2025.03.26

日本陸連は3月26日に行われた理事会で、暑熱環境下における大会運営に対しての考えを示した。
日本陸連の田﨑博道専務理事は、最近の気候変動の大きさに触れたうえで、特に夏の競技会について「暑熱環境下で競技をすることの危険性はこれまでと比較にならないほど高まっている」と指摘。そして、「最悪の場合は選手だけでなく、指導者や競技役員、ボランティアのみなさん、応援に来ているご家族、メディアも含めた方たちの、命に関わるような不幸な事態になる可能性もあるんだと、状況認識をしっかり持っている」と言う。
そのため、大会を主催する立場にあることについての「責任を重く受け止めて」スポーツ庁が示す「スポーツ活動における熱中症事故の防止」のガイドラインに沿った運用をしていくことを改めて確認した。
スポーツ庁のガイドラインには熱中症事故防止のための適切な措置を講ずることの必要性が説かれ、特に「活動の場所や種類にかかわらず、暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)に基づいて活動中止を判断すること」とある。そして、日本スポーツ振興財団が示す「熱中症予防運動指針」にはWBGTで31度になると「特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき」とされており、日本陸連としてもそれが判断のラインにしていくという。
対象にしているのは7月、8月に開催される日本陸連主催大会、および主要大会で、2025年度から進めていく予定。日中を避けて午前、夜の2部制にする、涼しい場所に変更するなど「競技会ごとに関係各所と連携して、暑熱対策の確認、場合によっては競技会全体のプログラムの抜本的見直しや改善というものを、一つひとつ丁寧に対応させていただくと伝えている」と田﨑専務理事は説明する。
特に例に挙げられたのが、7月に開催予定の日本選手権(4日~6日/東京・国立競技場)と日本選手権混成(12日~13日/岐阜メモリアルセンター長良川競技場)、広島インターハイ(25日~29日/広島・ホットスタッフフィールド広島)の3大会。このうち、日本選手権2大会については、競技時間の調整やクーリングスペースの設置、WBGT31度以上になった場合の中止、中断の判断などのプランを策定していく。
インターハイについては日本陸連とともに大会を主催する全国高体連や、全国高体連陸上競技専門部、開催地の広島県の関係者とともに協議を進行中。41種目に出場する約3500人の選手はもちろん、関係、応援を含む2万6000人以上の来場者を見込んでいるそうで、対策は「行政も含めて検討している」(田﨑専務理事)とのこと。昨年の福岡インターハイでも猛暑が大きな課題となっただけに、その事例なども参考にして本番への準備を進めていく予定だ。
2026年度以降については、「開催時期や日程、全体の制度設計などに踏み込んでいかないと抜本的な対策は取れないというのが前提にある」と田﨑専務理事。課題などを洗い出すべくアンケート調査を進めており、「その内容を踏まえながら、一体となってさせていただく」。25年8月を目安に「第一次的な答申を出したい」としている。
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
Latest articles 最新の記事
2025.04.01
クイーンズ駅伝Vの日本郵政Gに名城大主将の谷本七星、小暮真緒が加入
JP日本郵政グループは4月1日付で谷本七星と小暮真緒の加入を発表した。 谷本は広島県出身。国泰寺中時代に1500mで全中に出場するなど活躍し、舟入高では1年時には4×400mリレーでインターハイに出場した。3年時の全国高 […]
2025.04.01
NDソフトに中大の東海林宏一が加入!「目標はニューイヤー駅伝1区区間賞」
4月1日、NDソフトは自社のSNSで、中大の東海林宏一が加入したことを発表した。 東海林は山形県出身。山形南高時代には県高校駅伝1区区間賞や、5000mで自己記録となる14分01秒97などをマーク。中大入学後は怪我の影響 […]
2025.04.01
東洋大長距離部門新主将に網本佳悟! 新スローガンも決定 「その1秒をけずりだす走りを体現します」
東洋大男子長距離部門はチームの公式HPで、2025年度の学生スタッフ6人とスローガンを発表した。 自身初となる箱根駅伝で8区2位と好走し、チームの20年連続となるシード権獲得に貢献した網本佳悟(4年)が新主将に就いた。長 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報