2025.02.15
他大学のファンの声援を感じた
「一人じゃなかったら応援してもらえないと思うんですよ。やっぱり、青学、駒澤、國學院とか、そういうところを一番見たがる観戦者が多いと思うので。学生連合はオープン参加なので、応援してもらえるのは本当に限られた人だけだったと思っていました」
一人で走っていた分、他大学のファンの声援も片川に向けられた。単独走になったのは偶然とはいえ、勇気を持って飛び出したからこそ、感じることができた喜びである。
「一人で飛び出した時に、青学や駒澤のタオルを持っている人でも学生連合の応援してくれたりとか、そういうのがあったので、飛び出して良かったなと思いました。一人だったら絶対に応援はないんだろうなと思っていたので、それは本当にうれしかったです」
片川は兵庫県川辺郡猪名川町出身。猪名川中で陸上を始め、高校は兵庫の名門・報徳学園に進んだ。しかし、高校3年になるまでは5000mで15分を切れず、「陸上で大学に行くことは無理だろうな」と思っていたという。
そんななか、3年生の時に新型コロナウイルスが流行。緊急事態宣言が出て一人で練習している間に力をつけ、12月には14分26秒95まで記録を伸ばした。
関東の大学で競技を続けることを決意し、指定校推薦で亜細亜大に進学。大学の同期は入寮するにあたっては当時の佐藤信之監督に直接電話をして許可を得たという。
覚悟を持って進学した片川は大学4年間で急成長。ハーフマラソン(1時間2分6秒)、20km(58分48秒)の亜細亜大記録、5000m(13分41秒72)と10000m(28分11秒20)の亜細亜大日本人最高記録を立て続けに更新するまでになった。
昨年10月の予選会では個人79位に入り、初めての関東学生連合入り。当初は補欠登録だったが、当日変更で1区に入り、一度切りの箱根駅伝を走り切った。
卒業後は旭化成で競技を続ける。今年のニューイヤー駅伝を制した名門チームで揉まれ、さらなる飛躍を期す。

他大学のファンからも声援を受けて力走した片川
片川祐大(かたがわ・ゆうだい:亜細亜大)/2002年12月26日生まれ。兵庫県猪名川町出身。報徳学園高卒。自己ベストは5000m13分41秒72、10000m28分11秒20、ハーフ1時間2分06秒。
文/馬場 遼
最初で最後の舞台で見せ場
2年ぶりに結成された関東学生連合。1区の片川祐大(亜細亜大4)が序盤に2位集団から抜け出し、見せ場を作った。 1区は中大の吉居駿恭(3年)がスタート直後から飛び出す展開。追いかける選手は誰もいない。そこで第2集団を引っ張ったのが片川だった。 「集団としてハイペースである程度追わないと、どんどん離れていくと思っていました。やっぱり有力校、優勝を狙うチームは前に出たがらないと思ったので、自分がレースをハイペースに持ち込もうかなと思って前に出たんです」 最初は抜け出すつもりはなく、集団で追いかけるつもりだった。しかし、3.5km付近でついてきたのは専大の新井友裕(3年)だけ。その新井も次第に離れていった。 だが、沿道の声で足音がかき消されていたため、片川はその事実に気づかない。5km手前の右折するタイミングで先頭を譲ろうと後ろを振り向く。すると、背後には誰もおらず、そこで初めて単独走をしていることに気がついた。 「そこからはガムシャラに逃げていました」と覚悟を決めて、2番手死守に全力を尽くした。 単独走になってもペースを大きく落とすことなく、淡々と走り続ける。蒲田の時点で2位位集団と42秒差。このまま逃げ切れるかと思われたが、終盤に入って2位集団のペースが一気に上がる。 残り700m付近で2位集団に追いつかれると、反応することができずに後退。最終的には17位相当でタスキをつないだ。 「やり切れたのは間違いないです。1区の役目としては先頭から差をつけられないことだったので、悪くはなかったですけど、着差で17番だったので、『あとちょっと早かったら何位だったのにな』という欲が出てきました。悔しさもありましたけど、『もっといけたよな』というのはありました」 力を出し切りながらも悔いも残った最初で最後の箱根。ただ、一人で走ったからこそ得られたものもあったと片川は語る。他大学のファンの声援を感じた
「一人じゃなかったら応援してもらえないと思うんですよ。やっぱり、青学、駒澤、國學院とか、そういうところを一番見たがる観戦者が多いと思うので。学生連合はオープン参加なので、応援してもらえるのは本当に限られた人だけだったと思っていました」 一人で走っていた分、他大学のファンの声援も片川に向けられた。単独走になったのは偶然とはいえ、勇気を持って飛び出したからこそ、感じることができた喜びである。 「一人で飛び出した時に、青学や駒澤のタオルを持っている人でも学生連合の応援してくれたりとか、そういうのがあったので、飛び出して良かったなと思いました。一人だったら絶対に応援はないんだろうなと思っていたので、それは本当にうれしかったです」 片川は兵庫県川辺郡猪名川町出身。猪名川中で陸上を始め、高校は兵庫の名門・報徳学園に進んだ。しかし、高校3年になるまでは5000mで15分を切れず、「陸上で大学に行くことは無理だろうな」と思っていたという。 そんななか、3年生の時に新型コロナウイルスが流行。緊急事態宣言が出て一人で練習している間に力をつけ、12月には14分26秒95まで記録を伸ばした。 関東の大学で競技を続けることを決意し、指定校推薦で亜細亜大に進学。大学の同期は入寮するにあたっては当時の佐藤信之監督に直接電話をして許可を得たという。 覚悟を持って進学した片川は大学4年間で急成長。ハーフマラソン(1時間2分6秒)、20km(58分48秒)の亜細亜大記録、5000m(13分41秒72)と10000m(28分11秒20)の亜細亜大日本人最高記録を立て続けに更新するまでになった。 昨年10月の予選会では個人79位に入り、初めての関東学生連合入り。当初は補欠登録だったが、当日変更で1区に入り、一度切りの箱根駅伝を走り切った。 卒業後は旭化成で競技を続ける。今年のニューイヤー駅伝を制した名門チームで揉まれ、さらなる飛躍を期す。 [caption id="attachment_127554" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.28
-
2025.03.28
-
2025.03.28
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.25
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.28
【世界陸上プレイバック】五輪ボイコットきっかけに創設!クラトフヴィロヴァが女子400mと800mで今も大会記録に残る2冠 日本は室伏重信ら出場も入賞ゼロ
今年、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪大会を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。これま […]
2025.03.28
【高校生FOCUS】女子三段跳・山﨑りりや(鳴門渦潮高)日本高校女子初の13m到達、大学で学生記録挑戦
淡路出身で高校は鳴門までバス通学 ――陸上を始めたきっかけは。 山﨑 走るのが好きで、得意でもあったので、小学4年生から小さな大会に出場するようになりました。小学6年生の時には身長が166cmあって、クラスで一番身長が高 […]
2025.03.28
3泊4日の全国高体連合宿終了! 「高め合える仲間がいっぱいできた」 来年度は宮崎で開催予定
大阪・ヤンマースタジアム長居を主会場に行われた2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月28日、3泊4日の全日程を終えた。全国から集まった選手たちは交流を深め、試合での再会を誓った […]
2025.03.28
資格停止中の競歩・池田向希がCASに不服申し立て「一日も早く競技 を再開」
旭化成は3月28日、所属選手である競歩の池田向希が受けたアンチ・ドーピング規則違反による4年間の資格停止処分について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に不服申し立てを行ったと発表した。 男子20km競歩で東京五輪銀メダリスト […]
2025.03.28
【男子円盤投】福宮佳潤(東京高1) 50m73=高1歴代2位&4人目の50mオーバー
男子円盤投高1歴代10傑 52.70 幸長慎一(生光学園・徳島) 2014. 2.15 50.73 福宮佳潤(東京・東京) 2025. 3.28 50.48 執行大地(市尼崎・兵庫) 2018. 1.20 50.1 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報