2024.09.27
FOCUS! 高校生INTERVIEW
菊田響生 Kikuta Kyo
法政二高3神奈川
注目の高校アスリートをフォーカスして紹介するコーナー!前回に引き続き、福岡インターハイの2冠アスリートの登場です。インターハイでは21年ぶりとなる男子400mと400mハードルを制した菊田響生選手(法政二高3神奈川)。8月下旬はU20世界選手権(ペルー・リマ)に出場し、国際舞台で大きな経験を積みました。高校ラストシーズンは終盤に差し掛かりますが、さらなる進化を目指しています。
悔しさと楽しさを感じたU20世界選手権
――8月下旬のU20世界選手権に出場し、400mハードルでは準決勝に進みました。
菊田 400mハードルは、インターバルを13歩で行く練習をずっとやってきましたが、前日練習で寒さもあったからか、1回も届かなかったので、これはまずいなと予選(7組1着/51秒24)は15歩で行きました。一気にレベルが上がる準決勝(1組3着/51秒04)は、イチかバチか13歩にしようとも思いましたが、結局すべて15歩で行くことにしました。ただ、ウォーミングアップ開始の約2時間前に走った4×400mリレー予選で酸欠気味になり、ヨンパーの準決勝は不安を抱えたまま迎えました。実力をしっかり発揮していれば決勝には行けたし、自己ベストを出せばメダルにも届いたんじゃないかと思うと、悔しい気持ちしか残りませんでした。
――それでも4×400mリレー(予選も決勝もアンカー)は5位入賞を果たしました。
菊田 予選は、調子が良いと言っていた前の3人がつないで来たのを1番でフィニッシュすることだけを考えて臨みました。そこまで緊張せず、自分の中でも良い走りができたので、理想に近い走りができました。実は大会期間中、体調が優れない状態がずっと続いていましたが、決勝ではそんなことは言っていられない、1本をがんばろうという感じでした。実際にラップタイム(46秒03)も、少しですが予選(46秒05)より速くて、あのコンディションの中でしっかりまとめられたと思います。でも、金メダルの米国は3人が45秒台のラップタイムで回って来ましたし、メダルを取った国のアンカーはみんな45秒台。世界の迫力を感じて悔しさもありました。でも、約46秒間が今までにないくらい楽しかったです。
――初めて「JAPAN」のユニフォームを着ての試合はどうでしたか。
菊田 個人種目やマイルで走らせていただいて、ジャパンを背負っているからにはそれに恥じないような走りしなきゃいけないなと。本当に心も身も引き締まった状態で臨めたと思います。
――U20世界選手権前の福岡インターハイでは個人種目で2冠達成しました。まず400mはいかがでしたか。
菊田 気温が高かったので、初日の400mは予選と準決勝は楽に行って、決勝は大会新記録で優勝したいと考えていました。ただ、準決勝は近畿大会で好タイムだった兵庫の2選手がいました。3着になるとプラス通過の対象で、決勝では内側だったりして、やや不利なレーンになってしまいます。それが嫌だったのでちょっと力を使ってしまいました。決勝は全力を出すだけだと思っていたので、勝てたことはうれしいですが、記録の面では悔しさも残りました。
――400mハードルは大会タイ記録でした。
菊田 400mを勝てたことで気持ちに余裕も生まれ、400mハードルは自信がありました。でも、準決勝は8台目で緩めすぎて9台目の脚が合わず、危ない走りになって冷や冷やしました。決勝は1番外側のレーンにいる橋本悠君(東農大二3群馬)が前半で13歩、14歩を使ってくることは知っていたので、前半に離されることは想定内でした。250mまでは焦らず自分の走りができました。ただ、終盤は思ったほど橋本君との差が詰まらず、焦って9台目のハードルを倒してしまいました。最後は意地で挽回した感じです。大会新記録を出せたら100点でしたが、大会タイなので90点ぐらいですね。
――インターハイには1年時から出場(1、2年時ともに個人種目では400m)しています。どんな部分が成長しましたか。
菊田 1年生の時は初めての全国で、本当に何もわからない状態でした。とにかく1本1本全力で行くだけで、その中で準決勝に進んだので、2本走ったのは大きな収穫でした。2年生の昨年は調子が良く、準決勝が終わって優勝できるかもしれないと思ったほどでした。結果的に2位でしたが、予選や準決勝の走り方とか1本終わったら何をするかなど、だいぶ試合慣れしました。1年生や2年生の経験があったからこそ、今年の結果があったと思っています。
――Yogiboアスレチックスチャレンジカップ(9月28日、29日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)に400mハードルでエントリーされています。
菊田 6月のU20日本選手権で自己ベストを出せたスタジアムですし。シニアの選手もたくさんいて、強い選手ばかりです。オリンピックに出るような選手と走る機会も中々ないので、緊張よりも楽しみな気持ちが大きいです。その中で、大学生や実業団選手に食らいついて、自己ベストを出したいと思っています。そして、400mハードルにエントリーしたのも、高校記録(49秒09)更新を狙いたいからです。いずれ世界大会でメダルを取りたいので、その第1歩として今回しっかり結果を残すのが目標です。
――10月以降の試合予定を教えてください。
菊田 10月の国スポ(佐賀)には300mと300mハードルに出場予定です。高校生としての大きい大会はそれが最後なので、どちらも優勝を狙って、今シーズン負けなしで終わりたいと思っています。
悔しさと楽しさを感じたU20世界選手権
――8月下旬のU20世界選手権に出場し、400mハードルでは準決勝に進みました。 菊田 400mハードルは、インターバルを13歩で行く練習をずっとやってきましたが、前日練習で寒さもあったからか、1回も届かなかったので、これはまずいなと予選(7組1着/51秒24)は15歩で行きました。一気にレベルが上がる準決勝(1組3着/51秒04)は、イチかバチか13歩にしようとも思いましたが、結局すべて15歩で行くことにしました。ただ、ウォーミングアップ開始の約2時間前に走った4×400mリレー予選で酸欠気味になり、ヨンパーの準決勝は不安を抱えたまま迎えました。実力をしっかり発揮していれば決勝には行けたし、自己ベストを出せばメダルにも届いたんじゃないかと思うと、悔しい気持ちしか残りませんでした。 ――それでも4×400mリレー(予選も決勝もアンカー)は5位入賞を果たしました。 菊田 予選は、調子が良いと言っていた前の3人がつないで来たのを1番でフィニッシュすることだけを考えて臨みました。そこまで緊張せず、自分の中でも良い走りができたので、理想に近い走りができました。実は大会期間中、体調が優れない状態がずっと続いていましたが、決勝ではそんなことは言っていられない、1本をがんばろうという感じでした。実際にラップタイム(46秒03)も、少しですが予選(46秒05)より速くて、あのコンディションの中でしっかりまとめられたと思います。でも、金メダルの米国は3人が45秒台のラップタイムで回って来ましたし、メダルを取った国のアンカーはみんな45秒台。世界の迫力を感じて悔しさもありました。でも、約46秒間が今までにないくらい楽しかったです。 ――初めて「JAPAN」のユニフォームを着ての試合はどうでしたか。 菊田 個人種目やマイルで走らせていただいて、ジャパンを背負っているからにはそれに恥じないような走りしなきゃいけないなと。本当に心も身も引き締まった状態で臨めたと思います。 ――U20世界選手権前の福岡インターハイでは個人種目で2冠達成しました。まず400mはいかがでしたか。 菊田 気温が高かったので、初日の400mは予選と準決勝は楽に行って、決勝は大会新記録で優勝したいと考えていました。ただ、準決勝は近畿大会で好タイムだった兵庫の2選手がいました。3着になるとプラス通過の対象で、決勝では内側だったりして、やや不利なレーンになってしまいます。それが嫌だったのでちょっと力を使ってしまいました。決勝は全力を出すだけだと思っていたので、勝てたことはうれしいですが、記録の面では悔しさも残りました。 ――400mハードルは大会タイ記録でした。 菊田 400mを勝てたことで気持ちに余裕も生まれ、400mハードルは自信がありました。でも、準決勝は8台目で緩めすぎて9台目の脚が合わず、危ない走りになって冷や冷やしました。決勝は1番外側のレーンにいる橋本悠君(東農大二3群馬)が前半で13歩、14歩を使ってくることは知っていたので、前半に離されることは想定内でした。250mまでは焦らず自分の走りができました。ただ、終盤は思ったほど橋本君との差が詰まらず、焦って9台目のハードルを倒してしまいました。最後は意地で挽回した感じです。大会新記録を出せたら100点でしたが、大会タイなので90点ぐらいですね。 ――インターハイには1年時から出場(1、2年時ともに個人種目では400m)しています。どんな部分が成長しましたか。 菊田 1年生の時は初めての全国で、本当に何もわからない状態でした。とにかく1本1本全力で行くだけで、その中で準決勝に進んだので、2本走ったのは大きな収穫でした。2年生の昨年は調子が良く、準決勝が終わって優勝できるかもしれないと思ったほどでした。結果的に2位でしたが、予選や準決勝の走り方とか1本終わったら何をするかなど、だいぶ試合慣れしました。1年生や2年生の経験があったからこそ、今年の結果があったと思っています。 ――Yogiboアスレチックスチャレンジカップ(9月28日、29日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)に400mハードルでエントリーされています。 菊田 6月のU20日本選手権で自己ベストを出せたスタジアムですし。シニアの選手もたくさんいて、強い選手ばかりです。オリンピックに出るような選手と走る機会も中々ないので、緊張よりも楽しみな気持ちが大きいです。その中で、大学生や実業団選手に食らいついて、自己ベストを出したいと思っています。そして、400mハードルにエントリーしたのも、高校記録(49秒09)更新を狙いたいからです。いずれ世界大会でメダルを取りたいので、その第1歩として今回しっかり結果を残すのが目標です。 ――10月以降の試合予定を教えてください。 菊田 10月の国スポ(佐賀)には300mと300mハードルに出場予定です。高校生としての大きい大会はそれが最後なので、どちらも優勝を狙って、今シーズン負けなしで終わりたいと思っています。昨年のインターハイが「変わる」きっかけに
――陸上を始めた経緯を教えてください。 菊田 自分も2歳上の兄も、元々走ることが好きだったので、母が見つけてくれた陸上クラブ「KaJAC」(神奈川・川崎市)へ、一緒に体験入部に行ったのがきっかけです。そのとき、自分は小学2年生。そこでハマってクラブに入り、ずっと続けてきました。 ――ほかのスポーツ歴はありますか。 菊田 水泳とサッカーも並行してやっていました。平日は週2でサッカー、週1で水泳があって、陸上は毎週土曜。結構スポーツはしていたと思います。中学校(田島中)で陸上部に入って、陸上1本にしました。 ――中学2年生の時に、先生から400mを勧められたそうですね。 菊田 はい、ハードルに出ようと思っていた秋の大会前に疲労骨折をして、ハードルを跳べなくなってしまいました。その時に学校のグラウンドで300mを走ったら、自分ではよくわかりませんでしたが、タイムが良かったらしく、顧問の先生から400mを勧められました。 ――3年生では400mで全中に出場しています。 菊田 優勝を目指していましたが、B決勝に回ってそこでも2位。すごく悔しくて高校でも400mをがんばっていきたいと思うようになりました。 ――法政二高に進んだきっかけは。 菊田 顧問の先生が2回ぐらい中学校まで来て勧誘していただき、練習内容などを聞いて自分に合いそうと感じたことと、マイルリレーも走りたかったのでリレーが強い法政二高に決めました。 ――入学当初の目標を教えてもらえますか。 菊田 1年生は「南関東大会に出られたらいいな」くらいの気持ちでした。がむしゃらに何も考えずにひたすら練習していたらインターハイに行けて、いろいろな経験をさせていただいたので、1年目はただ楽しかったという感じです。でも、インターハイ準決勝敗退や秋のU18大会300m5位というのは、自分の中で悔しさが残り、来年はもっとがんばろうと目標も上がっていきました。 ――高校の練習はレベルが高いと感じましたか。 菊田 部員がたくさんいて、速い先輩たちと練習をさせてもらっていたので、練習の質では、中学よりも高校のほうが何十倍も高いと感じました。ただ、中学時代は自分と同学年の部員が少なく、ほぼ1人で練習をやっていましたが、実は練習量でいうと中学のほうが多かったんです。高校では練習量が多くてきついと思ったことはあまりありません。 [caption id="attachment_147515" align="alignnone" width="800"]
菊田響生 PROFILE
◎きくた・きょう/2006年8月27日。神奈川県出身。田島中―法政二高。小学2年生から陸上を始める。小学生時代は100mやハードルなどを行っていた。中学校に入学すると100mや走幅跳に取り組んでいたが、中2の秋に始めた400mで記録を伸ばし、中3の全中ではB決勝2位。高校では1年生のインターハイ南関東大会400m予選で高1歴代3位の47秒53をマーク。決勝は5位に入り、インターハイに出場している。秋のU18大会では300mで5位に入り、全国大会初入賞を果たした。高2の昨年はインターハイ400m準決勝で高2歴代9位タイ(当時)の46秒91をマークすると、決勝は2位。秋は国体少年A300mハードルで5位、U18大会300mは優勝している。今季はU20日本選手権で400mと400mハードルを制覇。インターハイも両種目で2冠に輝いた。主な自己ベストは400m46秒52、400mH49秒77(高校歴代2位)、300m33秒47、300mH36秒03(高校歴代5位) [caption id="attachment_147516" align="alignnone" width="800"]
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