◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前〜富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km)
富士山女子駅伝が行われ、立命大が2時間21分09秒の大会新で優勝した。
10月の全日本大学女子駅伝を9年ぶりに制した立命大。杜の都で喜びを分かち合った後も、そこで満足し、歩みを止めることはなかった。
「全日本大学女子駅伝で優勝はしたけれど、富士山(女子駅伝)で勝たないと本当に勝ったとは思えない。そこから もう一段階強くなれるように取り組んできました」
主将の村松灯(4年)がそう語るように、11月からの競技会では多くの選手が自己記録を更新。チームとしてまさに“もう一段階強くなって”、今大会を迎えていた。
1区を担ったのは昨年に続いて太田咲雪(2年)。「今年はしっかりと最初から攻めの気持ちで走ることを意識した」と、序盤から集団の前方でレースを進めた。1.6kmで飛び出した全日本学生選抜の小川陽香(立教大2)にはついて行かなかったが、トップと15秒差の3位で役割を果たす。
村松は日体大の齋藤みう(4年)や大東大の野田真理耶(2年)といった実力者と、激しいつばぜり合いを演じながら3位をキープ。3、4区のルーキーコンビは、キャプテンの力走を自身の力に変えてチームを勢いづけた。
森安桃風は「去年までは高校生で、テレビで見てきたあこがれの舞台だった」と、3区区間賞の快走で順位を2位に押し上げる。4区の山本釉未はレース前、十倉みゆきコーチからの電話で「ここでどうにか頭一つ抜け出したほしい」という言葉をかけられ、「自分が期待されているのがうれしかった。心に一気にスイッチが入った」と言う。
並走していた日体大の山﨑りさ(4年)をラスト400mで振り切り、従来の記録を1秒上回る区間新。全日本2区に続く区間賞で、2位に7秒差の貯金を作って中継所に飛び込んだ。
最長10.5kmの5区に入った土屋舞琴(3年)は、2つ順位を落としたものの、首位に立った大東大とは31秒差、2位の日体大とは5秒差で粘りを見せる。あとは、村松とともにチームを支えてきた2人の最上級生に託された。
6区に入った福永楓花(4年)は、この日、誰よりも燃えていたかもしれない。チームが歓喜に沸いた全日本は補欠だった。「全日本で優勝したことがうれしかった反面、選手として走れなかったのがすごく悔しくて、そこからは富士山だけのために懸けてきました」と気迫みなぎる走りを披露。3.5kmでトップを行く大東大を捕らえると、最終盤に日体大を引き離し、区間記録を15秒も更新する区間新をマークした。
再び勢いづいた立命大は、アンカーの中地こころ(4年)も「私はどの位置でタスキをもらっても必ず優勝のゴールテープを切ると決めていた」と果敢に攻める。中盤から始まる険しい山上りもスムーズに上り、後続をぐんぐん引き離した。中地も区間賞の快走で、立命大は2時間21分09秒の大会新記録でフィニッシュ。7年ぶり6回目、前身の大会を含めると12回目の優勝をつかみ、全日本大学女子駅伝との2冠に輝いた。
杉村憲一監督は選手たちを称え、目を細める。
「今年度のチームは全日本大学駅伝と富士山女子駅伝の両方を制して、本当の日本一になるという目標を掲げて、1年間、キャプテンの村松を中心にトレーニングを積んできました。実際に2つの大会を優勝するという目標を達成できて、本当に素晴らしい、すごい子たちだなと。4回生を中心とした素晴らしいチームができたことが今回の優勝につながったと思っています」
競技力もメンタル面も強力な4年生がチームを引っ張り、名門・立命大が学生女子長距離界の主役に返り咲いた2024年シーズンが幕を閉じた。
文/小野哲史
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.14
お詫びと訂正(月刊陸上競技2025年4月号)
-
2025.03.13
-
2025.03.13
-
2025.03.13
-
2025.03.12
2025.03.08
栁田大輝が豪州・シドニーで2025年初戦!100m10秒42、200mは自己新21秒11
-
2025.03.08
-
2025.03.09
-
2025.03.08
-
2025.03.09
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.02.24
-
2025.02.14
-
2025.03.02
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.14
400mハードル世界記録保持者・ワルホルムが再び極寒トレーニングを披露!! 今回は湖の上で「これがノルウェーの一般的な練習さ」
男子400mハードル世界記録(45秒94)保持者で、東京五輪メダリストのカールステン・ワルホルム(ノルウェー)が自身のSNSに、トレーニングの様子をアップした。 動画では、いきなり上半身裸でスパイクを履いたワルホルムが登 […]
2025.03.14
お詫びと訂正(月刊陸上競技2025年4月号)
月刊陸上競技2025年4月号の内容に一部誤りがございました。 本誌P107の「Road to HAKONE EKIDEN 2026 新主将意気込み&新主務チーム紹介」で、東海大学の主将が「菅原昇真」となっていますが、正し […]
2025.03.14
棒高跳世界記録保持者デュプランティスが6m05でV 自身の名を冠した「モンドクラシック」/WA室内ツアー
世界陸連(WA)室内ツアー・シルバーのモンドクラシックが3月13日、スウェーデン・ウプサラで開かれ、男子棒高跳で世界記録保持者のA.デュプランティス(スウェーデン)が6m05で優勝した。 デュプランティスは五輪・世界選手 […]
2025.03.13
東京世界陸上2人目の内定は!?好調・丸尾知司、野田明宏ら注目の日本選手権35km競歩
◇第109回日本選手権35km競歩・第49回全日本競歩能美大会(3月16日/石川県輪島市) 東京世界選手権代表選考会を兼ねた第109回日本選手権35km競歩が3月16日に行われる。例年は石川・輪島で開催されていたが昨年1 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報