2024.08.31
FOCUS! 高校生INTERVIEW
畠山このみ Hatakeyama Konomi
立命館慶祥高3北海道
注目の高校アスリートをフォーカスして紹介するコーナー!今回は福岡インターハイの女子400mと400mハードルで2冠に輝いた畠山このみ選手(立命館慶祥高3北海道)です。今年のインターハイは連日、厳しい暑さの中で行われましたが、その暑さも何のその。いずれも自己ベストで頂点に立ちました。あらためてその激戦を振り返りつつ、次への意気込みも見せています。
チームで勝ち取ったインターハイ2冠
――福岡インターハイは400mと400mハードルの2冠。あらためて振り返ってみてください。
畠山 北海道と環境が違ってすごく暑かったので、周りのサポートのありがたみをすごく感じました。そのサポートのお陰で勝てたと思います。シーズン前は全国大会で入賞を経験したのが私だけだったので、私がチームを引っ張らないといけないと思っていたのですが、私のほうが支えられました。私だけでなくチームで取った日本一だと感じています。
――サポートに対する感謝の気持ちは、優勝直後にも話されていました。具体的にはどんなことでしたか。
畠山 暑い中でレースが続いたので、気持ち良く走れるように体を冷やしてもらったり、日陰を作ってもらいました。あの暑さは自分一人では乗り切れないというか、戦い切れないぐらい暑かったです。
――本当に暑かったですよね。厳しい条件の中で400mは1日で3レース、400mハードルは2日間で3レースを走って、どちらも優勝しました。
畠山 全国大会はいつもすごく楽しめるんです。さすがに決勝は緊張しましたが、予選、準決勝は楽しく、温存しながらもしっかり走れていたので、決勝でも戦えるという自信はありました。
――しっかりタイムを上げて、決勝は2種目とも自己新(400m54秒89、400mH58秒23)でした。
畠山 インターハイに向けて、しっかり仕上げていたのもあると思います。福岡空港に着いた時は、あまりに暑くて「え、これで走るの」と感じました。モワッとしていて湿度もすごく、不安でしたが、調整練習を始めると身体の動きがすごく良かったです。
――体力を温存しつつ、どのようにラウンドを進めましたか。
畠山 例えば400mだったら、300mまではイメージ通りに自分の走りをして、残り100mからは周りの状況を見ながら走っていました。ただ、博多の森陸上競技場の大型ビジョンは第3コーナー、第4コーナー側にあるので、フィニッシュ付近では目視でしか状況を確認できない怖さはありました。
――初日に行われた400mは、今年から始めた種目です。
畠山 400mが速ければ、400mハードルも速くなるんじゃないかと、春から取り組み始めました。チャレンジャーという立場で臨んだぶん、気持ちは楽で、自分の走りができたと思います。
――400mでも優勝を意識していましたか。
畠山 上位は狙えると思っていました。でも、やっぱり本命は400mハードルだったので、次の日の400mハードルの予選につながる走りを意識していました。400mは全国大会の経験もなかったですし、同じ北海道地区にはインターハイで4位に入った菊地さん(妃華/旭川志峯3)などもいて、競るのは怖いと思っていました。決勝が9レーンで、周りを見ずにリラックスして走れたのが良かったのではないでしょうか。
――特に後半が強い印象があります。
畠山 インターハイは、予選、準決勝の300mまでの感覚がすごく良かったので、そこが(勝因として)大きかったと思います。決勝も300mまでは思い通りで、最後のカーブに入った時に誰もいなくて、結構ビックリしました。周りの選手の持ちタイムが良かったので並ばれることを想定したんですが、1人だったので。ラストの直線は「これは勝てるかな」と思いながら走りました。
――決勝では、初の54秒台となる54秒89をマークしました。
畠山 顧問の日裏徹也先生から「54秒台は出せる」と言われていたので、先生と約束したタイムが出せて良かったです。
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24年インターハイ女子400mに優勝した畠山選手
――優勝して、すぐに400mハードルに切り替えられましたか。それとも疲労感が残りましたか。
畠山 半々です。「400mハードルにしか出ていない選手とも戦わないといけない」と思いました。予選は58秒台のベスト記録を持つ田中美優さん(駒大3東京)と一緒の組で、田中さん(59秒05)に続く2着(59秒88)。自分より前で早く走っている姿を見て自信をなくしてしまいました。走りながら、「私は疲れているのもあるし、次の日の準決勝から切り替えようと」と言い聞かせていました。
――400mと違って予選と、準決勝・決勝が2日に分かれていたことが功を奏したようですね。
畠山 そうですね。でも、準決勝は一番脚が重くて走りが悪かったんです。それで結構気持ちが沈んでいたんですが、決勝前のウォーミングアップで軽く良い走りができたので、ようやく「勝負するか」という気持ちになれました。
――準決勝のハードル間の歩数は、3台目までは16歩、それ以降は17歩でしたが、決勝では5台目まで16歩で走っています。
畠山 以前から新しい歩数に挑戦したいと思っていましたが、U20日本選手権の決勝は土砂降りでできませんでした。新たな歩数は切り札みたいなところがあったので、条件がある程度整ったタイミングで通用するかどうか試してみたいと思っていました。当日は風が回っていたのと、400mで優勝したことが自信になっていたので、失速しても最後にまた追い上げられると思ってチャレンジしました。
――実際に挑戦していかがでしたか。
畠山 本当にうまくハマってくれました。条件に関わらず、これからも使えると思いました。
――歩数も短縮でき、理想にかなり近いレースができましたか。
畠山 歩数と走力は良くなってきたと思うんですが、ハードリングはまだ改善できると思いました。特に逆脚はかなり浮いてしまったので、タイムも落ちていたと思います。インターハイに向けては、どちらかというと歩数の調整に力を入れていて、ハードリングはドリルで多少修正しただけだったので、まだ改善していけばタイムも狙えると思います。
――悲願の日本一をつかみ取り、何を得ましたか。
畠山 日本一を狙って、それが達成できて本当にうれしかったのですが、それと同時に、これからも日本一を取り続けたいという思いになりました。
チームで勝ち取ったインターハイ2冠
――福岡インターハイは400mと400mハードルの2冠。あらためて振り返ってみてください。 畠山 北海道と環境が違ってすごく暑かったので、周りのサポートのありがたみをすごく感じました。そのサポートのお陰で勝てたと思います。シーズン前は全国大会で入賞を経験したのが私だけだったので、私がチームを引っ張らないといけないと思っていたのですが、私のほうが支えられました。私だけでなくチームで取った日本一だと感じています。 ――サポートに対する感謝の気持ちは、優勝直後にも話されていました。具体的にはどんなことでしたか。 畠山 暑い中でレースが続いたので、気持ち良く走れるように体を冷やしてもらったり、日陰を作ってもらいました。あの暑さは自分一人では乗り切れないというか、戦い切れないぐらい暑かったです。 ――本当に暑かったですよね。厳しい条件の中で400mは1日で3レース、400mハードルは2日間で3レースを走って、どちらも優勝しました。 畠山 全国大会はいつもすごく楽しめるんです。さすがに決勝は緊張しましたが、予選、準決勝は楽しく、温存しながらもしっかり走れていたので、決勝でも戦えるという自信はありました。 ――しっかりタイムを上げて、決勝は2種目とも自己新(400m54秒89、400mH58秒23)でした。 畠山 インターハイに向けて、しっかり仕上げていたのもあると思います。福岡空港に着いた時は、あまりに暑くて「え、これで走るの」と感じました。モワッとしていて湿度もすごく、不安でしたが、調整練習を始めると身体の動きがすごく良かったです。 ――体力を温存しつつ、どのようにラウンドを進めましたか。 畠山 例えば400mだったら、300mまではイメージ通りに自分の走りをして、残り100mからは周りの状況を見ながら走っていました。ただ、博多の森陸上競技場の大型ビジョンは第3コーナー、第4コーナー側にあるので、フィニッシュ付近では目視でしか状況を確認できない怖さはありました。 ――初日に行われた400mは、今年から始めた種目です。 畠山 400mが速ければ、400mハードルも速くなるんじゃないかと、春から取り組み始めました。チャレンジャーという立場で臨んだぶん、気持ちは楽で、自分の走りができたと思います。 ――400mでも優勝を意識していましたか。 畠山 上位は狙えると思っていました。でも、やっぱり本命は400mハードルだったので、次の日の400mハードルの予選につながる走りを意識していました。400mは全国大会の経験もなかったですし、同じ北海道地区にはインターハイで4位に入った菊地さん(妃華/旭川志峯3)などもいて、競るのは怖いと思っていました。決勝が9レーンで、周りを見ずにリラックスして走れたのが良かったのではないでしょうか。 ――特に後半が強い印象があります。 畠山 インターハイは、予選、準決勝の300mまでの感覚がすごく良かったので、そこが(勝因として)大きかったと思います。決勝も300mまでは思い通りで、最後のカーブに入った時に誰もいなくて、結構ビックリしました。周りの選手の持ちタイムが良かったので並ばれることを想定したんですが、1人だったので。ラストの直線は「これは勝てるかな」と思いながら走りました。 ――決勝では、初の54秒台となる54秒89をマークしました。 畠山 顧問の日裏徹也先生から「54秒台は出せる」と言われていたので、先生と約束したタイムが出せて良かったです。 [caption id="attachment_145665" align="alignnone" width="800"]
1年生は七種競技でインターハイ
――「日本一」は、いつから意識していましたか。 畠山 中学から陸上を始めましたが、中学時代はそこまで本気でやっていませんでした。でも、全国的に活躍する選手が集まる立命館慶祥高に入って、初めて全国大会に連れて行ってもらい、そのすごさを実感してからは日本一にあこがれるようになりました。 ――地元から離れた立命館慶祥高に入学した理由は。 畠山 中学では走幅跳と100mをしていたんですが、その時のライバルだった蓑口あい(3年)が立命館慶祥高に行くと聞いて、私も同じ高校で一緒に頑張ろうと思ったからです。 ――なぜ、ライバルと同じ学校にあえて行こうと考えたのですか。 畠山 一緒に練習したら、もっと強くなれるかなと思いました。種目は別々になってしまったんですが、一緒にインターハイに出られてうれしかったです。 ――1年時には七種競技でインターハイに出場しています。 畠山 走幅跳を続けようと思って入学したんですが、先輩たちにも強い人がたくさんいて、部内選考で落ちしまい、七種競技を勧められました。最初は不安や迷いもあったんですが、七種競技をやったおかげで400mハードルの適性を見出されたので、やって良かったです。 ――畠山さん自身も、400mハードルの適性は感じていましたか。 畠山 先輩に400mハードルをしている方がいたんですが、高校から始まる種目なので、こんな種目があるんだという感じでみていたので、自分がやるとはまったく思っていませんでした。中学までは100mしか走っていなかったので、こんなに走るんだって思いました。 ――インターハイに出場した七種競技からの転向に抵抗はなかったですか。 畠山 実は投てきがすごく下手で。砲丸投ややり投は、あまり自信を持っていないので、400mハードルのほうが全国で戦えるかなと思いました。 ――全国で戦えると感じた、その理由は。 畠山 1年生の冬季練習で走り込みをして、すごく体力がついたんです。それが自信につながりました。冬は外で練習ができないので、学校の廊下で練習するんですけど、その中でひたすらみんなで走り込みをしました。 ――しっかり基礎体力をつけてから400mハードルに移行したので、どんどん記録が伸びていったのではないですか。 畠山 2年の初戦から400mハードルに専念して、最初はすごく楽しかったです。でも、そのうち伸び悩みました。やっぱり歩数とか、縮めたいと思ってもすぐに縮められるものでもないので、うまくいかなくて大変でした。 ――逆脚もできないと歩数も縮められない種目ですからね。 畠山 そうなんです!そもそも逆脚を試合で入れたのは、昨年のインターハイからです。それまでは利き脚だけで跳んでいました。 ――昨年もインターハイで初めて逆脚にチャレンジしたんですか。 畠山 そうなんです(笑)。逆脚はずっと練習していたし、昨年は逆脚を使わないと戦えるレベルじゃないと思って、予選からやってみました。予想通りの出来ではなかったですが、インターハイ以降は逆脚を入れた歩数になりました。 ――昨年は地元開催のインターハイで準決勝まで進みました。どのような気持ちで挑んでいましたか。 畠山 上位に食い込めたらいいなと思っていましたが、そこまで本気で狙ってはいなかったです。 [caption id="attachment_145666" align="alignnone" width="800"]
畠山このみ PROFILE
◎はたけやま・このみ/2006年12月12日。北海道出身。釧路鳥取西中―立命館慶祥高。中学から陸上を始める。中学時代は全国大会の経験がなく、3年時は北海道大会で走幅跳3位が最高成績だった。高校進学後、1年時のインターハイ路線は七種競技に取り組み、道大会で2位に入り、徳島インターハイに出場している。2年時は100mハードルと400mハードルと4×400mリレーで北海道インターハイに出場し、400mハードルで準決勝進出。秋は300mハードルで台頭し、鹿児島国体少年Aで2位と健闘すると、U18大会では5位入賞を果たした。今季は400mと400mハードルでインターハイ2冠。この種目での2種目制覇は3年ぶりだった。主な自己ベストは400m54秒89(24年)、100mH14秒79(23年)、400mH58秒23(24年)、走幅跳5m35(22年)、七種競技3865点(22年)、300m39秒42(24年)、300mH42秒26(24年) [caption id="attachment_145664" align="alignnone" width="800"]
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