2025.04.01
1960年代に男子マラソンをはじめ、長距離で活躍した寺沢徹氏が3月23日に亡くなったことがわかった。90歳だった。
寺沢氏は1935年、東京生まれ。太平洋戦争の激化に伴い富山県高岡市へ疎開し、戦後も高岡で過ごした。中学時代はバレーボール部、富山西部高(現・高岡商高)ではハンドボール部に入部。中学、高校時代とも陸上部に駆り出されていたが、そのうちに県大会で好成績を収めるようになり、1500mでインターハイに出場したころから陸上に専念しはじめた。
高校卒業後は県内の自動車会社を経て、倉敷レイヨン(現・クラレ)の富山工場に勤め、一人きりで走り続ける。転機となったのが1960年の福井中日マラソン。25歳でのデビュー戦で2時間34分24秒0の3位に食い込み、マラソンの適性を見出した。その後、36年ベルリン五輪10000m4位の村社講平氏の目に留まり、指導を受けるようになった。
村社の計らいにより、61年秋からは拠点を大阪に移してさらに躍進。62年の朝日国際マラソン(現・福岡国際マラソン)に2時間16分18秒4の日本最高(当時)で優勝を果たす。1月の愛媛マラソンを経て、2月の別府大分毎日マラソンでは2時間15分15秒8で制した。この記録は60年ローマ五輪でアベベ・ビキラ(エチオピア)が裸足で走って樹立した伝説の世界記録(2時間15分16秒2)を上回るものだった。
64年10月の東京五輪の代表にも選出されたが、終盤にペースダウンとなる15位でフィニッシュ。大会後は引退も考えたというが、「今までの練習は何のためだったんだ」と競技続行を決意し、12月の福岡で2時間14分48秒2と3度目の日本最高記録を更新して優勝を果たす。その後の別府大分でも2時間14分38秒0と記録を縮めたほか、同大会での4連覇も達成。マラソンで一時代を築いた。
選手を続けながら、68年からクラレの監督に就任。72年には全日本実業団対抗駅伝の優勝に導くなど手腕を発揮した。その後も富山に拠点を置くYKKで監督を歴任した。
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