HOME 駅伝

2024.11.04

初出場でシード獲得の立教大 勢いではなく高まる地力 「上を狙っていくチームに」/全日本大学駅伝
初出場でシード獲得の立教大 勢いではなく高まる地力 「上を狙っていくチームに」/全日本大学駅伝

初のシードを獲得した立教大のアンカー安藤圭佑(左)

◇第56回全日本大学駅伝(11月3日/愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮:8区間106.8km)

駅伝の学生ナンバーワンを決める全日本大学駅伝が行われ、國學院大が5時間09分56秒で初優勝。10月の出雲駅伝に続き、今季の学生駅伝2冠を果たした。初出場の立教大は5時間16分21秒で7位に入り、シード権を確保した。

全日本大学駅伝でシード制が採用された2000年(32回大会)以降、初出場でのシード権獲得は今回の立大で5校目だ。これまでの4校は03年中央学大、11年上武大、19年東京国際大、2022年創価大。このうち上武大と東京国際大は直前の箱根駅伝予選会に参加し、トップ通過を果たしている。まさに今年の立大と同じだ。

アンカーを務めた主将の安藤圭佑(4年)は「予選会2週間後でしたが、あれを土台にプラスアルファで走る意識でした。ベースが同じかたちで生かせました」と力強く語った。史上最も酷な条件とも言えた、今年の予選会との“連戦”で苦しんだ大学もあるなか、立教大の選手たちは確かな力を示した。

4月に髙林祐介監督が就任後、箱根のシード権獲得を目標にチームがまとまる。全日本の出場権を得た6月以降、この「中2週間」というスケジューリングを意識。夏合宿も例年以上に距離を踏んだ。

安藤は序盤のレース展開に焦りを感じなかった。8位と1分差あまりの差でタスキをつなぐ仲間たちを見て「力はついているなと感じました。4区の稲塚(大祐、4年)から流れがよくなり、6区の山口(史朗、4年)のところで8位が見えた」。

広告の下にコンテンツが続きます

7区の馬場賢人(3年)が一気に7位に上がり、安藤は「アップをしながら気合が入りました」と話す。絶対に勝ちきると自信を持って走り出し、後ろから25秒差でスタートした8位帝京大に一度追いつかれたものの、最後はガッツポーズを決めて競り勝ち順位を守った。

主将の安藤、そして髙林監督ともに、この結果に満足はしておらず、さらなる高みを見据えている。

安藤は「上を狙っていくチームにならないといけません。箱根に向けさらにレベルアップしたいし、終わってからも後輩たちが上にいってほしい」。高林監督も「プレッシャーのかからないところでのびのび走るだけではなく、緊迫した所でも力を出し切る、チームが困難に直面した時に立ち向かっていける強さが必要」。主将と監督。見据える先は同じだ。

過去に全日本で初出場初シードを獲得した2校のうち、上武大は箱根本戦では19位に終わったが、東京国際大は5位に入っている。立教大は箱根路でどんな戦いを見せるか。残り2カ月の調整が初シードへのカギになる。

箱根予選会では関東インカレハーフ5位の稲塚を欠きながらも危なげなくトップ通過を果たしている。今の立教大は、決して勢いという言葉だけでは片づけられない。

文/荒井寛太

◇第56回全日本大学駅伝(11月3日/愛知・熱田神宮~三重・伊勢神宮:8区間106.8km) 駅伝の学生ナンバーワンを決める全日本大学駅伝が行われ、國學院大が5時間09分56秒で初優勝。10月の出雲駅伝に続き、今季の学生駅伝2冠を果たした。初出場の立教大は5時間16分21秒で7位に入り、シード権を確保した。 全日本大学駅伝でシード制が採用された2000年(32回大会)以降、初出場でのシード権獲得は今回の立大で5校目だ。これまでの4校は03年中央学大、11年上武大、19年東京国際大、2022年創価大。このうち上武大と東京国際大は直前の箱根駅伝予選会に参加し、トップ通過を果たしている。まさに今年の立大と同じだ。 アンカーを務めた主将の安藤圭佑(4年)は「予選会2週間後でしたが、あれを土台にプラスアルファで走る意識でした。ベースが同じかたちで生かせました」と力強く語った。史上最も酷な条件とも言えた、今年の予選会との“連戦”で苦しんだ大学もあるなか、立教大の選手たちは確かな力を示した。 4月に髙林祐介監督が就任後、箱根のシード権獲得を目標にチームがまとまる。全日本の出場権を得た6月以降、この「中2週間」というスケジューリングを意識。夏合宿も例年以上に距離を踏んだ。 安藤は序盤のレース展開に焦りを感じなかった。8位と1分差あまりの差でタスキをつなぐ仲間たちを見て「力はついているなと感じました。4区の稲塚(大祐、4年)から流れがよくなり、6区の山口(史朗、4年)のところで8位が見えた」。 7区の馬場賢人(3年)が一気に7位に上がり、安藤は「アップをしながら気合が入りました」と話す。絶対に勝ちきると自信を持って走り出し、後ろから25秒差でスタートした8位帝京大に一度追いつかれたものの、最後はガッツポーズを決めて競り勝ち順位を守った。 主将の安藤、そして髙林監督ともに、この結果に満足はしておらず、さらなる高みを見据えている。 安藤は「上を狙っていくチームにならないといけません。箱根に向けさらにレベルアップしたいし、終わってからも後輩たちが上にいってほしい」。高林監督も「プレッシャーのかからないところでのびのび走るだけではなく、緊迫した所でも力を出し切る、チームが困難に直面した時に立ち向かっていける強さが必要」。主将と監督。見据える先は同じだ。 過去に全日本で初出場初シードを獲得した2校のうち、上武大は箱根本戦では19位に終わったが、東京国際大は5位に入っている。立教大は箱根路でどんな戦いを見せるか。残り2カ月の調整が初シードへのカギになる。 箱根予選会では関東インカレハーフ5位の稲塚を欠きながらも危なげなくトップ通過を果たしている。今の立教大は、決して勢いという言葉だけでは片づけられない。 文/荒井寛太

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.02.22

三浦龍司が圧巻スパートで優勝 井川龍人は2年連続2位/日本選手権クロカン

◇第108回日本選手権クロスカントリー(2月22日/福岡・海の中道海浜公園) 来年1月の世界クロスカントリー選手権(米国・タラハシー)の代表選考を兼ねた第108回日本選手権クロスカントリーが行われ、男子(10km)はパリ […]

NEWS 【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)

2025.02.22

【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日)

【大会結果】第108回日本選手権クロスカントリー(2025年2月22日/福岡・海の中道海浜公園) ●男子10km 1位 三浦龍司(SUBARU)   28分24秒 2位 井川龍人(旭化成)   28分25秒 3位 塩尻和 […]

NEWS 今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場

2025.02.22

今年も福岡でクロカン日本一決定戦! 日本選手権&U20日本選手権クロカンに有力選手が多数出場

第108回日本選手権クロスカントリー、第40回U20日本選手権クロスカントリーは今日2月22日、福岡・海の中道海浜公園の1周2kmのコースを舞台に行われる。 日本選手権は男子が10km、女子が8kmで争われ、男子にはパリ […]

NEWS 編集部コラム「奥が深い」

2025.02.21

編集部コラム「奥が深い」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」

2025.02.21

ひらまつ病院にニューイヤー駅伝3年連続出走の三田眞司が加入 「チームの最高順位に貢献」

ひらまつ病院は2月16日付で、サンベルクスに所属していた三田眞司が加入したと発表した。 29歳の三田は神奈川県出身。光明学園相模原高では3年時に全国都道府県対抗男子駅伝4区9位と力走。国士大では3年時に全日本大学駅伝で3 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年3月号 (2月14日発売)

2025年3月号 (2月14日発売)

別府大分毎日マラソン
落合 晃×久保 凛
太田智樹、葛西潤
追跡箱根駅伝&高校駅伝

page top