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2025.02.16

最後の箱根路/地道な努力でつかんだ青学大・白石光星 感謝のラストラン「走れて光栄でした」
最後の箱根路/地道な努力でつかんだ青学大・白石光星 感謝のラストラン「走れて光栄でした」

最後で出走のチャンスをつかんだ青学大・白石光星

こだわり続けたジョグの量と質

その後は、駅伝出走は叶わなかったが、個人の自己記録は着々と更新。特に「チーム1」とも言われる練習量にはこだわりを持って、泥臭く取り組んできた。

「同期はどちらかというと天才型で、レースで走れてしまう。僕は凡人なので、長距離の基本であるジョグの量と質を極めてきました」

その努力が花開き、4月に5000mで13分44秒25をマーク。駅伝シーズンでは、因縁の全日本で2年ぶりに出走を果たし、6区2位。その後、10000mで28分21秒57の自己新を出し、悲願の箱根出走を勝ち取った。

迎えた最初の最後の箱根路では、卒業後も同じ実業団(住友電工)に進む6区・野村昭夢(4年)のスーパー区間新に触発され、「スタートから気持ちが最高潮になってしまった」。

序盤は区間新ペースで快調な走りを見せたが、ややペースを落とし、1時間3分10秒で区間9位の走りとなった。

「序盤は抑えて、15㎞からペースアップを考えていましたけど、2分50秒を切るペースで突っ込んでしまい、真逆のレースになってしまいました。終盤はとにかく我慢、我慢でしたが、(原晋)監督から、『練習はお前は一番してきた。自信を持って行け』と言われていたので、最後まで粘ることができました」

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同区では、1時間0分43秒の区間新をマークした駒大・佐藤圭汰(3年)の猛追を受けるかたちとなったが、首位を堅持した。

「悔いも残る走りでしたが、最後に走ることができて光栄でした。苦しい時にチームメイト一人ひとりの顔を思い出して、感謝を噛みしめながら走りきれたと思います。優勝できたので、最後はオールオッケーですね」。

努力が結果に結びつかない時があっても、仲間を信じ、自分を信じて貫いてきた力が結実した瞬間。原監督が常々語る、「最後は4年生の力。泥臭く継続していけば、最後は花が開くのが青学大の強さ」という言葉を、改めて実感させられるラストランだ。

すべてをやりきった白石のその表情は実に晴れやかなものだった。

レース前から笑顔を浮かべていた白石

白石光星(しらいし・こうせい:青学大)/2002年6月23日生まれ。宮城県仙台市出身。東北高卒。自己ベストは5000m13分44秒25、10000m28分21秒57、ハーフ1時間2分52秒。

文/田中 葵

第101回箱根駅伝で力走した選手たちがいる。勝利の栄光で日の目を見た選手以外にもそれぞれの思いを胸に秘め、必死でタスキをつないだ。毎年行われる箱根路でも「第101回」は一度のみ。そんな“最後”の舞台を駆け抜けた選手たちの奮闘を紹介する。

初の三大駅伝で訪れた試練

2015年の初優勝以降、青学大は毎年のように優勝候補に挙がる強力なチームを作り続けてきた。その中で、最終学年にして、初めての箱根出走となる選手も決して少なくはない。 今回、同じようにラストチャンスをものにし、箱根路を駆け抜けたのが7区を走った白石光星(4年)だった。 宮城・東北高から青学大に進学した白石。1年目の5月に、5000mで14分03秒59の自己新を出すと、11月には10000mで、初レースながら28分49秒65をマーク。三大駅伝メンバーには絡めなかったが、着々と力をつけていく。 そして、2年目の全日本大学駅伝。三大駅伝初出走を果たす。だが、2区16位と失速し、2位から13位まで順位を落とす悔しい駅伝デビューとなった。 「あの時は本当に落ち込んで、もうこれで競技人生を終わりにしようかなとも考えました」 そんなどん底を味わった白石を、当時主将だった宮坂大器(現・ヤクルト)やエース格の岸本大紀(現・GMOインターネットグループ)ら4年生が支えてくれた。 さらに、「同期からも、『まだやれる』とずっと言ってくれて立ち直れた」。その1週間後には、本来は全日本の出走メンバー外の選手にとって重要な選考会となる宮古サーモンハーフマラソンに異例の出場。1時間4分02秒でチーム内5番手に入る力走で再出発を切った。

こだわり続けたジョグの量と質

その後は、駅伝出走は叶わなかったが、個人の自己記録は着々と更新。特に「チーム1」とも言われる練習量にはこだわりを持って、泥臭く取り組んできた。 「同期はどちらかというと天才型で、レースで走れてしまう。僕は凡人なので、長距離の基本であるジョグの量と質を極めてきました」 その努力が花開き、4月に5000mで13分44秒25をマーク。駅伝シーズンでは、因縁の全日本で2年ぶりに出走を果たし、6区2位。その後、10000mで28分21秒57の自己新を出し、悲願の箱根出走を勝ち取った。 迎えた最初の最後の箱根路では、卒業後も同じ実業団(住友電工)に進む6区・野村昭夢(4年)のスーパー区間新に触発され、「スタートから気持ちが最高潮になってしまった」。 序盤は区間新ペースで快調な走りを見せたが、ややペースを落とし、1時間3分10秒で区間9位の走りとなった。 「序盤は抑えて、15㎞からペースアップを考えていましたけど、2分50秒を切るペースで突っ込んでしまい、真逆のレースになってしまいました。終盤はとにかく我慢、我慢でしたが、(原晋)監督から、『練習はお前は一番してきた。自信を持って行け』と言われていたので、最後まで粘ることができました」 同区では、1時間0分43秒の区間新をマークした駒大・佐藤圭汰(3年)の猛追を受けるかたちとなったが、首位を堅持した。 「悔いも残る走りでしたが、最後に走ることができて光栄でした。苦しい時にチームメイト一人ひとりの顔を思い出して、感謝を噛みしめながら走りきれたと思います。優勝できたので、最後はオールオッケーですね」。 努力が結果に結びつかない時があっても、仲間を信じ、自分を信じて貫いてきた力が結実した瞬間。原監督が常々語る、「最後は4年生の力。泥臭く継続していけば、最後は花が開くのが青学大の強さ」という言葉を、改めて実感させられるラストランだ。 すべてをやりきった白石のその表情は実に晴れやかなものだった。 [caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"] レース前から笑顔を浮かべていた白石[/caption] 白石光星(しらいし・こうせい:青学大)/2002年6月23日生まれ。宮城県仙台市出身。東北高卒。自己ベストは5000m13分44秒25、10000m28分21秒57、ハーフ1時間2分52秒。 文/田中 葵

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