◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)7日目
パリ五輪・陸上競技の7日目のモーニングセッションに女子やり投予選が行われ、北口榛花(JAL)が1回目に62m58をスロー。一発で予選通過記録の62m00をクリアし、全体7番目で2大会連続の決勝進出を決めた。
1投目からしっかり予選通過を決めた北口。スタンドに向かってガッツポーズを作り、ディヴィッド・セケラック・コーチとハイタッチして抱擁した。「いつも通り全然練習で飛ばなくて焦った部分はありましたが、それなりに飛んだのでホッとしました」と振り返る。
2度目の五輪。前回はコロナ禍で無観客だったが、パリ五輪は連日朝からスタンドは満員で「朝からこんなにお客さんがいるのにすごく驚きますし、エネルギーをもらって試合ができて幸せです」と噛み締めていた。
今季はウエイトトレーニングなどの影響で身体が「硬直して動かない」時期があるなど、こだわっている柔軟性や姿勢が崩れてコンディション作りに苦労してきた。五輪前最後の試合だったダイヤモンドリーグ(DL)ロンドンでも初めて3位を逃す4位。だが、そこからのケアやトレーニングを見直し、「動く状態にはなっています」。あとは「もう少し締めたいので、希望をトレーナーさんに伝えて2日間過ごしたい」とさらに状態を上げるつもりだ。
ブダペスト世界選手権女王として臨む今大会で狙うのはメダル。予選全体では7番目で、上位には世界歴代3位の71m40を持つM.アンドレイチク(ポーランド)やブダペスト世界選手権銀のF.D.ルイス・フルタド(コロンビア)、マッケンジー・リトル(豪州)らがおり、それぞれシーズンベストなど調子を合わせ「やっぱり歴代の世界大会のメダリストが合わせてきた」と、強力なライバルとなると実感している。
2日前に選手村に入る前からチェコではテレビで五輪を観戦。幼い頃からスポーツが身近にあり、どんなスポーツを見るのも大好き。輝くアスリートを見て、「どんな形でもいいからオリンピックにかかわりたい」と自然と夢を抱いていた。
日本中、世界中の注目が集まるオリンピックの決勝。北口もまた、夢を与える側になる。
「決勝でちゃんと勝負ができるように。もっと力が出せるようにして、今年のベストは出したい。出し切って終わりたい」
涙に暮れた東京五輪から3年。2日後、勝負の決勝が始まる。「金メダルがいいけど、そんな簡単じゃない」。険しい道は臨むところ。花の都の夜空にビッグスローを放つ準備が整った。
女子やり投決勝は日本時間の8月10日、深夜2時40分に行われる。
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