◇第108回日本選手権20km競歩(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース)
東京世界選手権代表選考会を兼ねた第108回日本選手権20km競歩が2月16日行われ、女子は藤井菜々子(エディオン)が1時間26分33秒の日本新記録で3年連続4回目の優勝を遂げた。
フィニッシュし、応援団の前に行くと涙があふれた。日本陸連が定める世界選手権の派遣設定記録は1時間28分00秒。「ケガをせずにじっくり詰めていたので、1時間27分台は確実に出るだろう」と手応えはあったが、「まさか1時間26分台が出るとは思っていなくて、まだ実感がありません」。岡田久美子(富士通)の日本記録を大きく更新し、世界のメダルも見える女子初の1時間26分台で制し、4大会連続の世界選手権代表に内定した。
「(1km)4分18秒くらいのペースがすごく心地よかった」という言葉が、好調ぶりを物語る。課題に挙げていた17km以降も「アナウンスが聞こえて」気合を入れ直し、18kmから19kmも4分15秒までラップを上げた。
前回も1時間27分59秒の大会新で制したが、直後に左の股関節(大転子)を痛め、「2ヵ月はまったく歩けませんでした」。パリでは力を発揮できずに惨敗。ケガもあったとはいえ、「自分の歩型がここまで通用しないのかと衝撃を受けました」と打ちのめされた。悔しさから、帰国後はすぐに練習をスタート。悔しさを紛らわせるように歩いた。
「左右差をなくすように」歩型を徹底的に見直した藤井。「こんなに歩型のことを突き詰めようと思ったのは初めてでした」。周囲の人から「この取り組みで本当に世界と戦えるのか」と発破をかけられたことも藤井の心にスイッチを入れた。
1時間26分台を出したことで「これでやっと“メダルを目指す”と自信を持って言えます」。自身4度目の世界選手権は地元開催。「スタート、フィニッシュがスタジアムなのが本当に楽しみ。家族だったり友達だったりも応援に来てくれます。競技人生で一番いい大会にしたいです」。過去2度の入賞がある世界選手権。本気になった天才ウォーカーが、いよいよメダルに挑戦する準備が整った。
女子20km競歩 日本歴代10傑をチェック!
1.26.33 藤井菜々子(エディオン) 2025. 2.16 1.27.41 岡田久美子(ビックカメラ) 2019. 6. 8 1.28.03 渕瀬真寿美(龍谷大4+) 2009. 1.25 1.28.49 川﨑真裕美(富士通) 2009. 1.25 1.29.11 大利久美(富士通) 2011. 2.20 1.29.39 小西祥子(大阪陸協) 2009. 1.25 1.29.44 柳井綾音(立命大3) 2024. 5.18 1.30.16 坂倉良子(登利平AC) 2007. 1.28 1.30.44 淺田千安芸(DNP西日本) 2016. 3.20 1.31.00 五藤怜奈(中部学大2+) 2016. 3.20
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