2024.06.16
◇インターハイ東海地区大会(6月14~16日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)2日目
福岡インターハイを懸けた東海地区大会の2日目が行われ、女子100mで小針陽葉(富士市立3静岡)が12秒02(-3.0)で2連覇を果たした。フィニッシュ直後に思わず涙があふれたのは、この1年の苦しかった日々が脳裏に蘇ったからに違いない。「うれしいの一言です」。レース後の率直な気持ちは、シンプルな一言に詰め込んだ。
100mで今季11秒台をマークした22人中、7人が東海大会に集った。高1歴代2位の11秒65を持つ小針だが、今季のベストは県大会でマークした11秒98。勝つことよりも、インターハイに行くことを重視していた。
「1点集中で、あまり相手を見ないようにしました。とにかく自分の走りをする。自分は後半が強いから後半から上げて、6番に入れば大丈夫と思っていました」
2年前の夏、100m、200mのスプリント2種目で2位に食い込み、衝撃的なインターハイデビューを飾った。昨年は新たに始めた走幅跳も含め、東海大会で3冠を達成。全国の舞台でも3種目で優勝を狙えるポジションにいた。
しかし、そこから歯車が狂い始める。インターハイ直前の静岡県選手権で右脚のハムストリングを肉離れ。無理をして出場したインターハイで今度は左脚を痛め、秋のU18大会でそれが再発。2024年が明けると練習中に再び右脚を痛めてしまった。「先生や家族、いろいろな人に迷惑を掛けてしまいました」と振り返る。春先からライバルが好記録を出すなか、5月下旬の県大会には何とか間に合い、100mと200mの2種目で2位。それでも、まだまだ復活と言える走りではなかった。
この日も「予選、準決勝はまだ様子見というか、恐る恐るというようなストライドで、のっしり行った感じだった」と言うが、「県大会と比べて怖さがなくなった」のは大きかった。予選を11秒94(-1.7)、準決勝を12秒20(-2.8)といずれも組トップで通過し、「予選で向かい風の中で11秒が出たことは収穫でした」と胸を張る。決勝の終盤は、静岡県大会で先着された佐野釉梨(静岡市立3)と争うかたちとなり、0.03秒差で競り勝った。
改めてこの1年を振り返ると、小針は「ケガをして良かったです」と語った。
「ケガをしなければ、こうやってじっくり自分の走りを見直して改善することもなかった。結果論かもしれませんが、ケガをして一から自分の走りを見直せたのは、良い期間だったなと思います」
U20世界選手権も視野に入れながらU20日本選手権に出場した後、福岡に乗り込むことになる。「3度目の正直です!」。悲願のインターハイ優勝を目指して、小針がいよいよギアを上げてきた。
女子800mでも小針のチームメイトの遠藤瑞季(富士市立3静岡)が2分08秒52と大会記録に迫る好タイムで優勝。同4×100mリレーは中京大中京(愛知)が45秒82で1位となり、済美(岐阜)は46秒25で2位。3位の静岡市立、4位の至学館(愛知)、5位の浜松市立(静岡)が46秒5台で続いている。
男子100mの土屋太陽(富士見3静岡)が10秒59(-0.9)で大会2連覇を達成。3000m障害は安田怜生(名古屋大谷3愛知)が9分07秒60でトップ。400mハードルは垣内太陽(伊勢3三重)が52秒82、4×100mリレーは豊川(愛知)が40秒35でそれぞれ制した。
フィールドでは男子棒高跳で今季高校最高の5m11を跳んでいる谷口海斗(中京大中京3愛知)が5m00で快勝したほか、前日の女子砲丸投を制した世古櫻紗(松阪商3三重)が円盤投も44m92で優勝を飾った。
全国インターハイは7月28日から8月1日に福岡・博多の森陸上競技場で開催。各地区大会上位6位までが出場する(※男女競歩は5位、女子棒高跳、女子三段跳、女子ハンマー投は4位まで、混成は3位+各地区4~6位の記録上位5名)。
文/小野哲史
インターハイ東海大会優勝者一覧をチェック!
●男子 100m 土屋太陽(富士見3静岡) 10秒59(-0.9) 400m 大石亮太(浜松開誠館3静岡) 47秒20 800m 宮下颯汰(中京大中京3愛知) 1分53秒17 1500m 田中智稀(名経大高蔵3愛知) 3分54秒45 110mH 橋爪蓮翔(皇學館3三重) 14秒28(-2.5) 400mH 垣内太陽(伊勢3三重) 52秒82 4×100mR 豊川(愛知) 40秒35 走高跳 井川稜斗(近大高専3三重) 2m01 棒高跳 谷口海斗(中京大中京3愛知) 5m00 走幅跳 奥澤真(浜松西3静岡) 7m53(+2.0) 円盤投 岩瀬一輝(三好3愛知) 46m09 ハンマー投 白木康介(修文学院3愛知) 59m60 [adinserter block="4"] ●女子 100m 小針陽葉(富士市立3静岡) 12秒02(-0.3) 400m 今峰紗希(済美2岐阜) 55秒54 800m 遠藤瑞季(富士市立3静岡) 2分08秒52 1500m 児玉彩花(光ヶ丘女2愛知) 4分31秒82 100mH 三好澄果(豊川2愛知) 13秒92(-1.5) 400mH 植川柚季(沼津東3静岡) 61秒92 4×100mR 中京大中京(愛知) 45秒82 棒高跳 草野咲蕾(中京大中京3愛知) 3m40 走幅跳 水野文由里(中京大中京3愛知) 6m12(+1.5) 砲丸投 世古櫻紗(松阪商3三重) 13m87 円盤投 世古櫻紗(松阪商3三重) 44m92 ハンマー投 鈴木菜摘(浜松湖北3静岡) 49m89 七種競技 髙塚虹百(中京大中京3愛知) 4451点
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.17
フレイザー・プライスが愛息子の前で激走!運動会の保護者レースで他を圧倒
2025.04.16
上海ハーフに前回8位の太田蒼生、國學院大・上原琉翔、青学大の黒田然らエントリー
-
2025.04.15
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.13
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.03.23
-
2025.04.01
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.17
フレイザー・プライスが愛息子の前で激走!運動会の保護者レースで他を圧倒
女子短距離のレジェンド、シェリー・アン・フレイザー・プライス(ジャマイカ)が愛する息子の前で激走した。 元世界女王であり五輪金メダリストのフレイザー・プライスが、17年に出産したジオン君の学校で行われた運動会での保護者レ […]
2025.04.16
上海ハーフに前回8位の太田蒼生、國學院大・上原琉翔、青学大の黒田然らエントリー
4月20日に行われる上海ハーフマラソン(4月20日)のエントリーが発表されており、プロランナーとなった青学大卒の太田蒼生(GMOインターネットグループ)が登録した。太田は青学大時代、4年連続で箱根駅伝に出走。3年時は3区 […]
2025.04.16
ダイヤモンドリーグ第1戦厦門に110mH泉谷駿介と村竹ラシッドが登録!サニブラウン、三浦龍司、豊田兼もエントリー
世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)第1戦となる厦門大会(中国/4月26日)のエントリーリストが発表された。 男子110mハードルには、ブダペスト世界選手権5位の泉谷駿介(住友電工)と、パリ五輪5位の村竹ラシッド(JA […]
2025.04.16
人間スポーツ科学科を持つ公立高校が「O2Room®」を導入、スポーツコンディショニングの授業に活用
全国区で活躍する部活動もサポート 2016年に創立100周年を迎えた大阪の伝統校でもある府立桜宮高等学校。1980年にこれまでの普通科に加え大阪府内では初めてとなる体育科を新設し、さらに1999年にはスポーツ健康科学科を […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)