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2024.06.27

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【学生長距離Close-upインタビュー】春先から好調維持する東洋大・西村真周「チームに勢いをつけられる選手に」

大迫傑の走りに衝撃

競技を始めたのは中学1年から。小学校の頃は空手やボクシングをやっていたいとこの影響で、空手に傾注。別のいとこが中学で陸上部に所属しており、「陸上部に入るなら、ユニフォームなど全てもらえる」と声をかけられた。加えて、仲の良かった友達が入部したこともあり、中学から陸上の道へ進んだ。

スピードが全然なかったので、短距離はできなかったです。跳躍へのあこがれや、投てきで投げてみたい気持ちもありませんでした」。自然と長距離から競技人生が始まった。

当時はものすごく競技が好きというわけではなかったが、2年時の2018年2月に地元・福岡で開かれた日本選手権クロスカントリーで、優勝を飾った大迫傑(Nike)の走りを目撃する。「他の選手と違うと感じましたし、衝撃的ですごく覚えています」。

中学2年までは3000mで10分を超えていたが、3年時の18年に急成長。9分17秒77まで自己記録を伸ばし、高校進学直前の3月末には9分05秒78を残し、自由ケ丘高に進学した。

2019年全国高校駅伝で7区区間2位だった西村真周

高校では1年時から初の大舞台となる全国高校駅伝を経験。アンカーで区間2位(14分16秒)と好走してチームの8位入賞に貢献した。「入賞しなければいけないという気持ちよりもワクワクの方が大きかったです。自分としても驚きましたし、これぐらいで走れるのだという喜びを感じました」。

3年時にはインターハイに5000m(13位)で出場し、自身2度目の都大路は1区(区間16位)を経験した。5000mで13分55秒92まで記録を伸ばし、「かなり大学選びは迷いましたが、『ここに来れば自分も強くなれる』という直感で最後は選びました」。東洋大への進学を決めた。

慣れない寮生活に加え、「1、2年生の時は慢心があったり、落ち着きがなかったりしました」と振り返る。

ターニングポイントは昨年11月の全日本大学駅伝。初の伊勢路は7区を任されたが、区間18位に沈んだ。「この先も一番記憶に残るレースになると思います。そこから自分の気持ちや意識が少しずつ変わり始めました」。

[caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 東洋大の西村真周[/caption] 学生長距離Close-upインタビュー 西村真周 Nishimura Mashu 東洋大3年 「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。40回目は、東洋大の西村真周(3年)をピックアップする。 1、2年時は今ひとつ結果を残せなかったが、昨年のとある駅伝をきっかけに自らを反省。今年は春先から各種大会で結果を残しています。 ここまでの歩みや陸上を始めたきっかけなどを振り返りつつ、今季の目標やチームへの思いなどを聞いた。

対抗戦で強烈なスパート

春先から存在感を示している。“鉄紺軍団”の西村真周(3年)だ。 まずは4月7日の関東私学七大学対抗戦、5000m。留学生のスティーブン・レマイヤン(駿河台大2)や城西大の主将を務める平林樹(4年)らと先頭争いを繰り広げる。「ラストスパートは自信があったので、絶対勝てると思っていました。留学生にも負けない自信がありました」。 残り300mで強烈なスパートを仕掛けると、レマイヤンと平林は対応できず。13分50秒46の大会新記録で快勝し、大会最優秀選手にも選ばれた。 「大学に入って、なかなか勝ち切るレースがありませんでした。春先に大会記録で優勝できたことは、今年1年を過ごす上ですごく良かったです」 幸先の良いスタートを切ると、2年前は23位に終わっていた5月の関東インカレ1部5000mでも初入賞。しかし、「なかなか前に出られず、中盤で走ってしまいました」と反省するように、やや積極性を欠き、1年の松井海斗(5位)に先着を許している。 「練習では自分が勝てていましたが、試合で負けてしまうと1番の負け。入賞はできましたが、うれしくなかったというか、本当に悔しかったです」。先輩としてのプライドをのぞかせた。

大迫傑の走りに衝撃

競技を始めたのは中学1年から。小学校の頃は空手やボクシングをやっていたいとこの影響で、空手に傾注。別のいとこが中学で陸上部に所属しており、「陸上部に入るなら、ユニフォームなど全てもらえる」と声をかけられた。加えて、仲の良かった友達が入部したこともあり、中学から陸上の道へ進んだ。 スピードが全然なかったので、短距離はできなかったです。跳躍へのあこがれや、投てきで投げてみたい気持ちもありませんでした」。自然と長距離から競技人生が始まった。 当時はものすごく競技が好きというわけではなかったが、2年時の2018年2月に地元・福岡で開かれた日本選手権クロスカントリーで、優勝を飾った大迫傑(Nike)の走りを目撃する。「他の選手と違うと感じましたし、衝撃的ですごく覚えています」。 中学2年までは3000mで10分を超えていたが、3年時の18年に急成長。9分17秒77まで自己記録を伸ばし、高校進学直前の3月末には9分05秒78を残し、自由ケ丘高に進学した。 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"] 2019年全国高校駅伝で7区区間2位だった西村真周[/caption] 高校では1年時から初の大舞台となる全国高校駅伝を経験。アンカーで区間2位(14分16秒)と好走してチームの8位入賞に貢献した。「入賞しなければいけないという気持ちよりもワクワクの方が大きかったです。自分としても驚きましたし、これぐらいで走れるのだという喜びを感じました」。 3年時にはインターハイに5000m(13位)で出場し、自身2度目の都大路は1区(区間16位)を経験した。5000mで13分55秒92まで記録を伸ばし、「かなり大学選びは迷いましたが、『ここに来れば自分も強くなれる』という直感で最後は選びました」。東洋大への進学を決めた。 慣れない寮生活に加え、「1、2年生の時は慢心があったり、落ち着きがなかったりしました」と振り返る。 ターニングポイントは昨年11月の全日本大学駅伝。初の伊勢路は7区を任されたが、区間18位に沈んだ。「この先も一番記憶に残るレースになると思います。そこから自分の気持ちや意識が少しずつ変わり始めました」。

冬場から自身を見つめ直す

競技に対する姿勢やチーム内でどう過ごしていくか―。自身を見つめ直す機会となり、冬場から練習に臨み、今年は高校以来となる5000mの自己記録をたたき出した。 酒井俊幸監督も「練習通りの力を出せるようになったのは、課題だった安定感の欠如から脱却しきれているから。落ち着いて試合に臨めるようになりましたし、今後伸びていけそうな要素が出てきました」と評価する。 「今年は監督から『チームの主力になろう』と言われています。やっぱり他の大学の選手には負けられません。チームに勢いをつけられる選手になりたいです」 今季は箱根駅伝を最大の目標に挙げた。「チーム全体となってまとまっています。そこが自分の目標で、チームの目標でもあります」。直近2年は山下りの6区を担っており、「自分が6区を走るのがベストだと思います」と自覚を込めた。 石田洸介や梅崎蓮ら4年生に力のある選手がそろっており、「4年生頼りのチームになるのではなく、3先生としても一人ひとり役割を持って取り組んでいきたいです」と強調。大学4年間で5000mの東洋大記録(13分34秒64)の更新と、学生三大駅伝での区間賞獲得をまずは目標とする。 五輪や世界選手権は狭き門で、簡単に出られないことは理解している。先の競技人生はまだイメージしづらいものの、「競技者として最後まで走り続けて、誰かの記憶に残る選手になりたいと考えています」。 まずは残り2年の大学生活、“鉄紺”の歴史に名を刻むつもりだ。 [caption id="attachment_131365" align="alignnone" width="800"] 関東インカレ男子1部5000mで7位に入った西村真周[/caption] ◎にしむら・ましゅう/2003年8月11日生まれ、福岡県北九州市出身。北九州菅生中→自由ケ丘高→東洋大。自己記録5000m13分50秒46、10000m28分45秒98、ハーフマラソン1時間3分28秒。 文/片井雅也

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