2024.12.01
◇福岡国際マラソン2024(12月1日/福岡市・平和台陸上競技場発着)
福岡国際マラソンが行われ、吉田祐也(GMOインターネットグループ)が日本歴代3位の2時間5分16秒(速報値)で優勝した。2020年大会以来、4年ぶり2度目となる。
表彰後のインタビューで、言葉に詰まり、涙があふれた。
「2020年に初優勝してからつらいことばかりだったので……、言葉にできないほどうれしいです」
青学大卒業前だった2020年2月の別府大分毎日で、初マラソンながら当時学生歴代2位の2時間8分30秒をマーク。そして、社会人1年目だった12月の福岡国際で、当時日本歴代9位の2時間7分05秒で制覇と、日本男子マラソン界のホープとして一気に注目度を高めた。
だが、その後はなかなか結果を出せないレースが続いた。2022年10月のミネアポリスこそ優勝(2時間11分28秒)したものの、その前後は力を出せないことが続き、パリ五輪代表を目指した臨んだ昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)は50位に。「結果を出せない自分が本当にいやだった」と振り返る。
そんな吉田の、今回の激走への“序章”となったのが、今年2月の大阪。「タイムと順位の両方を追うとストレスになる。順位にこだわろう」と臨み、日本人3番手の4位でフィニッシュ。すると、タイムも2時間6分37秒と、自己ベストを30秒近く塗り替えることができた。
そこから、「東京世界選手権の代表になりたい」と目標を定め、今大会に向けて準備を着々と進める。11月3日の東日本実業団対抗駅伝では1区を独走し、チームの初優勝の原動力に。そして迎えた4年ぶりの福岡で、完全復活の走りを見せた。
「タイムは意識せず、優勝争いを意識しました。素晴らしい選手ばかりなので、その中で優勝で切ればタイムがついてくると思っていました」
序盤から淡々と上位集団で展開し、中間点を1時間2分57秒で通過する。「35km以降につなげるために、30kmまでいかの余力を残せるか」に集中し、ペースメーカーのベナード・コエチ(九電工)が作る流れに身を任せる。
1時間29分07秒で通過した30kmでペースメーカーを外れてからは、タデッセ・ゲタホン(イスラエル)との一騎打ちに。32kmで勝負を仕掛けた吉田が独走態勢となった。
そこからも、「自分のリズムで走ることができた」と吉田。1㎞ごとに3分を切るペースを最後まで維持し、日本記録(鈴木健吾、2時間4分56秒)更新すらも視野に入る。
そこには一歩及ばなかったものの、9月のベルリンで池田耀平(Kao)が出した2時間5分12秒に次ぐ日本歴代3位。当時世界屈指のランナーだったツェガエ・ケベデ(エチオピア)が2009年に出した2時間5分18秒を上回るコース記録を塗り替え、そして東京世界選手権の参加標準記録(2時間6分30秒)も突破した。コロナ禍だった4年前は「無観客でつらい思いがありましたが、今日はたくさんの人に認知してもらい、ラスト苦しい場面で名前を呼んでもらい、力になりました」と振り返る。
1997年生まれの27歳。埼玉県出身。青学大では4年時の箱根駅伝4区で区間新記録の快走を見せ、チームの2年ぶり優勝に貢献。一般企業に内定を得ていたが、その後の別府大分での快走を経て、競技続行を決意した。
紆余曲折を経て、念願の「世界」が大きく見える位置まで来た。吉田は「自分の中ではこの力をもってしても、まだ世界と戦うのはきびしい」と自己分析をしつつ、「でも少しずつ良くなっている。世界と戦える力をつけたい」。その言葉には力がみなぎっていた。
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.15
神戸マラソンがMGCシリーズ加盟 愛知アジア大会、ロス五輪代表の選考へつながるレースに
-
2025.04.14
-
2025.04.14
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.03.23
-
2025.04.01
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.15
神戸マラソンがMGCシリーズ加盟 愛知アジア大会、ロス五輪代表の選考へつながるレースに
日本陸連は4月15日、「神戸マラソン2025」がMGCシリーズ2025-26に加盟したと発表した。 MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)シリーズは、前身のJMCシリーズを継承したもので、ポイントにより年間王者を決 […]
2025.04.15
100mH寺田明日香「今季限りで一線を退く」東京世界陸上目指してラストスパート「引退」は使わず
女子100mハードル元日本記録保持者の寺田明日香(ジャパンクリエイト)が都内で会見を開き、今季限りでの第一線を退く意向を表明した。 冒頭のキャリアを振り返るVTRが流れると、登壇早々から涙を浮かべた寺田。一線を退く意向を […]
2025.04.15
コモディイイダ・高橋舞衣が退職 2月の愛媛マラソンで骨折 「この決断が後に良かったと思えることを信じて」
コモディイイダはは4月15日付で、高橋舞衣が退職すると発表した。2月の愛媛マラソンで骨折し、今後は地元の愛媛で治療とリハビリに専念するという。 高橋は愛媛・今治北高では主要な全国大会への出場はなかったが、松山大では1年時 […]
2025.04.14
東海大が陸上競技場に電子ペーサーを常設! トラック内側に4色点滅のLED325個を配置
東海大陸上部と工学部は4月14日、東海大湘南キャンパス内陸上競技場にLEDライトをトラックの縁に置いてペース設定に合わせて光る「電子ペーサー」を3月から常設したと発表した。国内メーカーによる開発と、陸上競技場への常設は国 […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)