HOME 駅伝、箱根駅伝

2021.01.03

【箱根駅伝】下級生中心の駒大が全日本に続く2冠「今後は三大駅伝を取りにいきたい」
【箱根駅伝】下級生中心の駒大が全日本に続く2冠「今後は三大駅伝を取りにいきたい」

◇第97回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町/10区間217.1km)

「復路の駒大」が帰ってきた。

 往路3位からの大逆転。6区・花崎悠紀(3年)の区間賞で2位に浮上し、10区では3分差をひっくり返した。

「往路が3位だったので、復路は3位をキープすることを考えました。6区で2位に上がってからは『2位以内に入ろう』と残りの選手に伝えていました」(大八木弘明監督)

 6区終了時で先頭を走る創価大との差は1分08秒。7区は43秒広げられ、8区で22秒取り返したものの、9区では再び突き放されて3分19秒もの差が生まれてしまった。これには大八木監督も「2位かな」と頭をよぎったが、10区の石川拓慎(3年)が意地を見せた。

広告の下にコンテンツが続きます

 創価大のアンカー・小野寺勇樹(3年)のペースが上がらないなか、石川は1km3分ペースを順調に刻んでいく。13.3km地点の新八山橋交差点で1分57秒差、16.5kmで1分17秒差まで縮まり、いよいよ逆転優勝のドラマが現実味を帯びてきた。20.8kmでついに先頭を捕らえると、数秒並走したあと一気にスパート。残り2kmで52秒の大差をつけ、13年ぶり7度目の総合優勝へ駆け込んだ。

 かつて2000年代に6度の優勝を飾ったうち、5度が復路での逆転劇だった駒大。“復路の駒大”が復活を遂げた。

 優勝テープを切った石川は「終盤に監督から『男だろ!』と言われて『よっしゃ』と気持ちが切り替わりました」と勝負どころを振り返る。前回は同じく10区で区間7位に終わり、早大とのスパート合戦に敗れているが、今回は区間歴代7位の1時間9分12秒で区間賞を獲得。「悔しさを晴らしてやろう」という気合がこもった熱走だった。

 10区間のうち、4年生は3区の小林歩ただ一人。この世代は前回4区の小島海斗、同5区の伊東颯汰、同8区の加藤淳、同9区の神戸駿介など経験者が多くそろっているが、小島は12月10日のエントリーで外れ、伊東、加藤、神戸は当日変更で出走リストから名前が消えた。

「4年生も一生懸命やってくれていたが、若い力を試してみたい気持ちがあった。温情で4年生を使おうかと思いましたが、それで失敗をしたこともあるので、同じくらいの実力だったら下級生を使おうと思いました」(大八木監督)

 今季の駒大の1年生は白鳥哲汰、唐澤拓海、鈴木芽吹、花尾恭輔など高校時代に全国大会で実績をあげた選手が多く集う、いわば「黄金世代」だ。それに刺激を受けた2年生が奮起し、それが3年生、4年生と波及したことで11月の全日本大学駅伝、今回の箱根駅伝と“2冠”につながった。

 主将の神戸は「1、2、3年生の勢いでここまで来れて、1年間がんばってきたことが報われたなという思いがあります。来年度以降も狙えるチームになっているので、さらに強い駒澤を目指してほしいと思います」と後輩たちを鼓舞。指揮官も「今後は全日本大学駅伝も連覇が懸かりますし、(昨年中止となった)出雲駅伝も開催されれば三大駅伝を取りにいきたい」と意気込みを口にした。

 10000mで現役日本人学生最速の27分46秒08を持つエース・田澤廉(2年)を中心に、“令和の常勝軍団”を目指していくつもりだ。

■駒大のメンバー 監督:大八木弘明
1区 白鳥 哲汰(1年)1.03.47(区間16位/通過16位)
2区 田澤  廉(2年)1.07.27(区間7位/通過8位)
3区 小林  歩(4年)1.02.22(区間2位/通過3位)
4区 酒井 亮太(2年)1.04.09(区間11位/通過2位)
5区 鈴木 芽吹(1年)1.12.44(区間4位/通過3位)
6区 花崎 悠紀(3年)57.36(区間1位/通過2位)
7区 花尾 恭輔(1年)1.03.55(区間2位/通過2位)
8区 佃  康平(3年)1.04.48(区間4位/通過2位)
9区 山野  力(2年)1.10.04(区間6位/通過2位)
10区 石川 拓慎(3年)1.09.12(区間1位/通過1位)
補欠
加藤淳(4年)、青柿響(1年)、円健介(2年)、伊東颯汰(4年)、神戸駿介(4年)、唐澤拓海(1年)

◇第97回箱根駅伝(東京・大手町~神奈川・箱根町/10区間217.1km) 「復路の駒大」が帰ってきた。  往路3位からの大逆転。6区・花崎悠紀(3年)の区間賞で2位に浮上し、10区では3分差をひっくり返した。 「往路が3位だったので、復路は3位をキープすることを考えました。6区で2位に上がってからは『2位以内に入ろう』と残りの選手に伝えていました」(大八木弘明監督)  6区終了時で先頭を走る創価大との差は1分08秒。7区は43秒広げられ、8区で22秒取り返したものの、9区では再び突き放されて3分19秒もの差が生まれてしまった。これには大八木監督も「2位かな」と頭をよぎったが、10区の石川拓慎(3年)が意地を見せた。  創価大のアンカー・小野寺勇樹(3年)のペースが上がらないなか、石川は1km3分ペースを順調に刻んでいく。13.3km地点の新八山橋交差点で1分57秒差、16.5kmで1分17秒差まで縮まり、いよいよ逆転優勝のドラマが現実味を帯びてきた。20.8kmでついに先頭を捕らえると、数秒並走したあと一気にスパート。残り2kmで52秒の大差をつけ、13年ぶり7度目の総合優勝へ駆け込んだ。  かつて2000年代に6度の優勝を飾ったうち、5度が復路での逆転劇だった駒大。“復路の駒大”が復活を遂げた。  優勝テープを切った石川は「終盤に監督から『男だろ!』と言われて『よっしゃ』と気持ちが切り替わりました」と勝負どころを振り返る。前回は同じく10区で区間7位に終わり、早大とのスパート合戦に敗れているが、今回は区間歴代7位の1時間9分12秒で区間賞を獲得。「悔しさを晴らしてやろう」という気合がこもった熱走だった。  10区間のうち、4年生は3区の小林歩ただ一人。この世代は前回4区の小島海斗、同5区の伊東颯汰、同8区の加藤淳、同9区の神戸駿介など経験者が多くそろっているが、小島は12月10日のエントリーで外れ、伊東、加藤、神戸は当日変更で出走リストから名前が消えた。 「4年生も一生懸命やってくれていたが、若い力を試してみたい気持ちがあった。温情で4年生を使おうかと思いましたが、それで失敗をしたこともあるので、同じくらいの実力だったら下級生を使おうと思いました」(大八木監督)  今季の駒大の1年生は白鳥哲汰、唐澤拓海、鈴木芽吹、花尾恭輔など高校時代に全国大会で実績をあげた選手が多く集う、いわば「黄金世代」だ。それに刺激を受けた2年生が奮起し、それが3年生、4年生と波及したことで11月の全日本大学駅伝、今回の箱根駅伝と“2冠”につながった。  主将の神戸は「1、2、3年生の勢いでここまで来れて、1年間がんばってきたことが報われたなという思いがあります。来年度以降も狙えるチームになっているので、さらに強い駒澤を目指してほしいと思います」と後輩たちを鼓舞。指揮官も「今後は全日本大学駅伝も連覇が懸かりますし、(昨年中止となった)出雲駅伝も開催されれば三大駅伝を取りにいきたい」と意気込みを口にした。  10000mで現役日本人学生最速の27分46秒08を持つエース・田澤廉(2年)を中心に、“令和の常勝軍団”を目指していくつもりだ。 ■駒大のメンバー 監督:大八木弘明 1区 白鳥 哲汰(1年)1.03.47(区間16位/通過16位) 2区 田澤  廉(2年)1.07.27(区間7位/通過8位) 3区 小林  歩(4年)1.02.22(区間2位/通過3位) 4区 酒井 亮太(2年)1.04.09(区間11位/通過2位) 5区 鈴木 芽吹(1年)1.12.44(区間4位/通過3位) 6区 花崎 悠紀(3年)57.36(区間1位/通過2位) 7区 花尾 恭輔(1年)1.03.55(区間2位/通過2位) 8区 佃  康平(3年)1.04.48(区間4位/通過2位) 9区 山野  力(2年)1.10.04(区間6位/通過2位) 10区 石川 拓慎(3年)1.09.12(区間1位/通過1位) 補欠 加藤淳(4年)、青柿響(1年)、円健介(2年)、伊東颯汰(4年)、神戸駿介(4年)、唐澤拓海(1年)

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.03.28

【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ

今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]

NEWS 【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

2025.03.28

【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦

FOCUS! 高校生INTERVIEW 山﨑りりや Yamasaki Ririya 鳴門渦潮高3徳島 高校アスリートをフォーカスするコーナー。年度末を迎えますが、振り返ってみれば、2024年度は高校生による日本記録樹立を […]

NEWS 3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

2025.03.28

3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定

大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]

NEWS 資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」

2025.03.28

資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」

旭化成は3月28日、所属選手である競歩の池田向希が受けたアンチ・ドーピング規則違反による4年間の資格停止処分について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行ったと発表した。 男子20km競歩で東京五輪銀メダリスト […]

NEWS 【男子円盤投】福宮佳潤(東京高1) 50m73=高1歴代2位&4人目の50mオーバー

2025.03.28

【男子円盤投】福宮佳潤(東京高1) 50m73=高1歴代2位&4人目の50mオーバー

3月28日、東京都多摩市の国士大多摩陸上競技場で第7回国士大競技会が行われ、高校用規格の男子円盤投(1.75kg)において福宮佳潤(東京高1)が50m73をマークした。この記録は高校1年生の歴代ランキングで2位。高1で史 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報

page top