2020.12.26
平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」。今回は青学大が圧倒的な継走で2連覇を飾った第92回大会(2016年)を紹介する。大会の歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
1区の久保田が区間歴代3位の快走
青学大は区間賞6つの圧巻リレー
91回大会で吹き荒れた“アオガク旋風”から1年。92回大会は連覇を狙う青学大、全日本大学駅伝で悲願の初優勝を飾った東洋大、前回2位で全日本も3位に食い込んだ駒大による「3強」による優勝争いが予想されていた。
10月の予選会では東京国際大が初の予選会突破を果たし、法大も2年ぶりの本選出場を決めた一方で、前回出場校では國學院大と創価大が本大会の出場権を逃した。
1区はハイペースで推移し、先頭集団は5km14分13秒、10kmを28分38秒で通過する。この時点で14人の塊だったが、15kmを43分33秒で通過した直後に関東学生連合の創価大・山口修平(4年)がペースアップ。集団が散り散りになると、16kmで今度は青学大の久保田和真(4年)がスパートした。これに明大の横手健(4年)、早大の中村信一郎(4年)らが迫ったが、やがて久保田と横手の一騎打ちへ。18kmの手前でさらにペースを上げた久保田は横手を置き去りにし、区間歴代3位の1時間1分22秒で区間賞を獲得。22秒差で横手が続き、そこから16秒遅れて拓大の金森寛人(4年)と中大・町澤大雅(3年)が飛び込んだ。優勝候補の一角・駒大は、青学大から1分50秒差の13位と苦戦を強いられた。
2区では青学大の一色恭志(3年)が悠々と先頭を駆ける後方で、東洋大のエース・服部勇馬(4年)が圧巻の走りを見せた。区間歴代5位の1時間7分04秒で7位から2位へ上がり、青学大との差を53秒から22秒へ。2年連続区間トップに輝いた。3位は新留学生のドミニク・ニャイロ(1年)が7人抜きを見せた山梨学大。4位は明大が続き、一時7人が集団を形成するなど白熱した5位争いは帝京大の高橋裕太(4年)が制した。
東洋大は3区の服部弾馬(3年)で勝負に出るはずだったが、なかなか先頭との差が縮まらない。一方の青学大は学生駅伝初出場の秋山雄飛(3年)がぐんぐんその差を広げていく。秋山は区間歴代5位の爆走で後続に1分35秒の差をつけ区間賞を獲得。2位東洋大、3位山梨学大は変わらず、1区で出遅れた駒大が中谷圭佑(3年)の力走で6位から4位まで上げた。
4区以降は、青学大の独壇場だった。4区の田村和希(2年)が前年に続く区間賞でリードを2分28秒へ広げると、5区の神野大地(4年)はシーズン中に2度の疲労骨折に見舞われながらの力走。驚異的な区間記録を打ち立てた前年ほどの勢いはなかったものの、他を寄せ付けない走りで2年連続となる往路優勝のフィニッシュテープを切った。タイムは前回より3分以上遅れる1時間19分17秒だったが、それでも区間2位の好成績だった。
往路2位は3分04秒差で東洋大、同3位に駒大、同4位に早大が入り、6位に入った日大のダニエル・ムイバ・キトニ―(4年)が留学生史上初の5区区間賞に輝いた。
復路では青学大の勢いがさらに加速した。6区は学生駅伝初出場となる1年生の小野田勇次(1年)。従来の区間記録に並ぶ58分31秒(区間2位)で山を駆け降りると、7区の小椋裕介(4年)は2年連続区間賞、8区の下田裕太(2年)は区間歴代3位の好タイムで区間1位とあっという間にリードを7分03秒まで拡大した。
9区で区間7位とやや伸び悩んだものの、10区の渡邉利典(4年)もチーム6個目の区間賞を獲得し、圧巻の継走で2連覇を成し遂げた。1区から先頭を譲ることない“完封リレー”は1977年の日体大以来39年ぶりの快挙だった。
2~4位は往路と変わらず東洋大、駒大、早大の順でフィニッシュ。早大は9区の井戸浩貴(3年)が区間トップの快走で見せ場を作った。
6位の順大は3年ぶりのシード権をつかみ、7位は6区の秋山清仁(3年)が58分09秒の区間新記録を樹立した日体大が2年ぶりにシード校へ返り咲いた。
一方、2区終了時で4位につけていた前回4位の明大は3区以降で大きく順位を落とし、総合14位でフィニッシュ。7年間守り続けていたシードの座から滑り落ちた。
大会最優秀選手に贈られる「金栗四三杯」は1区で完封リレーの口火を切った青学大の久保田が受賞した。
<人物Close-up>
神野大地(青学大4年)
91回大会の5区で衝撃の区間記録を打ち立て、今井正人(順大/現・トヨタ自動車九州)、柏原竜二(東洋大)に続く山上りのレジェンドの仲間入りを果たした「3代目・山の神」。一方でその後はケガに苦しみ、3年目の2月に左大腿骨、4年目の6月に右脛骨をそれぞれ疲労骨折すると、11月の全日本大学駅伝後にも左すねを痛め、ジョグを開始したのは11月下旬から。約1ヶ月で調整を進め、「1時間20分くらいなら走れるメドが立った」という状態で最後の箱根路に臨んだ。2年連続区間賞は逃したものの、区間2位で往路優勝、総合優勝に貢献。主将として有終の美を飾った。卒業後はコニカミノルタに入社するも、2018年にプロランナーへの転身を発表。19年のアジアマラソン選手権で優勝するなど活躍を続けている。
<総合成績>
1位 青山学院大学 10.53.25(往路1位、復路1位)
2位 東洋大学 11.00.36(往路2位、復路2位)
3位 駒澤大学 11.04.00(往路3位、復路3位)
4位 早稲田大学 11.07.54(往路5位、復路5位)
5位 東海大学 11.09.44(往路8位、復路6位)
6位 順天堂大学 11.11.24(往路7位、復路8位)
7位 日本体育大学 11.11.32(往路13位、復路4位)
8位 山梨学院大学 11.11.51(往路4位、復路10位)
9位 中央学院大学 11.13.31(往路14位、復路7位)
10位 帝京大学 11.15.21(往路9位、復路11位)
========シード権ライン=========
11位 日本大学 11.16.50(往路6位、復路15位)
12位 城西大学 11.20.06(往路11位、復路16位)
13位 神奈川大学 11.20.07(往路15位、復路12位)
14位 明治大学 11.20.39(往路17位、復路9位)
15位 中央大学 11.21.48(往路16位、復路14位)
16位 拓殖大学 11.23.54(往路10位、復路19位)
17位 東京国際大学 11.24.00(往路12位、復路18位)
18位 大東文化大学 11.28.45(往路20位、復路13位)
19位 法政大学 11.31.12(往路19位、復路17位)
20位 上武大学 11.36.46(往路18位、復路20位)
OP 関東学生連合 11.15.30
<区間賞>
1区(21.3km)久保田和真(青学大4)1.01.22
2区(23.1km)服部勇馬(東洋大4) 1.07.04
3区(21.4km)秋山雄飛(青学大3) 1.02.24
4区(18.5km)田村和希(青学大2) 55.17
5区(23.2km)D.M.キトニー(日 大4)1.18.24
6区(20.8km)秋山清仁(日体大3) 58.09=区間新
7区(21.3km)小椋裕介(青学大4) 1.03.08
8区(21.4km)下田裕太(青学大2) 1.04.21
9区(23.1km)井戸浩貴(早 大3) 1.09.47
10区(23.0km)渡邉利典(青学大4) 1.10.07

1区の久保田が区間歴代3位の快走 青学大は区間賞6つの圧巻リレー
91回大会で吹き荒れた“アオガク旋風”から1年。92回大会は連覇を狙う青学大、全日本大学駅伝で悲願の初優勝を飾った東洋大、前回2位で全日本も3位に食い込んだ駒大による「3強」による優勝争いが予想されていた。 10月の予選会では東京国際大が初の予選会突破を果たし、法大も2年ぶりの本選出場を決めた一方で、前回出場校では國學院大と創価大が本大会の出場権を逃した。 1区はハイペースで推移し、先頭集団は5km14分13秒、10kmを28分38秒で通過する。この時点で14人の塊だったが、15kmを43分33秒で通過した直後に関東学生連合の創価大・山口修平(4年)がペースアップ。集団が散り散りになると、16kmで今度は青学大の久保田和真(4年)がスパートした。これに明大の横手健(4年)、早大の中村信一郎(4年)らが迫ったが、やがて久保田と横手の一騎打ちへ。18kmの手前でさらにペースを上げた久保田は横手を置き去りにし、区間歴代3位の1時間1分22秒で区間賞を獲得。22秒差で横手が続き、そこから16秒遅れて拓大の金森寛人(4年)と中大・町澤大雅(3年)が飛び込んだ。優勝候補の一角・駒大は、青学大から1分50秒差の13位と苦戦を強いられた。 2区では青学大の一色恭志(3年)が悠々と先頭を駆ける後方で、東洋大のエース・服部勇馬(4年)が圧巻の走りを見せた。区間歴代5位の1時間7分04秒で7位から2位へ上がり、青学大との差を53秒から22秒へ。2年連続区間トップに輝いた。3位は新留学生のドミニク・ニャイロ(1年)が7人抜きを見せた山梨学大。4位は明大が続き、一時7人が集団を形成するなど白熱した5位争いは帝京大の高橋裕太(4年)が制した。 東洋大は3区の服部弾馬(3年)で勝負に出るはずだったが、なかなか先頭との差が縮まらない。一方の青学大は学生駅伝初出場の秋山雄飛(3年)がぐんぐんその差を広げていく。秋山は区間歴代5位の爆走で後続に1分35秒の差をつけ区間賞を獲得。2位東洋大、3位山梨学大は変わらず、1区で出遅れた駒大が中谷圭佑(3年)の力走で6位から4位まで上げた。 4区以降は、青学大の独壇場だった。4区の田村和希(2年)が前年に続く区間賞でリードを2分28秒へ広げると、5区の神野大地(4年)はシーズン中に2度の疲労骨折に見舞われながらの力走。驚異的な区間記録を打ち立てた前年ほどの勢いはなかったものの、他を寄せ付けない走りで2年連続となる往路優勝のフィニッシュテープを切った。タイムは前回より3分以上遅れる1時間19分17秒だったが、それでも区間2位の好成績だった。

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