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2024.07.20

編集部コラム「8レーンはシードレーン?」

★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第250回「8レーンはシードレーン?(井上 敦)


7月も半ば。関東では梅雨明けとともに、暑さが一気に厳しくなりました。

今月下旬から8月中旬まで、福岡インターハイ、パリ五輪、福井全中と国内外で大きな大会が続きます。

選手のみなさん、競技役員のみなさん、補助役員のみなさん、運営ボランティアのみなさん、応援に行くみなさん、暑さに負けずがんばってください。テレビやインターネットのライブ配信で視聴される方、涼しい環境で観戦しましょう。

梅雨明けして暑さが厳しくなるということは、屋外シーズンの前半戦が一部を除いてほぼ終了です。そういえば、取材先の高校競技会で、こんな声を聞きました。

「前のラウンドは1着通過だったのに、次のラウンドは8レーンだった」

うん?

それも、1回だけではなく、何度も聞いたような……。注意深くレースを見ていくと、大会の優勝候補、上位候補とされる選手が準決勝や決勝で8レーンにいることが以前よりも多い。その前のラウンドで苦戦したのかなと調べると、順当の1着通過。

その競技場は9レーントラックで、8レーンはシードレーンではなかったはずです。9レーントラックのシードは4~7レーンだったはず、と。

そこで2024年版のルールブックを開いてみると、こんな記載がありました。

「8レーンのトラックの場合、三つのグループに分けて抽選を行う。8レーン未満の場合、または9レーン以上の場合は、次の考え方を原則とし、必要な変更を加えて適用する。」

●TR20.4.3 直線種目(100m・100mH・110mH等)
上位グループ→3・4・5・6レーン
中位グループ→2・7レーン
下位グループ→1・8レーン

●TR20.4.4 200m競走
上位グループ→5・6・7レーン
中位グループ→3・4・8レーン
下位グループ→1・2レーン

●TR20.4.5 400m競走・スタート時にレーンを使用する800m競走・4×400mRまでのリレー競走
上位グループ→4・5・6・7レーン
中位グループ→3・8レーン
下位グループ→1・2レーン

●〔国内〕TR20.4.3~20.4.5の考え方に加え、以下の考え方を適用しても良い。
上位グループ→3・4・5・6レーン
中位グループ→7・8レーン
下位グループ→1・2レーン

となっています。ちなみに2023年版ルールブックでは、100mから800mまで、また4×400mまでのリレー種目共通で、

a.上位グループ4名(または4チーム)を3、4、5、6レーンで、
b.それに続く5・6番目の中位グループ2名(または2チーム)を7、8レーンで、
c.下位グループ2名(または2チーム)を1、2レーンで、抽選する。

でした。

昨年と比べて、今年は細分化され、直線種目は中位と下位グループでグループで変更があり、200m以上の種目では上位(シードレーン)グループと中位グループで変更がありました。

ちなみに9レーントラックの場合、「9名未満の競技者が競技に参加する時、第1レーンは使用しない。従って(中略)第2レーンは第1レーンとみなされ、以下同様である」という文言は、今年も昨年も一緒です。

それを踏まえた上で、今年のルールを9レーントラックに当てはめると、200mでは6~8レーンが上位グループ、つまりシードレーンに。400m以上の種目では5~8レーンがシードレーンとなります。国内競技会では、昨年までのルール適用もOKとのことですが、私が目にしたのは新ルールが適用されていました。

周回種目は、当然のことですが外側のレーンほどカーブがきつくありません。特に身長が高い、身体の大きな選手は、内側のレーンよりも回りやすいはずです。そう考えると、7レーン(9レーントラックの場合は8レーン)がシードになるのもうなずけます。

ただ、私が現役で競技をしていた約30年前は、9レーントラックなんて現在よりずっと少なく、試合会場はどこも8レーントラックでした。ですから、8レーンは“大外”で、序盤は前に選手がいなくて走りづらいイメージがこびりついています。

個人的に「8レーンはシード(9レーントラックの場合)」というのは何となく抵抗感もありますが、ルールです。もう慣れるしかないと思っています。

井上 敦(いのうえ あつし)
1978年8月生まれ。新潟市江南区出身。横越中→新潟明訓高→某大学(陸上では有名だが、陸上部に入っていないので匿名)。月刊陸上競技編集部には2015年6月中旬から在籍。中学で陸上部に入部して最初は100mを始めたものの、夏には400mに転向する。結果的には中学3年間で県大会に進めなかった。しかし、3年秋の駅伝で区間賞獲得やチームの県大会出場をきっかけにまたまた転向を決意。高校は中距離をメインに、2年の県新人戦1500mで6位に入ったのが最高成績だった。

過去の編集部コラムはこちら

★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。 暇つぶし程度にご覧ください!

第250回「8レーンはシードレーン?(井上 敦)

7月も半ば。関東では梅雨明けとともに、暑さが一気に厳しくなりました。 今月下旬から8月中旬まで、福岡インターハイ、パリ五輪、福井全中と国内外で大きな大会が続きます。 選手のみなさん、競技役員のみなさん、補助役員のみなさん、運営ボランティアのみなさん、応援に行くみなさん、暑さに負けずがんばってください。テレビやインターネットのライブ配信で視聴される方、涼しい環境で観戦しましょう。 梅雨明けして暑さが厳しくなるということは、屋外シーズンの前半戦が一部を除いてほぼ終了です。そういえば、取材先の高校競技会で、こんな声を聞きました。 「前のラウンドは1着通過だったのに、次のラウンドは8レーンだった」 うん? それも、1回だけではなく、何度も聞いたような……。注意深くレースを見ていくと、大会の優勝候補、上位候補とされる選手が準決勝や決勝で8レーンにいることが以前よりも多い。その前のラウンドで苦戦したのかなと調べると、順当の1着通過。 その競技場は9レーントラックで、8レーンはシードレーンではなかったはずです。9レーントラックのシードは4~7レーンだったはず、と。 そこで2024年版のルールブックを開いてみると、こんな記載がありました。 「8レーンのトラックの場合、三つのグループに分けて抽選を行う。8レーン未満の場合、または9レーン以上の場合は、次の考え方を原則とし、必要な変更を加えて適用する。」 ●TR20.4.3 直線種目(100m・100mH・110mH等) 上位グループ→3・4・5・6レーン 中位グループ→2・7レーン 下位グループ→1・8レーン ●TR20.4.4 200m競走 上位グループ→5・6・7レーン 中位グループ→3・4・8レーン 下位グループ→1・2レーン ●TR20.4.5 400m競走・スタート時にレーンを使用する800m競走・4×400mRまでのリレー競走 上位グループ→4・5・6・7レーン 中位グループ→3・8レーン 下位グループ→1・2レーン ●〔国内〕TR20.4.3~20.4.5の考え方に加え、以下の考え方を適用しても良い。 上位グループ→3・4・5・6レーン 中位グループ→7・8レーン 下位グループ→1・2レーン となっています。ちなみに2023年版ルールブックでは、100mから800mまで、また4×400mまでのリレー種目共通で、 a.上位グループ4名(または4チーム)を3、4、5、6レーンで、 b.それに続く5・6番目の中位グループ2名(または2チーム)を7、8レーンで、 c.下位グループ2名(または2チーム)を1、2レーンで、抽選する。 でした。 昨年と比べて、今年は細分化され、直線種目は中位と下位グループでグループで変更があり、200m以上の種目では上位(シードレーン)グループと中位グループで変更がありました。 ちなみに9レーントラックの場合、「9名未満の競技者が競技に参加する時、第1レーンは使用しない。従って(中略)第2レーンは第1レーンとみなされ、以下同様である」という文言は、今年も昨年も一緒です。 それを踏まえた上で、今年のルールを9レーントラックに当てはめると、200mでは6~8レーンが上位グループ、つまりシードレーンに。400m以上の種目では5~8レーンがシードレーンとなります。国内競技会では、昨年までのルール適用もOKとのことですが、私が目にしたのは新ルールが適用されていました。 周回種目は、当然のことですが外側のレーンほどカーブがきつくありません。特に身長が高い、身体の大きな選手は、内側のレーンよりも回りやすいはずです。そう考えると、7レーン(9レーントラックの場合は8レーン)がシードになるのもうなずけます。 ただ、私が現役で競技をしていた約30年前は、9レーントラックなんて現在よりずっと少なく、試合会場はどこも8レーントラックでした。ですから、8レーンは“大外”で、序盤は前に選手がいなくて走りづらいイメージがこびりついています。 個人的に「8レーンはシード(9レーントラックの場合)」というのは何となく抵抗感もありますが、ルールです。もう慣れるしかないと思っています。
井上 敦(いのうえ あつし) 1978年8月生まれ。新潟市江南区出身。横越中→新潟明訓高→某大学(陸上では有名だが、陸上部に入っていないので匿名)。月刊陸上競技編集部には2015年6月中旬から在籍。中学で陸上部に入部して最初は100mを始めたものの、夏には400mに転向する。結果的には中学3年間で県大会に進めなかった。しかし、3年秋の駅伝で区間賞獲得やチームの県大会出場をきっかけにまたまた転向を決意。高校は中距離をメインに、2年の県新人戦1500mで6位に入ったのが最高成績だった。
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