2024.08.08
◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)7日目
パリ五輪・陸上競技7日目のイブニングセッションが行われ、男子400mはクインシー・ホール(米国)が世界歴代4位となる43秒40で金メダルを獲得した。
前回の東京大会金メダルのスティーブン・ガーディナー(バハマ)が今大会を棄権。昨年のブダペスト世界選手権優勝のアントニオ・ワトソン(ジャマイカ)は選考会で敗れるなど、実力者が次々と脱落する様相となった男子400m。
ニューフェイスの登場が期待されるなか、26歳のスプリンターが世界一へと駆け上がった。
ホールは昨年の世界選手権では銅メダル。今季は全米五輪選考会で22年世界チャンピオンのマイケル・ノーマンらを抑えて44秒21の自己新で優勝を飾り、パリ五輪直前のダイヤモンドリーグ・モナコで自身初の43秒台をマークして、優勝候補の一角として乗り込んでいた。
予選、準決勝ともに1着通過。決勝では外側の8レーンに入り、ノーマンや世界選手権2大会連続メダルのマシュー・ハドソン・スミス(英国)、31歳のベテランで12年ロンドン五輪金のキラニ・ジェームス(グレナダ)などと対峙することになった。
前半はジェームスや200mも得意とするジェリーム・リチャーズ(トリニダード
・トバゴ)がリードするなか、ホールは6番手で通過。バックストレートではハドソン・スミスが順位を上げてレースを進める。200mを21秒00と依然6番手の通過したホールは、トップのリチャーズとは0.5秒の差を付けられており、後半を得意とするといえど、逆転は難しいかと思われた。
だが、この日のために「一生懸命努力をしてきた。諦めず、ただ粘り強く努力してきた」というホールは驚異的な追い上げを見せる。
残り100m地点で4位に浮上し、さらに10mほど前にいるハドソン・スミスを猛追。ラスト50m地点でもその差はまだ5~6mほどの差が残っていたが、フィニッシュ前でついにハドソン・スミスを逆転した。
タイムの43秒40は自己記録を0.40秒も短縮する大幅自己新。2位のハドソン・スミスも43秒44の世界歴代5位ならびに欧州新記録を樹立したほか、3位ムザラ・サムコンガ(ザンビア)が43秒74、4位リチャーズが43秒78、5位ジェームスが43秒87と上位5位までが43秒台というハイレベルな戦いとなった。
元々は400mハードルで全米学生選手権を制するなど、ハードラーとして活躍したホール。400mハードルでは48秒10のベスト記録を保持していたものの、23年頃からスプリント力に磨きを掛けて400mに専念しはじめた。昨年は世界選手権で44秒37と一躍世界のトップへとのし上がった。
この種目で米国勢が優勝するのは2008年北京大会のラショーン・メリット以来、4大会ぶり。王国にタイトルを取り戻したホールは「みんなに今年は金メダルを取ると言ってきた。ここには勝つために来て、今日それを確信できた」と自信たっぷりに答えた。
【動画】大逆転!終盤猛追のホールが金メダル!男子400mをチェック!
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.03.25
-
2025.03.25
-
2025.03.25
2025.03.23
女子は長野東が7年ぶりの地元V アンカー・田畑陽菜が薫英女学院を逆転/春の高校伊那駅伝
-
2025.03.19
-
2025.03.19
2025.03.02
初挑戦の青学大・太田蒼生は途中棄権 果敢に先頭集団に挑戦/東京マラソン
2025.03.02
太田蒼生は低体温症と低血糖で途中棄権 「世界のレベルを知れて良い経験」/東京マラソン
-
2025.03.23
-
2025.03.19
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.03.25
100mH福部真子「引退しないといけないのかな…」菊池病の公表に葛藤も「あとで後悔したくない」元気な姿アピール
女子100mハードル日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)がインタビューに応じ、昨年末に公表した「菊池病」と発覚した時の状況や、今の調子、復帰に向けた思いを聞いた。 「元気です!見てもらった通り!」。オンラインで画面越 […]
2025.03.25
大阪に約270人の高校生アスリートが集結! 「切磋琢磨していきたい」 3泊4日の全国高体連合宿スタート
2024年度の日本陸連U-19強化研修合宿・全国高体連陸上競技専門部強化合宿が3月25日、大阪・ヤンマースタジアム長居で始まった。全国から選手約270人が参加し、20度を超える汗ばむ陽気の中で打ち解けながら練習に取り組ん […]
2025.03.25
HOKAが「CLIFTON 10」発売に先駆けてイベント 鎧坂哲哉「クッション性とフィット感が良い」
デッカーズジャパンは3月25日、パフォーマンスフットウェア&アパレルブランド「HOKA」の人気シリーズの新作シューズ「CLIFTON 10(クリフトン 10)」の発売に先駆けてメディア向けの商品説明会・トークセッションを […]
2025.03.25
富士通加入の平林樹「世界一になる」鈴木康也は「マラソンで世界へ」
富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 城西大の主将を務めた平林は「こう […]
2025.03.25
400mH山本亜美が富士通へ「より一層の覚悟持って」目指すはロス五輪
富士通が3月25日、2025年度新加入選手の合同取材会見を開き、男子長距離の篠原倖太朗(駒大)、平林樹(城西大)、鈴木康也(麗澤大)、女子400mハードルの山本亜美(立命大)が登壇した。 23年ブダペスト世界選手権代表の […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
別冊付録 2024記録年鑑
山西 世界新!
大阪、東京、名古屋ウィメンズマラソン詳報