◇天皇賜盃第93回日本学生対校選手権(9月19日~22日/神奈川県・Uvanceとどろきスタジアムby Fujitsu)4日目
日本インカレの4日目が行われ、男子400mハードルは渕上翔太(早大)が48秒96で殊勲の1年生優勝を飾った。
驚きの記録ラッシュとなった前日の準決勝で、その口火を切ったのが2組の渕上。1996年に為末大が作り“不滅”と謳われたU20日本記録49秒09を28年ぶりに塗り替え、U20初の48秒台(48秒78)を突入を果たした。
続く3組で、1着の井之上駿太(法大)が東京世界選手権参加標準記録を突破する日本歴代7位・学生歴代5位の48秒46をマークし、2着の渡邊侑(日体大)も日本歴代8位・学生歴代6位の48秒51。
そして、3着の下田隼人(東洋大)が48秒59と、渕上が出したばかりのU20日本記録を更新するU20世界歴代9位。だが、これで渕上は「モチベーションが高まりました」と燃えた。
5台目までは14歩で6レーンから冷静にレースを進め、13歩で先行する7レーンの井之上の背中を追う。そして、15歩になる後半で徐々に追い上げると、最終ハードルで逆転。井之上を0.12秒差で抑え、学生ナンバーワンの座をつかみ取った。
「優勝は狙っていましたが、まさか本当にできるとは思っていなかったので、とてもビックリ。素直にうれしいです」と笑顔をのぞかせた渕上。好条件に恵まれた準決勝とは一転、ホームストレートが強い向かい風となる中でも再び48秒台に突入し、「今年中に出せるとも思っていなかったタイム。もう1回出せたことはとても自身になりました」。
東福岡高時代もU18大会300mハードル優勝など実績を残してきたが、「前半にすべてを懸けるようなレースで、インターハイ(2位)など勝ち切れないことが多かった」と言う。大学に入って「400mをトータルで考えて最後のところで勝負」するレースプランに変更した。
4月のU20アジア選手権では優勝。6月のU20日本選手権では5位にとどまり、「今季の一番のピークと捉えていた」U20世界選手権代表入りを逃して「悔しい思いがありました」。それでも、先輩たちと戦う日本インカレをモチベーションに「ここまで頑張ってきました」。
大きな飛躍を遂げた秋をステップに、今年果たせなかった「世界」への思いが膨らむ。「目先の目標は東京世界陸上があって、一番はロサンゼルス五輪。そこでメダルを取りたい」と渕上は、力強く語った。
2位の井之上は「準決勝のダメージが少なからずありました」と唇を噛む。ラストは「ついていける脚がなかった」と振り返り、秋の残りレースに「まずはさらに記録を縮めていきたい」と前を向いた。
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