HOME 海外、五輪

2024.08.06

パリの夜空に舞ったデュプランティス 男子棒高跳6m25の世界新!「最大の夢を叶えられた」/パリ五輪
パリの夜空に舞ったデュプランティス 男子棒高跳6m25の世界新!「最大の夢を叶えられた」/パリ五輪

6m25の世界新で男子棒高跳を制したデュプランティス

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)5日目

パリ五輪・陸上競技の5日目イブニングセッションが行われ、男子棒高跳ではアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6m25の世界新記録で優勝を飾った。

7万7000人の観客の視線が注がれるなか、デュプランティスの身体が鮮やかにバーを越えた。

各種目で熱戦が繰り広げられるパリ五輪だが、「誰が勝つか」ということよりも、「世界新記録が出るか」という1点だけに関心が集まったのは男子棒高跳だけだろう。

勝負としては6m00をデュプランティスだけが跳び、早々に金メダルが確定。あとは、その“瞬間”が訪れるかどうか。女子800mなどトラック種目がすべて終了し、舞台はデュプランティスだけのものとなった。

棒高跳選手だった父の影響で3歳からポールを持ち、15歳でU18世界選手権を制した。年代別記録を次々と更新し、19年の世界選手権で銀メダル。20年には6m17の世界新記録も樹立した。

広告の下にコンテンツが続きます

前回の東京大会では6m02でシニア初の世界大会金メダルを獲得。その後は22年、23年世界選手権を連覇。1cmずつ更新してきた世界記録は今年4月に6m24まで引き上げてきた。

2020年以降の4年半で80試合を戦い、負けたのはわずかに4試合。勝つことよりも試合に負けた時のほうが大きなニュースとなる。他の選手が試技を終えた後に飛び始め、優勝を決めたあとに世界記録に挑戦する。そんな光景が幾度となく繰り返されている。

世界の主要大会の金メダルはすべて獲得。世界記録も8度更新してきたデュプランティスだが、まだ成し遂げていないことが1つだけ残っていた。

「子どもの頃からの夢は、棒高跳選手にとって最大の舞台であるオリンピックで世界記録を更新することだった」

前回の東京大会では無観客のスタジアムで当時の世界記録である6m19に挑戦したが、成功することはできていなかった。

今回のデュプランティスは6m00を跳んだあと、五輪新記録となる6m10も軽々とクリア。そして、バーは6m25へ。1回目は頂点が合わず失敗。その後、男子100mの表彰式が行われ、仕切り直しとなった2回目は助走のスピードが乗り切らず、高さを得られなかった。

そして迎えた3回目。「できるだけ頭を空っぽにしようとした」というなか、観客の手拍子を求めると、力強い踏み切りから放たれた身体は見事な放物線を描く。

バーを越えた瞬間、会場のスタッド・ド・フランスは地響きのような歓声に包まれ、デュプランティスも歓喜の声を上げると、マットから飛び上がり家族と恋人の腕の中に飛び込んだ。

「完璧な準備をして臨んできたし、自信もあった。そして、これまで競技した中で最も熱狂的な観客の前でそれを達成することができた」と興奮気味に語ったデュプランティス。記者会見では「どこまで上を目指せるか」という問いに対し、「まだいけると思う。でも、今はそれよりも、家族や彼女とこの幸せを分かち合いたい。今日は盛大なパーティーになるだろうね」と笑って答えた。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)5日目 パリ五輪・陸上競技の5日目イブニングセッションが行われ、男子棒高跳ではアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)が6m25の世界新記録で優勝を飾った。 7万7000人の観客の視線が注がれるなか、デュプランティスの身体が鮮やかにバーを越えた。 各種目で熱戦が繰り広げられるパリ五輪だが、「誰が勝つか」ということよりも、「世界新記録が出るか」という1点だけに関心が集まったのは男子棒高跳だけだろう。 勝負としては6m00をデュプランティスだけが跳び、早々に金メダルが確定。あとは、その“瞬間”が訪れるかどうか。女子800mなどトラック種目がすべて終了し、舞台はデュプランティスだけのものとなった。 棒高跳選手だった父の影響で3歳からポールを持ち、15歳でU18世界選手権を制した。年代別記録を次々と更新し、19年の世界選手権で銀メダル。20年には6m17の世界新記録も樹立した。 前回の東京大会では6m02でシニア初の世界大会金メダルを獲得。その後は22年、23年世界選手権を連覇。1cmずつ更新してきた世界記録は今年4月に6m24まで引き上げてきた。 2020年以降の4年半で80試合を戦い、負けたのはわずかに4試合。勝つことよりも試合に負けた時のほうが大きなニュースとなる。他の選手が試技を終えた後に飛び始め、優勝を決めたあとに世界記録に挑戦する。そんな光景が幾度となく繰り返されている。 世界の主要大会の金メダルはすべて獲得。世界記録も8度更新してきたデュプランティスだが、まだ成し遂げていないことが1つだけ残っていた。 「子どもの頃からの夢は、棒高跳選手にとって最大の舞台であるオリンピックで世界記録を更新することだった」 前回の東京大会では無観客のスタジアムで当時の世界記録である6m19に挑戦したが、成功することはできていなかった。 今回のデュプランティスは6m00を跳んだあと、五輪新記録となる6m10も軽々とクリア。そして、バーは6m25へ。1回目は頂点が合わず失敗。その後、男子100mの表彰式が行われ、仕切り直しとなった2回目は助走のスピードが乗り切らず、高さを得られなかった。 そして迎えた3回目。「できるだけ頭を空っぽにしようとした」というなか、観客の手拍子を求めると、力強い踏み切りから放たれた身体は見事な放物線を描く。 バーを越えた瞬間、会場のスタッド・ド・フランスは地響きのような歓声に包まれ、デュプランティスも歓喜の声を上げると、マットから飛び上がり家族と恋人の腕の中に飛び込んだ。 「完璧な準備をして臨んできたし、自信もあった。そして、これまで競技した中で最も熱狂的な観客の前でそれを達成することができた」と興奮気味に語ったデュプランティス。記者会見では「どこまで上を目指せるか」という問いに対し、「まだいけると思う。でも、今はそれよりも、家族や彼女とこの幸せを分かち合いたい。今日は盛大なパーティーになるだろうね」と笑って答えた。

【動画】6m25の世界新! デュプランティスが五輪で偉業達成

次ページ:

ページ: 1 2

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.04.15

Athlete of The Year賞に北口榛花を選出! 2024年度「実業団陸上of The Year」発表

日本実業団陸上競技連合は4月15日、2024年度「実業団陸上of The Year 表彰」の受賞者・受賞チームをホームページで発表し、個人賞のAthlete of The Year賞に8月のパリ五輪女子やり投で、マラソン […]

NEWS 神戸マラソンがMGCシリーズ加盟 愛知アジア大会、ロス五輪代表の選考へつながるレースに

2025.04.15

神戸マラソンがMGCシリーズ加盟 愛知アジア大会、ロス五輪代表の選考へつながるレースに

日本陸連は4月15日、「神戸マラソン2025」がMGCシリーズ2025-26に加盟したと発表した。 MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)シリーズは、前身のJMCシリーズを継承したもので、ポイントにより年間王者を決 […]

NEWS 100mH寺田明日香「今季限りで一線を退く」東京世界陸上目指してラストスパート「引退」は使わず

2025.04.15

100mH寺田明日香「今季限りで一線を退く」東京世界陸上目指してラストスパート「引退」は使わず

女子100mハードル元日本記録保持者の寺田明日香(ジャパンクリエイト)が都内で会見を開き、今季限りでの第一線を退く意向を表明した。 冒頭のキャリアを振り返るVTRが流れると、登壇早々から涙を浮かべた寺田。一線を退く意向を […]

NEWS コモディイイダ・高橋舞衣が退職 2月の愛媛マラソンで骨折 「この決断が後に良かったと思えることを信じて」

2025.04.15

コモディイイダ・高橋舞衣が退職 2月の愛媛マラソンで骨折 「この決断が後に良かったと思えることを信じて」

コモディイイダはは4月15日付で、高橋舞衣が退職すると発表した。2月の愛媛マラソンで骨折し、今後は地元の愛媛で治療とリハビリに専念するという。 高橋は愛媛・今治北高では主要な全国大会への出場はなかったが、松山大では1年時 […]

NEWS 東海大が陸上競技場に電子ペーサーを常設! トラック内側に4色点滅のLED325個を配置

2025.04.14

東海大が陸上競技場に電子ペーサーを常設! トラック内側に4色点滅のLED325個を配置

東海大陸上部と工学部は4月14日、東海大湘南キャンパス内陸上競技場にLEDライトをトラックの縁に置いてペース設定に合わせて光る「電子ペーサー」を3月から常設したと発表した。国内メーカーによる開発と、陸上競技場への常設は国 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top