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2024.06.10

「2way酸素ルーム」の活用法 低圧低酸素と高気圧酸素の環境を1台で実現する画期的なトレーニング&リカバリー機器
「2way酸素ルーム」の活用法 低圧低酸素と高気圧酸素の環境を1台で実現する画期的なトレーニング&リカバリー機器

「2way酸素ルーム」が誕生した背景や製品の利点などについて語り合った日本気圧バルク工業の天野英紀社長(左)と同社のスペシャルトレーニングアドバイザーである高橋尚子さん

酸素の力で人々の健康やアスリートのパフォーマンスを支える「O2Room」ブランドの酸素ルームを国内外に展開する日本気圧バルク工業株式会社。大学や病院と共同研究を重ね、いくつものエビデンスを基に自社開発・自社生産した高気圧酸素ルームおよび低圧低酸素ルームは多くのユーザーから高評や信頼を得ているが、気圧の異なる高気圧酸素と低圧低酸素の2つの環境を併用できる同社の特許製品「2way 酸素ルーム」が今、非常に注目を集めている。そこで日本気圧バルク工業代表取締役の天野英紀社長と、同社のスペシャルトレーニングアドバイザーを務めるシドニー五輪女子マラソン金メダリストで元世界記録保持者でもある高橋尚子さんに、「2way酸素ルーム」の活用法やメリット、その未来などについて語り合っていただいた。

限られた場所を有効に活用するため2つを1台に集約!! 気圧の変化が生むさまざまなメリット

高橋 最近は、スポーツチームの施設やトレーニングジムはもちろん、治療院などでも酸素カプセルであったり、高気圧酸素ルーム、もしくは低圧低酸素ルームの酸素を活用した機器を見かけるようになりました。そうした中、日本気圧バルク工業ではなぜ「2way酸素ルーム」を作ろうと思われたのですか?

天野 当社は最初に高気圧酸素ルームを開発し、その販売を開始しました。狭くて圧迫感のある酸素カプセルの課題を解消するため、広くて複数人でも利用でき、なおかつ内部にエアコンやテレビも設置して心地良い空間を目指した〝部屋型〟のものを開発・生産したのですが、これを「酸素ルーム」と名付けたのは当社でした。高気圧酸素ルームにご高評をいただく中、部屋型の利点を生かし、高地トレーニングが室内でできるように低圧低酸素ルームを開発。2つの環境の酸素ルームをそれぞれ展開していました。特に販売台数が多かったのが関東圏で、ユーザーから「2台を入れるスペースがないので、1台で両方(高気圧酸素と低圧低酸素)の環境にできないか」というご要望がいくつか寄せられるようになったことが2way酸素ルームを開発するきっかけです。

高橋 2つを1台にまとめることでいろいろなメリットがあると思います。

天野 2way酸素ルームの最大の特長が、場所をとらず1台で高気圧酸素と低圧低酸素の両方が使えることです。マラソンや駅伝などで活躍する実業団や大学の強豪チームでは、高地トレーニングに代わるトレーニング用として低圧低酸素、コンディショニングやリカバリー用に高気圧酸素を活用されています。

その際、キーワードとなるのが〝気圧〟です。私たちが日常で暮らしている平地の気圧が1気圧なのに対し、2way酸素ルームの高気圧酸素は人体に安全な1.3気圧、低圧低酸素は約0.72気圧(標高約3000mの高地環境に相当)までの設定になっています。

低圧低酸素の環境下では、通常より気圧が低いため体内の血管や筋肉が緩み、血流が促進されます。高気圧酸素の環境下では、それとは逆に血管や筋肉が収縮します。このように気圧の違いによって体内で起こる変化を活用し、血流の促進はもちろん、筋肉や腱、骨の損傷の回復や痛みの改善が通常より早まるなどの事例が数多く報告されています。

また、「人間は常圧の環境で1週間寝たきりで過ごすと体内の毛細血管の約3割が失われるが、低圧低酸素の環境下では毛細血管はほとんど失われない」という論文も発表されています。

当社の2way酸素ルームを活用されている治療院などからも「ケガや故障で大会への出場をあきらめていたスポーツ選手が、高気圧酸素の環境下で各種治療を行い、その後、低圧低酸素の環境に身を置くことで人間が本来持つ自然治癒力が高まり、試合に間に合った」といった声をいくつもいただいており、高気圧酸素および低圧低酸素のそれぞれの利点を1台で活かせるのが強みとなります。

現在、共同研究をしている大学や病院にさまざまなエビデンスの収集に努めていただいており、その活用の場はさらに広がっていくものと考えています。

高気圧酸素と低圧低酸素の環境を1台で実現できるだけでなく、圧迫感のない快適な環境や幅広い用途があることも「2way酸素ルーム」の利点だ

高橋 アスリートにとっては、高地トレーニングの効果に加え、1台でリカバリーもできるという夢のような機器だと注目されていますが、反響などはいかがですか?

天野 注目度が高く、競争も激しい大学駅伝界では、上位進出はもちろん、翌年のシード権を取るのも大変な状況にあります。選手のために役立つことを少しでもやってあげたいと思われる指導者、関係者も多く、弊社の2way酸素ルームは口コミなどで広がり、現在ではスポーツチームをはじめ、アスリートが治療に通う整形外科や整骨院、接骨院など多くの医療機関にもご活用していただいており、さらなる導入に向けたお問い合わせも相次いでおります。数ある酸素を活用した機器の中でも当社の製品にご興味を持っていただけるのはうれしい限りです。

お陰様で当社、そして2way酸素ルームの知名度が上がってきたこともあり、スポーツが盛んな私立高校でも選手のパフォーマンス向上はもちろん、生徒の健康増進や学校のブランディング戦略として活用いただいているケースがあります。また、日頃からトレーニングが欠かせない自衛隊からもご注文があり、ニーズは幅広い分野に及んでいます。

最近、酸素を活用した他社製の機器の事故が報道され、世間を大変にぎわせました。しかし、弊社のO2Room®は高気圧酸素ルーム、低圧低酸素ルーム、そして2way酸素ルームを含め、いずれも京都大学、名古屋大学、神戸大学をはじめとした大学、複数の病院など医療・教育機関との共同研究によって自社開発・自社生産しており、販売開始以降30年間、一度も事故を起こしておりません。

さらに、当社の外交スタッフは日本体力医学会に所属し、共同研究している方々と論文発表をするほど専門的な知識を持っていることも皆さまから信頼されている要因ではないかと感じています。

天野社長は酸素ルームを安心・安全に利用していただけるように自社開発・自社生産を貫いている

高橋 30年間、一度も事故がないのですね! 日本体力医学会に所属されたり、各大学や病院と共同研究をされるなど積極的に研究・開発を進めておられますが、そこまでされる理由は?

天野 欧米など海外では、酸素、酸素ルームを活用した治験データが研究機関から数多く発表され、多方面で役立てられています。日本ではまだまだ遅れているのが現状で、他社さんでは販売と研究・開発とを分けて進めていることが多いのですが、当社ではより安心・安全な製品を提供するために「自社開発・自社生産」の方針を貫いており、外交スタッフもお客様に対してしっかりとした説明ができるように知識を高める努力をしております。

高橋 しっかりしたデータや論文などで裏付けされていると、使う側も安心ですね。

天野 安心・安全に使っていただくことが何よりも大切だと考えています。O2Room®はアスリートはもちろん、市民ランナーや健康を考える一般の方々にも浸透してきており、そうした方々にも気軽に使っていただき、健康で健やかな日々を過ごすための一助になれればと考えています。歩くのが辛かった方が散歩を楽しめるようになる、10kmまで走るのが精一杯だった初心者ランナーがハーフ、フルマラソンにチャレンジしたくなる。2way酸素ルームを活用してそう思っていただく方が増えることが私たちの一つの目標でもあります。

研究を重ねたモード設定で使い方は無限 万が一の対策も万全のため安心して利用が可能

高橋 実際に2way酸素ルームを拝見すると、大きくてがっしりしているというのが最初の印象です。安心・安全面も含めて、使い方は難しくないですか?

天野 設定などはしっかりプログラミングされているので安心です。また、気圧の差があるため使用時は扉の開け閉めはできませんが、インターホンが付いて内外の会話は常時可能となっており、安心して使っていただけます。

高橋 それなら安心ですね。

事前に設定しているいくつかのモードの中から目的に応じたモードを選択することで簡単に始められるのが「2way酸素ルーム」の持ち味だ

天野 プログラミングも低圧低酸素の場合だと標高3000mの高地から標高1500mの準高地の間でウェーブのように変化させ、きつくなったり少し楽になったりするモードなど、目的によっていろいろな設定を設けています。こうした気圧の変化に身体が反応し、血流が促進され、基礎体温が上昇するなどの変化が現れます。アスリートが高地トレーニング用に活用するモードから、ただ室内に居るだけでそうした変化が現れるモードなど、トップアスリートから一般の方々まで幅広い層の方々の活用が可能となっています。

先ほどもお話したように、低圧低酸素の環境下では、寝たきり状態でも毛細血管がほとんど減らないという論文が発表されています。アスリートはケガなどで練習ができなくなると一気に体力が低下してしまいますが、一定期間、低圧低酸素の環境下で過ごすことで、その波も小さく抑えることができ、さらに低圧低酸素環境においてトレッドミルなどで負荷をかけることで、あまり体力を落とすことなく競技復帰への期間も短縮することが可能となります。

高橋 アスリートのパフォーマンスアップはもちろん、ケガからの復帰、さらに人々の健康を考える上でも役立つのが2way酸素ルームということですね。

天野 2way酸素ルームは使用者の用途によっていろいろなモードに設定することが可能で、そのモードは各現場の方々と意見交換し、我々が研究を重ねた上で設定させていただいております。そのため使い方・活用法は十人十色となっています。利用者のなかには2way酸素ルーム内に寝具を持ち込んで一晩中過ごされる方もおられます。万が一、設定した状況以外になった際には異常を感知し、システムが停止するよう万全の対策が取られております。それだけ安心・安全に使用できるということです。

高橋 室内はエアコンも設置されており、照明の明るさも変えられるなど、リラックスできるのがいいですね。内部も広くて圧迫感もなく、これなら長時間の滞在でも苦になりません。

天野 内部はオーダー制ですので、いろいろな設定が可能です。

高橋 広さによって異なるとは思いますが、トレッドミルやバイクを入れたり、テレビを設置したり、いろいろなことができますね。部屋のような感じもあり、学生さんなら読書をしたり、勉強をすることもできますね。

私も現役時代は高地トレーニングを取り入れていましたが、アメリカのボルダーを拠点に高地トレーニングを行っており、移動するだけでも大変でした。しかし、この2way酸素ルームが1台あれば、高地トレーニングはもちろん、リカバリーもきっちり行うことができ、さらに体調管理、コンディショニングにも役立ち、ケガや故障をした際にも活用できる、一石二鳥にも三鳥にもなる機器ですね。いろんなことに活用できる2way酸素ルームですが、今後の展望などをお聞かせください。

天野 高地トレーニングの場合は、現在でも長距離ランナーの主流はアメリカのボルダーやアルバカーキ、スイスのサンモリッツなどとなり、移動にすごく時間がかかります。さらに、せっかく高地トレーニングを積んでパフォーマンスがアップしても、平地に戻るとその効果はだんだん薄れてしまいます。しかし、2way酸素ルームを使えば、同じ場所に居ながらにして試合直前まで低圧低酸素の環境下で過ごすことができますし、さらに高気圧酸素を活用したリカバリー、コンディショニングも可能となり、場所の移動に伴うデメリットを補うことができます。

また、高橋さんのようにアスリートは低圧低酸素でトレーニングを行いますが、高齢者など普段あまり運動されていない方の場合、高気圧酸素の環境下で運動を実施します。そうすると、普段は5分も歩けば息が上がってしまっていた方が、高気圧酸素環境では、酸素の力でいつもより楽に動ける。動くことで筋力の維持・強化にもつながり、腰痛の予防などにも役立ちます。

2way酸素ルームの利便性や効率の良さを絶賛した高橋さんは「使う人によって期待できる効果、メリットは変わってくる」と感じていた

高橋 使う人によって、期待できる効果、メリットは変わってくるんですね。私が現役時代に2way酸素ルームがあれば、絶対に活用していました。

天野 アスリートのトレーニングや健康などのテーマの他にも、室内の気圧・温度を常に一定に保てることから、食品の保存用に2way酸素ルームが使われたり、気圧の差を活用して真空パックを作る作業場に使われたりするなど私たちが思ってもみなかった現場からの問い合わせも増えてきています。

この夏にはパリでビッグゲームが開催されますが、スポーツには人々を元気にするパワーがあると思っています。アスリートのがんばりを見ていると、私もアスリートのためにがんばりたい、役に立ちたいという思いが日々湧いてきます。2way酸素ルームを活用してくださった皆さんが活躍し、そして健康になってくださる。その笑顔をパワーにして引き続きより良い製品づくりに向けて努力していきます。

高橋 天野社長から「人々に健康になってほしい、アスリートが夢や目標を叶えてほしい」という想い、熱量がひしひしと伝わってきました。本当にありがとうございました。

構成/花木 雫、撮影/船越陽一郎

※この記事は『月刊陸上競技』2024年7月号にも掲載しています

酸素の力で人々の健康やアスリートのパフォーマンスを支える「O2Room」ブランドの酸素ルームを国内外に展開する日本気圧バルク工業株式会社。大学や病院と共同研究を重ね、いくつものエビデンスを基に自社開発・自社生産した高気圧酸素ルームおよび低圧低酸素ルームは多くのユーザーから高評や信頼を得ているが、気圧の異なる高気圧酸素と低圧低酸素の2つの環境を併用できる同社の特許製品「2way 酸素ルーム」が今、非常に注目を集めている。そこで日本気圧バルク工業代表取締役の天野英紀社長と、同社のスペシャルトレーニングアドバイザーを務めるシドニー五輪女子マラソン金メダリストで元世界記録保持者でもある高橋尚子さんに、「2way酸素ルーム」の活用法やメリット、その未来などについて語り合っていただいた。

限られた場所を有効に活用するため2つを1台に集約!! 気圧の変化が生むさまざまなメリット

高橋 最近は、スポーツチームの施設やトレーニングジムはもちろん、治療院などでも酸素カプセルであったり、高気圧酸素ルーム、もしくは低圧低酸素ルームの酸素を活用した機器を見かけるようになりました。そうした中、日本気圧バルク工業ではなぜ「2way酸素ルーム」を作ろうと思われたのですか? 天野 当社は最初に高気圧酸素ルームを開発し、その販売を開始しました。狭くて圧迫感のある酸素カプセルの課題を解消するため、広くて複数人でも利用でき、なおかつ内部にエアコンやテレビも設置して心地良い空間を目指した〝部屋型〟のものを開発・生産したのですが、これを「酸素ルーム」と名付けたのは当社でした。高気圧酸素ルームにご高評をいただく中、部屋型の利点を生かし、高地トレーニングが室内でできるように低圧低酸素ルームを開発。2つの環境の酸素ルームをそれぞれ展開していました。特に販売台数が多かったのが関東圏で、ユーザーから「2台を入れるスペースがないので、1台で両方(高気圧酸素と低圧低酸素)の環境にできないか」というご要望がいくつか寄せられるようになったことが2way酸素ルームを開発するきっかけです。 高橋 2つを1台にまとめることでいろいろなメリットがあると思います。 天野 2way酸素ルームの最大の特長が、場所をとらず1台で高気圧酸素と低圧低酸素の両方が使えることです。マラソンや駅伝などで活躍する実業団や大学の強豪チームでは、高地トレーニングに代わるトレーニング用として低圧低酸素、コンディショニングやリカバリー用に高気圧酸素を活用されています。 その際、キーワードとなるのが〝気圧〟です。私たちが日常で暮らしている平地の気圧が1気圧なのに対し、2way酸素ルームの高気圧酸素は人体に安全な1.3気圧、低圧低酸素は約0.72気圧(標高約3000mの高地環境に相当)までの設定になっています。 低圧低酸素の環境下では、通常より気圧が低いため体内の血管や筋肉が緩み、血流が促進されます。高気圧酸素の環境下では、それとは逆に血管や筋肉が収縮します。このように気圧の違いによって体内で起こる変化を活用し、血流の促進はもちろん、筋肉や腱、骨の損傷の回復や痛みの改善が通常より早まるなどの事例が数多く報告されています。 また、「人間は常圧の環境で1週間寝たきりで過ごすと体内の毛細血管の約3割が失われるが、低圧低酸素の環境下では毛細血管はほとんど失われない」という論文も発表されています。 当社の2way酸素ルームを活用されている治療院などからも「ケガや故障で大会への出場をあきらめていたスポーツ選手が、高気圧酸素の環境下で各種治療を行い、その後、低圧低酸素の環境に身を置くことで人間が本来持つ自然治癒力が高まり、試合に間に合った」といった声をいくつもいただいており、高気圧酸素および低圧低酸素のそれぞれの利点を1台で活かせるのが強みとなります。 現在、共同研究をしている大学や病院にさまざまなエビデンスの収集に努めていただいており、その活用の場はさらに広がっていくものと考えています。 [caption id="attachment_137486" align="alignnone" width="800"] 高気圧酸素と低圧低酸素の環境を1台で実現できるだけでなく、圧迫感のない快適な環境や幅広い用途があることも「2way酸素ルーム」の利点だ[/caption] 高橋 アスリートにとっては、高地トレーニングの効果に加え、1台でリカバリーもできるという夢のような機器だと注目されていますが、反響などはいかがですか? 天野 注目度が高く、競争も激しい大学駅伝界では、上位進出はもちろん、翌年のシード権を取るのも大変な状況にあります。選手のために役立つことを少しでもやってあげたいと思われる指導者、関係者も多く、弊社の2way酸素ルームは口コミなどで広がり、現在ではスポーツチームをはじめ、アスリートが治療に通う整形外科や整骨院、接骨院など多くの医療機関にもご活用していただいており、さらなる導入に向けたお問い合わせも相次いでおります。数ある酸素を活用した機器の中でも当社の製品にご興味を持っていただけるのはうれしい限りです。 お陰様で当社、そして2way酸素ルームの知名度が上がってきたこともあり、スポーツが盛んな私立高校でも選手のパフォーマンス向上はもちろん、生徒の健康増進や学校のブランディング戦略として活用いただいているケースがあります。また、日頃からトレーニングが欠かせない自衛隊からもご注文があり、ニーズは幅広い分野に及んでいます。 最近、酸素を活用した他社製の機器の事故が報道され、世間を大変にぎわせました。しかし、弊社のO2Room®は高気圧酸素ルーム、低圧低酸素ルーム、そして2way酸素ルームを含め、いずれも京都大学、名古屋大学、神戸大学をはじめとした大学、複数の病院など医療・教育機関との共同研究によって自社開発・自社生産しており、販売開始以降30年間、一度も事故を起こしておりません。 さらに、当社の外交スタッフは日本体力医学会に所属し、共同研究している方々と論文発表をするほど専門的な知識を持っていることも皆さまから信頼されている要因ではないかと感じています。 [caption id="attachment_137489" align="alignnone" width="800"] 天野社長は酸素ルームを安心・安全に利用していただけるように自社開発・自社生産を貫いている[/caption] 高橋 30年間、一度も事故がないのですね! 日本体力医学会に所属されたり、各大学や病院と共同研究をされるなど積極的に研究・開発を進めておられますが、そこまでされる理由は? 天野 欧米など海外では、酸素、酸素ルームを活用した治験データが研究機関から数多く発表され、多方面で役立てられています。日本ではまだまだ遅れているのが現状で、他社さんでは販売と研究・開発とを分けて進めていることが多いのですが、当社ではより安心・安全な製品を提供するために「自社開発・自社生産」の方針を貫いており、外交スタッフもお客様に対してしっかりとした説明ができるように知識を高める努力をしております。 高橋 しっかりしたデータや論文などで裏付けされていると、使う側も安心ですね。 天野 安心・安全に使っていただくことが何よりも大切だと考えています。O2Room®はアスリートはもちろん、市民ランナーや健康を考える一般の方々にも浸透してきており、そうした方々にも気軽に使っていただき、健康で健やかな日々を過ごすための一助になれればと考えています。歩くのが辛かった方が散歩を楽しめるようになる、10kmまで走るのが精一杯だった初心者ランナーがハーフ、フルマラソンにチャレンジしたくなる。2way酸素ルームを活用してそう思っていただく方が増えることが私たちの一つの目標でもあります。

研究を重ねたモード設定で使い方は無限 万が一の対策も万全のため安心して利用が可能

高橋 実際に2way酸素ルームを拝見すると、大きくてがっしりしているというのが最初の印象です。安心・安全面も含めて、使い方は難しくないですか? 天野 設定などはしっかりプログラミングされているので安心です。また、気圧の差があるため使用時は扉の開け閉めはできませんが、インターホンが付いて内外の会話は常時可能となっており、安心して使っていただけます。 高橋 それなら安心ですね。 [caption id="attachment_137487" align="alignnone" width="800"] 事前に設定しているいくつかのモードの中から目的に応じたモードを選択することで簡単に始められるのが「2way酸素ルーム」の持ち味だ[/caption] 天野 プログラミングも低圧低酸素の場合だと標高3000mの高地から標高1500mの準高地の間でウェーブのように変化させ、きつくなったり少し楽になったりするモードなど、目的によっていろいろな設定を設けています。こうした気圧の変化に身体が反応し、血流が促進され、基礎体温が上昇するなどの変化が現れます。アスリートが高地トレーニング用に活用するモードから、ただ室内に居るだけでそうした変化が現れるモードなど、トップアスリートから一般の方々まで幅広い層の方々の活用が可能となっています。 先ほどもお話したように、低圧低酸素の環境下では、寝たきり状態でも毛細血管がほとんど減らないという論文が発表されています。アスリートはケガなどで練習ができなくなると一気に体力が低下してしまいますが、一定期間、低圧低酸素の環境下で過ごすことで、その波も小さく抑えることができ、さらに低圧低酸素環境においてトレッドミルなどで負荷をかけることで、あまり体力を落とすことなく競技復帰への期間も短縮することが可能となります。 高橋 アスリートのパフォーマンスアップはもちろん、ケガからの復帰、さらに人々の健康を考える上でも役立つのが2way酸素ルームということですね。 天野 2way酸素ルームは使用者の用途によっていろいろなモードに設定することが可能で、そのモードは各現場の方々と意見交換し、我々が研究を重ねた上で設定させていただいております。そのため使い方・活用法は十人十色となっています。利用者のなかには2way酸素ルーム内に寝具を持ち込んで一晩中過ごされる方もおられます。万が一、設定した状況以外になった際には異常を感知し、システムが停止するよう万全の対策が取られております。それだけ安心・安全に使用できるということです。 高橋 室内はエアコンも設置されており、照明の明るさも変えられるなど、リラックスできるのがいいですね。内部も広くて圧迫感もなく、これなら長時間の滞在でも苦になりません。 天野 内部はオーダー制ですので、いろいろな設定が可能です。 高橋 広さによって異なるとは思いますが、トレッドミルやバイクを入れたり、テレビを設置したり、いろいろなことができますね。部屋のような感じもあり、学生さんなら読書をしたり、勉強をすることもできますね。 私も現役時代は高地トレーニングを取り入れていましたが、アメリカのボルダーを拠点に高地トレーニングを行っており、移動するだけでも大変でした。しかし、この2way酸素ルームが1台あれば、高地トレーニングはもちろん、リカバリーもきっちり行うことができ、さらに体調管理、コンディショニングにも役立ち、ケガや故障をした際にも活用できる、一石二鳥にも三鳥にもなる機器ですね。いろんなことに活用できる2way酸素ルームですが、今後の展望などをお聞かせください。 天野 高地トレーニングの場合は、現在でも長距離ランナーの主流はアメリカのボルダーやアルバカーキ、スイスのサンモリッツなどとなり、移動にすごく時間がかかります。さらに、せっかく高地トレーニングを積んでパフォーマンスがアップしても、平地に戻るとその効果はだんだん薄れてしまいます。しかし、2way酸素ルームを使えば、同じ場所に居ながらにして試合直前まで低圧低酸素の環境下で過ごすことができますし、さらに高気圧酸素を活用したリカバリー、コンディショニングも可能となり、場所の移動に伴うデメリットを補うことができます。 また、高橋さんのようにアスリートは低圧低酸素でトレーニングを行いますが、高齢者など普段あまり運動されていない方の場合、高気圧酸素の環境下で運動を実施します。そうすると、普段は5分も歩けば息が上がってしまっていた方が、高気圧酸素環境では、酸素の力でいつもより楽に動ける。動くことで筋力の維持・強化にもつながり、腰痛の予防などにも役立ちます。 [caption id="attachment_137490" align="alignnone" width="800"] 2way酸素ルームの利便性や効率の良さを絶賛した高橋さんは「使う人によって期待できる効果、メリットは変わってくる」と感じていた[/caption] 高橋 使う人によって、期待できる効果、メリットは変わってくるんですね。私が現役時代に2way酸素ルームがあれば、絶対に活用していました。 天野 アスリートのトレーニングや健康などのテーマの他にも、室内の気圧・温度を常に一定に保てることから、食品の保存用に2way酸素ルームが使われたり、気圧の差を活用して真空パックを作る作業場に使われたりするなど私たちが思ってもみなかった現場からの問い合わせも増えてきています。 この夏にはパリでビッグゲームが開催されますが、スポーツには人々を元気にするパワーがあると思っています。アスリートのがんばりを見ていると、私もアスリートのためにがんばりたい、役に立ちたいという思いが日々湧いてきます。2way酸素ルームを活用してくださった皆さんが活躍し、そして健康になってくださる。その笑顔をパワーにして引き続きより良い製品づくりに向けて努力していきます。 高橋 天野社長から「人々に健康になってほしい、アスリートが夢や目標を叶えてほしい」という想い、熱量がひしひしと伝わってきました。本当にありがとうございました。 構成/花木 雫、撮影/船越陽一郎 ※この記事は『月刊陸上競技』2024年7月号にも掲載しています

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