HOME 国内、大学

2024.07.21

篠原倖太朗5000m自己ベストも冷静さを崩さず 駒大主将として秋以降のチーム巻き返しを誓う/ホクレンDC千歳
篠原倖太朗5000m自己ベストも冷静さを崩さず 駒大主将として秋以降のチーム巻き返しを誓う/ホクレンDC千歳

24年ホクレンDC千歳大会に出場した篠原倖太朗(中央)

ホクレン・ディスタンスチャレンジ2024(以下、ホクレンDC)の第5戦(最終戦)千歳大会が7月20日、千歳市青葉陸上競技場で開催された。

最終種目となった男子5000mには、パリ五輪3000m障害日本代表の青木涼真(Honda)や東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)、相澤晃(旭化成)、この種目で2度世界選手権に出場している遠藤日向(住友電工)といったトップランナーが集結した(青木は当初の予定通り3000mで棄権)。彼ら猛者たちを相手に、冷静なレース運びで日本人トップでフィニッシュしたのは、大学生の篠原倖太朗(駒大)だった。

スタート直後に勢いよくペースメーカーのすぐ後ろについた溜池一太(中大)とは対照的に、篠原は真ん中よりも後方でレースを進めた。

3000mは先頭から約5秒遅れの8分06秒で通過。しかし、ここからの篠原が強かった。ジワジワとポジションを上げていき、残り400mで溜池をかわすと、ラスト1周(400m)を58秒でカバー。フィニッシュ直前には西川雄一朗(住友電工)を抜き、日本人トップの4位で走り切った。

最後は、13分30秒に設定された白色のペーシングライトよりも前でフィニッシュ。これまでの自己記録を6秒も更新する13分27秒04をマークした。

「今までのタイムはなかったことにしたいぐらい。ずっと(13分30秒台の)安定期に入っていて、いつかは爆発するだろうと思っていたんですけど……。“爆発”というにはちょっと足りない。もうちょっとですね。(13分30秒を切る自己記録は)通過点にしないといけないと思っているので、ここからしっかりと上げていけるように頑張ります」。レース運び同様に、篠原は自己ベスト更新をも冷静に受け止めていた。

今季は、5月上旬の日本選手権10000mで6位に入ったあと、5000mを走ってきた。

6月上旬のNITTAIDAI Challenge Gamesでは、13分33秒13の自己新をマークしたが、序盤がスローの展開になったことが災いし、日本選手権の出場権を逃した。

7月10日のホクレンDC網走大会では積極的にレースを進め、日本人トップの6位に入ったが、記録は13分35秒33とまたも13分30秒切りを果たせなかった。

「体調によっても違いますし、やってきた練習によっても違うのに、自分がちゃんと押し切れるペースというのをわかっていなかったです」と反省点を上げる。

だが、今回はきちっと修正してみせた。「その日その日の体調に合わせてしっかり上げていくことが、ちょっとずつですけどできるようなったかなと思います」と、わずかの期間での自身の成長を感じ取っていた。

今季の前半戦、チームは苦戦する場面が目立った。だからこそ、これからは主将として務めなければいけない役目がある。

「夏合宿は、自分のことだけではなくてチームのことをやらないといけない。足りない部分は自分一人でやればいいので、チームを第一に考えて、チームを引っ張っていきたい。個人的にもしっかり結果を出していかないと、チームも付いてこないと思うので、両方をおろそかにしないようにやっていけたらと思います」

大八木弘明総監督が指導するGgoatに参加する選択肢もあったが、篠原は駒大のチームメイトとともにこの夏を過ごすことを決断。秋以降の巻き返しを誓う。
文・撮影/和田悟志

ホクレン・ディスタンスチャレンジ2024(以下、ホクレンDC)の第5戦(最終戦)千歳大会が7月20日、千歳市青葉陸上競技場で開催された。 最終種目となった男子5000mには、パリ五輪3000m障害日本代表の青木涼真(Honda)や東京五輪5000m代表の坂東悠汰(富士通)、相澤晃(旭化成)、この種目で2度世界選手権に出場している遠藤日向(住友電工)といったトップランナーが集結した(青木は当初の予定通り3000mで棄権)。彼ら猛者たちを相手に、冷静なレース運びで日本人トップでフィニッシュしたのは、大学生の篠原倖太朗(駒大)だった。 スタート直後に勢いよくペースメーカーのすぐ後ろについた溜池一太(中大)とは対照的に、篠原は真ん中よりも後方でレースを進めた。 3000mは先頭から約5秒遅れの8分06秒で通過。しかし、ここからの篠原が強かった。ジワジワとポジションを上げていき、残り400mで溜池をかわすと、ラスト1周(400m)を58秒でカバー。フィニッシュ直前には西川雄一朗(住友電工)を抜き、日本人トップの4位で走り切った。 最後は、13分30秒に設定された白色のペーシングライトよりも前でフィニッシュ。これまでの自己記録を6秒も更新する13分27秒04をマークした。 「今までのタイムはなかったことにしたいぐらい。ずっと(13分30秒台の)安定期に入っていて、いつかは爆発するだろうと思っていたんですけど……。“爆発”というにはちょっと足りない。もうちょっとですね。(13分30秒を切る自己記録は)通過点にしないといけないと思っているので、ここからしっかりと上げていけるように頑張ります」。レース運び同様に、篠原は自己ベスト更新をも冷静に受け止めていた。 今季は、5月上旬の日本選手権10000mで6位に入ったあと、5000mを走ってきた。 6月上旬のNITTAIDAI Challenge Gamesでは、13分33秒13の自己新をマークしたが、序盤がスローの展開になったことが災いし、日本選手権の出場権を逃した。 7月10日のホクレンDC網走大会では積極的にレースを進め、日本人トップの6位に入ったが、記録は13分35秒33とまたも13分30秒切りを果たせなかった。 「体調によっても違いますし、やってきた練習によっても違うのに、自分がちゃんと押し切れるペースというのをわかっていなかったです」と反省点を上げる。 だが、今回はきちっと修正してみせた。「その日その日の体調に合わせてしっかり上げていくことが、ちょっとずつですけどできるようなったかなと思います」と、わずかの期間での自身の成長を感じ取っていた。 今季の前半戦、チームは苦戦する場面が目立った。だからこそ、これからは主将として務めなければいけない役目がある。 「夏合宿は、自分のことだけではなくてチームのことをやらないといけない。足りない部分は自分一人でやればいいので、チームを第一に考えて、チームを引っ張っていきたい。個人的にもしっかり結果を出していかないと、チームも付いてこないと思うので、両方をおろそかにしないようにやっていけたらと思います」 大八木弘明総監督が指導するGgoatに参加する選択肢もあったが、篠原は駒大のチームメイトとともにこの夏を過ごすことを決断。秋以降の巻き返しを誓う。 文・撮影/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.09.07

順大・澤木啓祐氏が名誉総監督を退任 本人の申し出を受け

9月6日、順天堂大学スポーツ健康科学部はホームページに「順天堂大学陸上競技部に関する報道について」と題したリリースを公開。同大学陸上部名誉総監督の澤木啓祐氏が退任することが発表された。 この件は、一部報道で同大学陸上部指 […]

NEWS ヤマダホールディングスが10月のプリンセス駅伝欠場を発表

2024.09.06

ヤマダホールディングスが10月のプリンセス駅伝欠場を発表

9月6日、ヤマダホールディングスは10月20日に開催予定の第10回全⽇本実業団対抗⼥⼦駅伝予選会(プリンセス駅伝)を欠場することを発表した。 チームは11月の全⽇本実業団対抗⼥⼦駅伝(クイーンズ駅伝)での上位入賞を目標に […]

NEWS チェベトが女子5000mで14分09秒52 男子1500mはヌグセがインゲブリグトセンを抑える/DLチューリヒ

2024.09.06

チェベトが女子5000mで14分09秒52 男子1500mはヌグセがインゲブリグトセンを抑える/DLチューリヒ

9月5日、ダイヤモンドリーグ(DL)第13戦のヴェルトクラッセ・チューリッヒがスイス・チューリヒで開催され、女子5000mでは、パリ五輪金メダルのB.チェベト(ケニア)が今季世界最高、パフォーマンス世界歴代7位の14分0 […]

NEWS 田中希実25歳初レース5000m14分49秒95で東京世界陸上の標準突破!!やり投・ディーン3位で初ファイナルへ/DLチューリヒ

2024.09.06

田中希実25歳初レース5000m14分49秒95で東京世界陸上の標準突破!!やり投・ディーン3位で初ファイナルへ/DLチューリヒ

世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)シリーズ最終戦となる第14戦・チューリヒ大会(スイス)が9月6日に行われ、女子5000mの田中希実(New Balance)が14分49秒95で7位に入った。この記録で、来年の東京世 […]

NEWS 女子マラソン・ウガンダ代表のチェプテゲイが死去 五輪から1ヵ月経たぬうちの惨劇に悲しみ広がる

2024.09.05

女子マラソン・ウガンダ代表のチェプテゲイが死去 五輪から1ヵ月経たぬうちの惨劇に悲しみ広がる

ウガンダのオリンピック委員会(UOC)は9月4日、パリ五輪女子マラソン代表のレベッカ・チェプテゲイが死去したことを発表した。 チェプテゲイは9月2日、トレーニング先のケニアにおいて交際相手の男と口論となった末に、男からガ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年9月号 (8月9日発売)

2024年9月号 (8月9日発売)

速報 パリ五輪
大盛況 福岡IH
久保凛 日本新特集!

page top