2024.12.21
4年生がチームの雰囲気を変えた

爆発を誓う3年生の溜池一太と吉居駿恭(チーム提供)
その大きな要因には『中間層の底上げ』という今年掲げた強化のテーマがあった。
「昨年までは上が強いから、といって少しくすぶっていたような中間層の選手たちが、プチブレイクし始めてくれました。距離を踏んで、中間層の底上げをしていくことが、戦力の充実にもつながりますし、チーム全体のレベルアップにも欠かせないと考えて取り組んできました。その成果が出たのかな、と考えています」。藤原監督はそう分析する。
ところが、それが気の緩みにつながってしまった。主力がいない予選会をあっさりと通過したことで、主力も出そろう2週間後の全日本大学駅伝で少し緩い雰囲気を生み出してしまった。
指揮官は「チーム全員がベクトルを合わせて、同じ目標に向かっていたか、というと、マネジメント側と選手、選手のなかにも温度差が生まれていたのかな、と思います」と振り返る。
本間や岡田、佐藤といった下級生は好走したものの、溜池や吉居、4年生の阿部陽樹らが不発。順位もシード権にほど遠い12位となってしまった。
「悔しいのですが、学生たち全員が熱を持った駅伝をさせてあげることができなかったな、と。チームマネジメントの仕方がよくなかった。そこは大きな反省点でした」と藤原監督は話す。
全日本までは心・技・体のうち、技と身体は整っていた。それはトラックでの結果が証明している。あとは、心だけ。そこをたきつけるためのキーワードは、4年生だった。
「学生スポーツはやはり4年生がチームの雰囲気を作ります。僕たちとしては4年生を良い結果で送り出してあげたいけれど、それを4年生自身も感じていないといけないし、むしろ最後までチームを引っ張ってもらわないと。そういう意味できちんと話をしました」
4年生に火がついた。惨敗と言っても過言ではない全日本が終わってから、チームの雰囲気がガラッと変わって練習に熱がこもる。くすぶったような小さな炎しか灯っていなかった心が、徐々に燃え上がるような熱を発するようになってきた。
その成果は、11月のMARCH対抗戦で明確な結果として表れた。吉居は中大記録となる27分44秒48をマークし、本間も28分切りを実現。青学大を抑え、チーム上位10人の合計タイムで争われる総合優勝を勝ち取った。
「ようやくチームがかたちになってきました」と指揮官。準備は整った。深紅のタスキが、燃え上がるような選手たちの情熱によって、さらに鮮明な熱を帯びている。
中大の逆襲が、始まる。
文/田坂友暁
予選会で新戦力の成長
トラックのタイムがそのままロードの結果につながるわけではない。だが、このチームが、なぜこの位置にいるのかがまだわからない。10000mの上位10人の平均タイムからいえば、青学大、駒大、そして最も勢いのある國學院大すらしのぐ戦力を有しているのが、中大である。 始まりは、前回大会。直前に体調不良者が続出したことで本来の力を出し切れずに終わってしまった。 「1月はまだ不調を引きずっていましたから、立ち上げは丁寧に基礎固めをやっていこう、ということで、ゆっくりとジョッグの量を増やし、絶対的なトレーニング量を確保してきました。そのお陰もあって、2月くらいからかたちになってきて、春のトラックシーズンでは結果に結びついたと考えています」 そう話すのは、藤原正和駅伝監督だ。駅伝シーズンに向けた切り替えもうまくいき、夏合宿では十分な練習量で乗り切ることができた。 ただ、本格的なシーズンに入る前に故障者が出始める。それも5000m、10000mにハーフマラソンとマルチに活躍する溜池一太(3年)や日本選手権男子3000m障害2位の柴田大地(2年)、それこそトラックでは自己新を連発していた本間颯(同)といった主力の面々だった。 その結果、何があっても通過し、トップの筆頭にも挙げられていた10月の予選会で起用が難しくなる。さらに、3年生エースの吉居駿恭は温存し、全日本大学駅伝で爆発させるつもりだっただけに、急きょ戦略の立て直しを迫られてしまう。 しかし、藤原駅伝監督によるマネジメントの手腕は確かだった。それを証明するかのように、予選会は総合6位という位置ではあったものの、岡田開成、佐藤大介、七枝直、並川颯太、原田望睦の5人の1年生を起用する。 「そうせざるを得なかった」と言いながらも、岡田はチーム2番手の走りを見せ、原田、佐藤は総合ふたケタ順位でフィニッシュする。春先はトラックで自己新を何度も更新してきた並川も66分12秒とまずまずの記録をマーク。ほぼ主力がいないなかで、あの酷暑の予選会を順当に通過して見せた。 さらに翌日の東京レガシーハーフでは、田原琥太郎(1年)が1時間3分34秒で好走。主力が不調だったとしても、新戦力がしっかりと育っている。まさにチーム状況が充実していることを証明したのである。4年生がチームの雰囲気を変えた
[caption id="attachment_123595" align="alignnone" width="800"]
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.22
-
2025.02.21
2025.02.17
日本郵政グループ女子陸上部 「駅伝日本一」へのチームづくりとコンディショニング
2025.02.16
男子は須磨学園が逆転勝ち! 女子は全国Vの長野東が強さ見せる/西脇多可高校新人駅伝
-
2025.02.22
-
2025.02.16
-
2025.02.16
-
2025.02.22
2025.02.02
【大会結果】第77回香川丸亀国際ハーフマラソン(2025年2月2日)
2025.02.02
大迫傑は1時間1分28秒でフィニッシュ 3月2日の東京マラソンに出場予定/丸亀ハーフ
-
2025.02.14
-
2025.02.09
-
2025.02.02
-
2025.01.26
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.02.23
「ラストはいい切れ味」三浦龍司が納得の優勝 2位井川龍人も5000m12分台へ手応え/日本選手権クロカン
◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 26年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本陸上競技選手権大会クロスカントリーが2月22日、福岡 […]
2025.02.22
石井優吉がショートトラック800m1分46秒41の日本新!
2月21日、米国ペンシルベニア州カレッジステーションでペンシルベニア州立大の学内学内競技会が同校の室内競技場(1周200m)で行われ、男子800mで石井優吉(ペンシルベニア州立大)が1分46秒41のショートラック日本記録 […]
2025.02.22
JMCランキング暫定1位の西山雄介がコンディション不良により欠場/大阪マラソン
◇大阪マラソン2025(2月24日/大阪・大阪府庁前スタート・大阪城公園フィニッシュ) 大阪マラソンの主催者は2月22日、招待選手の西山雄介(トヨタ自動車)がコンディション不良により欠場することを発表した。 西山は22年 […]
2025.02.22
【男子ハンマー投】アツオビン・アンドリュウ(花園高3) 61m59=一般規格高校歴代2位
2月22日、京都市の京産大総合グラウンド競技場で第11回京都陸協記録会が行われ、一般規格の男子ハンマー投でアツオビン・アンドリュウ(花園高3京都)が高校歴代2位となる61m59をマークした。 アツオビンは昨年のU20日本 […]
2025.02.22
円盤投・堤雄司が自己2番目の61m76でV 女子100mH青木益未は13秒04 福田翔太、郡菜々佳も優勝/WAコンチネンタルツアー
【動画】円盤投で堤雄司が投げた61m76 61m76セカンドベスト pic.twitter.com/OqeyrhsNej — Yuji Tsutsumi(堤 雄司) (@NeoTsutsumi) Februa […]
Latest Issue
最新号

2025年3月号 (2月14日発売)
別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝