。 そして、この区間で私が一番うれしかったのは、青山学院大学・近藤幸太郎選手(1年)の走りです。11月に行われた全日本大学駅伝では原晋監督からの太鼓判が押されていたものの、結果は2区13位と悔しい結果に。往路12位、想定外の順位から始まった復路で青山学院大学の本来の強さを証明させるかのような意地を見せた爆走は、全日本の悔しさも同時に晴らした瞬間のように思えました。 8区では駒澤大学が創価大学との差を22秒詰めたものの、依然トップは創価大学。8区はチーム内8~10番手の選手が起用されることも多いと言われている区間です。つまり8区を見れば、そのチームの選手層がわかるということもあり、他校の8区を走る選手がどういった選手なのかよくチェックしている監督もいるそうです。 この区間で印象に残ったのが明治大学・大保海士選手(4年)の区間賞。全日本大学駅伝3位、トラックシーズンでも記録を伸ばして存在感を発揮してきた明治大学でしたが、今年の箱根では往路14位、個人成績でもふたケタ順位の選手が続くなど厳しい戦いが続きました。そんな中で、大保選手が4年生らしいチームに活気を取り戻す力強い走りを見せました。

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