HOME 国内、日本代表、五輪
110mH村竹ラシッド「楽しかった」日本初決勝で5位の快挙「来年こそメダル」/パリ五輪
110mH村竹ラシッド「楽しかった」日本初決勝で5位の快挙「来年こそメダル」/パリ五輪

大型ビジョンで5位を確認して笑顔を見せた村竹ラシッド

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)8日目

パリ五輪・陸上競技8日目のイブニングセッションに行われた男子110mハードル決勝で、村竹ラシッド(JAL)が13秒21(-0.1)で5位入賞を果たした。この種目では日本人初のファイナル。トラックでの個人入賞は2000年シドニー大会の高岡寿成(10000m7位)以来、短距離となれば1964年東京五輪の依田郁子(80mハードル5位)以来の快挙だった。

「一番はもう、楽しかったです!」

そう満面の笑みを浮かべる。

プラス2番目で出場したため9レーンに入った村竹。「全身全霊」をかけた決勝。1台目でややぶつけたものの大きく崩れることはない。山崎一彦コーチが「ハードルに対して水平移動できる」技術と、磨いてきたパワーのためだと説明する。

さすがにグラント・ホロウェイ(米国)が抜け出し、メダル争いも熾烈に。途中、何度かハードルに接触し「中盤もバランスを崩した」と言うが、ラストはエンリケ・ロピス(スペイン)との競り合いとなり懸命に身体を投げ出す。「自分のレーンしか見えていないくらい集中していました」。5位という快挙に「中途半端な結果で、メダル争いに加われていたかもしれないと思うとかなり悔しさが残ります」と順位に満足感はなかった。

「誰よりも一番楽しんでやろう」

広告の下にコンテンツが続きます

選手紹介では、同じく漫画好きの鵜澤飛羽(筑波大)と前日に食事をした際にポーズを考え、“ジョジョ立ち”(『ジョジョの奇妙な冒険』)を披露。フィニッシュ後、悔しさを見せつつも、ともに戦ったライバルたちと健闘をたたえ合う姿は心の底から楽しそうに見えた。

3年前は日本選手権で不正スタートにより失格となり、東京五輪はスタンドから眺めていた。「長かったです。この舞台を目標にずっとトレーニングしてきました。待ち望んでいた舞台。メダルを取れるかもしれないと思えた。この3年間は無駄じゃなかった」。その間、ケガをはじめ逆境もあったが、「苦い思い出もありますが、全部含めて経験し良かった」と胸を張る。

この舞台に立ったからこそ、改めて感じたメダル、そして世界との距離とは。

「もっと中盤からの持ち味を磨いて、安定して出せるように。自分のレーススタイルも日本ならできても、世界の舞台だと難しい。海外の経験もまだ足りないと思います」

パリ五輪では金メダリストだけが許された『勝利の鐘』をならす儀式。ホロウェイが鐘を鳴らすところを一番近くで聞いていた。「うらやましいなって」。この後は「海外転戦もしていきたい」と言い、世界の強豪と日常的に争う日々を思い浮かべる。

千葉・松戸国際高時代には腰椎分離症の苦しさを乗り越えてインターハイに優勝。その時の恩師、そして母はこの日、スタンドから見守った。中学でも、高校でも陸上を辞めるつもりだったのが、いつの間にかハードルの魅力に取り憑かれ、世界の頂に立ちたいと思うようになった。目の前のハードルを、一つひとつ越えてきたからこそ、この舞台に立った。

「まだまだ強くなれそうだなって思いました。ゴールして結果を見てすぐに、来年こそ絶対にメダルを取ってやると思えました。逆襲したいです」

来年の東京世界選手権でのメダルを力強く宣言した村竹。次はどんな高いハードルを飛び越えていくのだろうか。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)8日目 パリ五輪・陸上競技8日目のイブニングセッションに行われた男子110mハードル決勝で、村竹ラシッド(JAL)が13秒21(-0.1)で5位入賞を果たした。この種目では日本人初のファイナル。トラックでの個人入賞は2000年シドニー大会の高岡寿成(10000m7位)以来、短距離となれば1964年東京五輪の依田郁子(80mハードル5位)以来の快挙だった。 「一番はもう、楽しかったです!」 そう満面の笑みを浮かべる。 プラス2番目で出場したため9レーンに入った村竹。「全身全霊」をかけた決勝。1台目でややぶつけたものの大きく崩れることはない。山崎一彦コーチが「ハードルに対して水平移動できる」技術と、磨いてきたパワーのためだと説明する。 さすがにグラント・ホロウェイ(米国)が抜け出し、メダル争いも熾烈に。途中、何度かハードルに接触し「中盤もバランスを崩した」と言うが、ラストはエンリケ・ロピス(スペイン)との競り合いとなり懸命に身体を投げ出す。「自分のレーンしか見えていないくらい集中していました」。5位という快挙に「中途半端な結果で、メダル争いに加われていたかもしれないと思うとかなり悔しさが残ります」と順位に満足感はなかった。 「誰よりも一番楽しんでやろう」 選手紹介では、同じく漫画好きの鵜澤飛羽(筑波大)と前日に食事をした際にポーズを考え、“ジョジョ立ち”(『ジョジョの奇妙な冒険』)を披露。フィニッシュ後、悔しさを見せつつも、ともに戦ったライバルたちと健闘をたたえ合う姿は心の底から楽しそうに見えた。 3年前は日本選手権で不正スタートにより失格となり、東京五輪はスタンドから眺めていた。「長かったです。この舞台を目標にずっとトレーニングしてきました。待ち望んでいた舞台。メダルを取れるかもしれないと思えた。この3年間は無駄じゃなかった」。その間、ケガをはじめ逆境もあったが、「苦い思い出もありますが、全部含めて経験し良かった」と胸を張る。 この舞台に立ったからこそ、改めて感じたメダル、そして世界との距離とは。 「もっと中盤からの持ち味を磨いて、安定して出せるように。自分のレーススタイルも日本ならできても、世界の舞台だと難しい。海外の経験もまだ足りないと思います」 パリ五輪では金メダリストだけが許された『勝利の鐘』をならす儀式。ホロウェイが鐘を鳴らすところを一番近くで聞いていた。「うらやましいなって」。この後は「海外転戦もしていきたい」と言い、世界の強豪と日常的に争う日々を思い浮かべる。 千葉・松戸国際高時代には腰椎分離症の苦しさを乗り越えてインターハイに優勝。その時の恩師、そして母はこの日、スタンドから見守った。中学でも、高校でも陸上を辞めるつもりだったのが、いつの間にかハードルの魅力に取り憑かれ、世界の頂に立ちたいと思うようになった。目の前のハードルを、一つひとつ越えてきたからこそ、この舞台に立った。 「まだまだ強くなれそうだなって思いました。ゴールして結果を見てすぐに、来年こそ絶対にメダルを取ってやると思えました。逆襲したいです」 来年の東京世界選手権でのメダルを力強く宣言した村竹。次はどんな高いハードルを飛び越えていくのだろうか。

【動画】村竹ラシッド5位!初のファイナルで快挙!

https://youtu.be/poGb_tRDshk?si=CyYMVXlKOqvKBwBp

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.01.18

都道府県男子駅伝オーダー発表!3区に塩尻和也と鶴川正也 7区は鈴木健吾、黒田朝日 4連覇狙う長野は3区吉岡大翔

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝前日の1月18日、オーダーリストが発表された。 エントリーされていた2人の日本記 […]

NEWS 西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

2025.01.17

西脇多可新人高校駅伝の出場校決定!男子は佐久長聖、大牟田、九州学院、洛南 女子は長野東、薫英女学院など有力校が登録

1月17日、西脇多可新人高校駅伝の実行委員会が、2月16日に行われる第17回大会の出場チームを発表した。 西脇多可新人高校駅伝は、兵庫県西脇市から多可町を結ぶ「北はりま田園ハーフマラソンコース(21.0795km)」で行 […]

NEWS 編集部コラム「年末年始の風物詩」

2025.01.17

編集部コラム「年末年始の風物詩」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

2025.01.17

中・高校生充実の長野“4連覇”なるか 実力者ぞろいの熊本や千葉、岡山、京都、福岡も注目/都道府県男子駅伝

◇天皇盃第30回全国都道府県対抗男子駅伝(1月19日/広島・平和記念公園前発着:7区間48.0km) 中学生から高校生、社会人・大学生のランナーがふるさとのチームでタスキをつなぐ全国都道府県男子駅伝が1月19日に行われる […]

NEWS 栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

2025.01.17

栁田大輝、坂井隆一郎らが日本選手権室内出場キャンセル 日本室内大阪はスタートリスト発表

日本陸連は2月1日から2日に行われる、日本選手権室内のエントリー状況と、併催の日本室内大阪のスタートリストを発表した。 日本選手権室内では12月にエントリーが発表されていた選手のうち、男子60mに出場予定だったパリ五輪代 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年2月号 (1月14日発売)

2025年2月号 (1月14日発売)

駅伝総特集!
箱根駅伝
ニューイヤー駅伝
高校駅伝、中学駅伝
富士山女子駅伝

page top