2024.12.27
新春の風物詩・第101回箱根駅伝に挑む出場全21チームの選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。新たな100年への第一歩を踏み出す大会に向かうそれぞれの歩みを紹介する。
1年時から箱根皆勤賞
11月の全日本大学駅伝。2年連続で7区に起用された青学大の太田蒼生(4年)が、またしても驚きの走りを見せた。
首位でタスキを受けた太田のすぐ後ろには、4秒差でスタートした國學院大のエース・平林清澄(4年)。前回、同区で区間賞を獲得した実力者で、状況的に平林が追いつき、並走する展開になると思われたが、その差は詰まるどころか、次第に広がっていった。
「すぐ後ろにいるのは分かっていたので、なるべく早い段階で引き離して諦めさせようと思いました。速いペースでもリズムよく入れたと思います」
まさに「駅伝男」の勝負勘と言うべきか。前もって決めていたわけではなく、前の区間で終盤に國學院大に詰められた状況を確認。走り出してから決めたプランだというから恐ろしいほどの冷静さ、そして大胆さがあった。
その差は一時、20秒近くまで拡大。その後は粘りを見せる平林に15km付近で追いつかれるも、約1km並走した後に再びスパート。再度4秒差をつけて、トップを死守する意地を見せた。
区間賞こそ、49分57秒をマークした駒大の篠原倖太朗(4年)に譲ったが、50分07秒は、平林と並んで区間2位タイ。歴代でも4位に入るタイムだった。「状態としては昨年よりも良くて、8割くらい。1分以上離したいと思っての走りだったので、勝ち切れなかったのは反省点ですが、ある程度力は発揮できたのかなと思います」とうなずく。
全日本大学駅伝後、原晋監督は「120%の力を出してくれました」と評価。付け加えて、「全日本よりも気温が低くなる箱根になると、もっと走りますよ」と言う。
例年、強大な選手層を誇る青学大にあって、1年時から箱根路は皆勤賞の太田。1年時は3区で東京国際大のエース・丹所健(現・Honda)との首位争いを制すると、2年目は4区に戦いの場を移し、3位から先頭を猛追。最後は駒大のエース格だった鈴木芽吹(現・トヨタ自動車)と中継所まで熾烈なデットヒートを演じた。
そして、前回だ。2度目の3区で、当時10000m日本人学生現役最速の佐藤圭汰(駒大、現3年)を相手に、22秒差を逆転しし、日本人初の1時間切りとなる59分47秒をマーク。3度の箱根駅伝で、ファンを大きく沸かせてきた。
1年時から箱根皆勤賞
11月の全日本大学駅伝。2年連続で7区に起用された青学大の太田蒼生(4年)が、またしても驚きの走りを見せた。 首位でタスキを受けた太田のすぐ後ろには、4秒差でスタートした國學院大のエース・平林清澄(4年)。前回、同区で区間賞を獲得した実力者で、状況的に平林が追いつき、並走する展開になると思われたが、その差は詰まるどころか、次第に広がっていった。 「すぐ後ろにいるのは分かっていたので、なるべく早い段階で引き離して諦めさせようと思いました。速いペースでもリズムよく入れたと思います」 まさに「駅伝男」の勝負勘と言うべきか。前もって決めていたわけではなく、前の区間で終盤に國學院大に詰められた状況を確認。走り出してから決めたプランだというから恐ろしいほどの冷静さ、そして大胆さがあった。 その差は一時、20秒近くまで拡大。その後は粘りを見せる平林に15km付近で追いつかれるも、約1km並走した後に再びスパート。再度4秒差をつけて、トップを死守する意地を見せた。 区間賞こそ、49分57秒をマークした駒大の篠原倖太朗(4年)に譲ったが、50分07秒は、平林と並んで区間2位タイ。歴代でも4位に入るタイムだった。「状態としては昨年よりも良くて、8割くらい。1分以上離したいと思っての走りだったので、勝ち切れなかったのは反省点ですが、ある程度力は発揮できたのかなと思います」とうなずく。 全日本大学駅伝後、原晋監督は「120%の力を出してくれました」と評価。付け加えて、「全日本よりも気温が低くなる箱根になると、もっと走りますよ」と言う。 例年、強大な選手層を誇る青学大にあって、1年時から箱根路は皆勤賞の太田。1年時は3区で東京国際大のエース・丹所健(現・Honda)との首位争いを制すると、2年目は4区に戦いの場を移し、3位から先頭を猛追。最後は駒大のエース格だった鈴木芽吹(現・トヨタ自動車)と中継所まで熾烈なデットヒートを演じた。 そして、前回だ。2度目の3区で、当時10000m日本人学生現役最速の佐藤圭汰(駒大、現3年)を相手に、22秒差を逆転しし、日本人初の1時間切りとなる59分47秒をマーク。3度の箱根駅伝で、ファンを大きく沸かせてきた。トータル練習量の増加
そして今季、4年目にして初めて出雲駅伝(6区3位)、全日本でエース区間を担当。その後、インフルエンザに感染し、1週間くらい練習を休んだが、「実は体調を崩した後の練習で故障しがちだったので、そこは十分注意して、ゆっくりと状態を上げていきます」と焦りはない。 そこには過去3年に比べて、「トータルで見ると練習量は明らかに増えていると感じている」という手応えがあるからだ。 11月23日のMARCH対抗戦10000mで鶴川正也(4年)、黒田朝日(3年)、若林宏樹(4年)が27分台をマークするなど、主力が好走をみせるなか、自身は予定していた最終組を回避して1組目に出場。8000mまでペースメーカーを務めて、23分40秒だった。 「もちろん最終組も走りたかったですし、走れば27分台くらいは出せたと思いますけど、まあトラックのタイムにそこまで執着はないですね。それよりもインフル明けとしては悪くない走りだったので、そちらの方が良かったと思います」 迎える最後の箱根路。周囲の期待は自ずと高くなるが、太田自身は意に介さず、来たる決戦に平常心は変わらない。「僕はやりたいことをやっているだけで、箱根駅伝は大学で1番の目標なので、そこで試合を楽しむだけです。モチベーションがあるので、箱根に向けては自然と状態が上がってくると思っています」と淡々と話す。 マラソン志向が強く、卒業前には初マラソン挑戦も視野に入れるが、今は箱根駅伝に100%の精力を注いでいく。 「出雲、全日本で区間賞に届かなかったので、最後の箱根は区間賞、区間新、総合優勝を達成して、ゴールを笑顔で迎えて終わりたいと思います」 4度目の大舞台も、最後まで楽しみ尽くすだろう。その先に、箱根の歴史を変える爆走が見られるはずだ。 [caption id="attachment_123595" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.03.03
東京五輪代表・坂東悠太が入籍!「二人で力を合わせて笑顔の絶えない家庭を」
-
2025.03.03
-
2025.03.03
-
2025.03.03
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.02
-
2025.02.25
-
2025.03.02
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.02.24
青学大新主将・黒田朝日が2時間6分05秒!先輩・若林宏樹の学生記録を上回る/大阪マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.09
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.03
安川電機が岡田浩平、ラジニの退部を発表 岡田「すべてが人生の大きな財産」ラジニ「これからも応援しています」
安川電機陸上部は3月3日、岡田浩平、レメティキ・ジョセフ・ラジニが2月28日付で退部したことを発表した。 岡田は1999年生まれの25歳。京都・洛南高では3年時に全国高校駅伝4区を走り、立命大では2年時から全日本大学駅伝 […]
2025.03.03
東京五輪代表・坂東悠太が入籍!「二人で力を合わせて笑顔の絶えない家庭を」
東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)が3月3日、SNS上で入籍したことを発表した。 SNSに指輪の画像をアップし、「私ごとですが、本日2025年3月3日に入籍いたしました!」と書き込みをした坂東。「彼女は競技は違い […]
2025.03.03
明大駅伝監督に大志田秀次氏が就任! 東京国際大監督として箱根駅伝2度の総合5位、出雲駅伝優勝に導く
明大は3月3日、競走部駅伝監督に大志田秀次氏(62)が4月1日付で就任すると発表した。 大志田氏は岩手県盛岡市出身。中大時代には4年時に箱根駅伝8区区間賞など活躍し、本田技研(現・Honda)ではアジア大会1500m優勝 […]
2025.03.03
日体大長距離競技会の開催日が決定! 3月から12月にかけて全8回予定
日体大健志台キャンパス陸上競技場で開かれる日体大長距離競技会の2025年の開催日が発表された。 3月29、30日の第319回を皮切りに、4月26、27日に第320回、5月31日、6月1日に第321回、6月28、29日に第 […]
2025.03.03
荒井七海がショート1マイル日本歴代2位の3分55秒61 中大の岡田開成が3000m組トップ
3月2日、米国のボストン大でラストチャンス競技会が行われ、男子1マイルで荒井七海(Honda)がショートットラック日本歴代2位となる3分55秒61をマークした。 荒井は今大会が今季2戦目。初戦は3分58秒21だったが、こ […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝