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2024.10.14

中谷魁聖が高校記録を再更新!! 少年共通走高跳で2m25 「スランプ」も試技で感覚取り戻す/佐賀国スポ
中谷魁聖が高校記録を再更新!! 少年共通走高跳で2m25 「スランプ」も試技で感覚取り戻す/佐賀国スポ

24年佐賀国スポ少年男子共通走高跳で高校記録を再更新する2m25をクリアした中谷魁聖(福岡・福岡第一高3)

◇佐賀国民スポーツ大会(10月11~15日/佐賀・SAGAサンライズパーク/SAGAスタジアム)3日目

佐賀国民スポーツ大会の3日目が行われ、少年男子共通走高跳では中谷魁聖(福岡・福岡第一3)が2m25を成功させ、今年8月の福岡インターハイでマークした2m24の高校記録を再び更新した。この記録は今季のU20世界ランキング2位タイとなる。

中谷は決して本調子ではなかった。2週間前に行われた「Yogiboアスレチックスチャレンジカップ2024」に出場し、2m10をクリアできずに記録なしに終わっていた。

高校記録を打ち立てたインターハイ、銅メダル獲得したU20世界選手権といった夏の連戦が影響。帰国後は休んでも疲労が抜けず、動きの悪さから踏み切り足の足首痛を再発するなど「スランプでした」と中谷は話す。

一番近くで見てきた顧問の田之上興造先生も「(今季は国内負け知らずだが)国スポでは負けを覚悟していました。精神的にも肉体的にもドン底でした」というほど状態が悪かった。

この2週間は、学校の先輩たちが経験、蓄積してきた疲労の抜き方、調整の仕方、キレの戻し方などをヒントに過ごし、大会数日前からようやく本来の動きを取り戻しつつあった。とはいえ、急激に復調するわけもなく、2m03、2m06、そして2回目で成功した2m09までは助走が噛み合っていない跳躍が続き、高校記録が出るような雰囲気は皆無だった。

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局面を脱したのは2m12の2回目。助走をやり直し、制限時間が刻々と迫る中、中谷はマーカーを無視して中助走でスタート。その跳躍でスムーズな助走を取り戻し、インターハイの時のような流れる助走からの内傾がよみがえった。次の2m15を1回で成功させて優勝を決めると、気持ちも吹っ切れた。

2m19を一発で成功させ、2m22の1回目は失敗したが「助走の感覚が良かったので、次は跳べるという感じがありました」。バーを2m25へあげると、未踏の高さを一発クリアした。

インターハイの時のようなはしゃいだ笑顔やガッツポーズはなく、「うれしかったですけど、とりあえずという感じもありました」。もっともっと上を見ている中谷がいた。

このほか、成年女子やり投はパリ五輪代表の上田百寧(福岡・ゼンリン)61m46で競り勝ち、成年女子5000m競歩では柳井綾音(福岡・立命大)が21分14秒06で制するなど福岡勢が躍動した。

成年の400mハードルでは女子は瀧野未来(京都・立命大)、男子は井之上駿太(京都・法大)の京都勢がアベックV。少年女子B100mハードルは石原南菜(栃木・白鴎大足利高1)が13秒34(±0.0)の大会新、少年男子B110mハードルは後藤大樹(千葉・四街道北中3)が13秒83(+1.6)のU20規格中学最高で競り勝った。

成年少年共通の4×100mリレーでは、女子は静岡が44秒60の大会新、男子は群馬が39秒30でそれぞれ制している。

文/田端慶子

◇佐賀国民スポーツ大会(10月11~15日/佐賀・SAGAサンライズパーク/SAGAスタジアム)3日目 佐賀国民スポーツ大会の3日目が行われ、少年男子共通走高跳では中谷魁聖(福岡・福岡第一3)が2m25を成功させ、今年8月の福岡インターハイでマークした2m24の高校記録を再び更新した。この記録は今季のU20世界ランキング2位タイとなる。 中谷は決して本調子ではなかった。2週間前に行われた「Yogiboアスレチックスチャレンジカップ2024」に出場し、2m10をクリアできずに記録なしに終わっていた。 高校記録を打ち立てたインターハイ、銅メダル獲得したU20世界選手権といった夏の連戦が影響。帰国後は休んでも疲労が抜けず、動きの悪さから踏み切り足の足首痛を再発するなど「スランプでした」と中谷は話す。 一番近くで見てきた顧問の田之上興造先生も「(今季は国内負け知らずだが)国スポでは負けを覚悟していました。精神的にも肉体的にもドン底でした」というほど状態が悪かった。 この2週間は、学校の先輩たちが経験、蓄積してきた疲労の抜き方、調整の仕方、キレの戻し方などをヒントに過ごし、大会数日前からようやく本来の動きを取り戻しつつあった。とはいえ、急激に復調するわけもなく、2m03、2m06、そして2回目で成功した2m09までは助走が噛み合っていない跳躍が続き、高校記録が出るような雰囲気は皆無だった。 局面を脱したのは2m12の2回目。助走をやり直し、制限時間が刻々と迫る中、中谷はマーカーを無視して中助走でスタート。その跳躍でスムーズな助走を取り戻し、インターハイの時のような流れる助走からの内傾がよみがえった。次の2m15を1回で成功させて優勝を決めると、気持ちも吹っ切れた。 2m19を一発で成功させ、2m22の1回目は失敗したが「助走の感覚が良かったので、次は跳べるという感じがありました」。バーを2m25へあげると、未踏の高さを一発クリアした。 インターハイの時のようなはしゃいだ笑顔やガッツポーズはなく、「うれしかったですけど、とりあえずという感じもありました」。もっともっと上を見ている中谷がいた。 このほか、成年女子やり投はパリ五輪代表の上田百寧(福岡・ゼンリン)61m46で競り勝ち、成年女子5000m競歩では柳井綾音(福岡・立命大)が21分14秒06で制するなど福岡勢が躍動した。 成年の400mハードルでは女子は瀧野未来(京都・立命大)、男子は井之上駿太(京都・法大)の京都勢がアベックV。少年女子B100mハードルは石原南菜(栃木・白鴎大足利高1)が13秒34(±0.0)の大会新、少年男子B110mハードルは後藤大樹(千葉・四街道北中3)が13秒83(+1.6)のU20規格中学最高で競り勝った。 成年少年共通の4×100mリレーでは、女子は静岡が44秒60の大会新、男子は群馬が39秒30でそれぞれ制している。 文/田端慶子

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