2024.05.30
FOCUS! 高校生INTERVIEW
谷口 海斗 Taniguchi kaito
中京大中京高3愛知
注目の高校アスリートをフォーカスして紹介するコーナー!今回は男子棒高跳の谷口海斗選手(中京大中京高3愛知)です。昨年のU18大会覇者で、今年は夏のインターハイ優勝がターゲット。5月18日のインターハイ愛知県大会では自己ベストを9cm更新する5m11の県高校新記録に成功。夏の栄冠へ調子を上げています。
余裕を感じた自己ベスト
――愛知県大会では25年ぶりに県高校記録を1cm更新する5m11を跳びました。
谷口 4月に腰を痛めてしまい、そこから記録があまり良くない試合が続きましたが、マッサージなどでケアに努め、比較的良い状態で臨めました。大会記録(5m01)はもちろん、県高校記録更新も狙っていたので、達成できて素直にうれしいです。
――試合中、腰の状態はいかがでしたか。
谷口 不安はありましたが、朝からすごく走れていたので記録を狙って行けるなと、思いました。
――県大会はどんなプランで臨み、実際計画通りにできましたか。
谷口 指導者の父(中京大中京高顧問の直土先生)と相談し、まずは東海大会の出場権を決めることを目指して4m60から開始しました。大会新となる5m02は、1回目に使った15.7フィート165ポンドのポールも、2回目の16フィート160ポンドのポールも柔らかい感覚があって失敗しましたが、3回目で硬い15.7フィート170ポンドを使ったら跳べました。5m11もそのままで、うまくアップライトも合って1回でクリアできました。
――県高校記録の更新へ練習はいかがでしたか。
谷口 ダウンヒル(下り坂の助走路)で、6歩助走でも全助走の時と同じポールが使える移動式の器具があり、それでたくさん跳躍練習をしました。高い高さのゴムバーも跳べていたので、腰の状態さえ悪くなければ跳べるという自信はありました。
――5m11を跳び、今までの高さと比べて、感覚や景色の違いを教えてください。
谷口 反発の乗り方が違うと感じましたし、空中での景色もまったく違いました。でも、5m11はまだ余裕がありました。その後、5m21はかみ合わずに跳べませんでしたが、まだまだ行けるはずという自信になりました。
――それまでのベストは昨年のU18大会で跳んだ5m02でした。記録を9cm更新できた要因は。
谷口 昨年と変わったのは、助走のスピードが上がったことと筋力もついたことだと思います。冬季などは走り込みも多かったですし、身体作りもしたので確実にパワーアップしていると思います。
――走り込みや身体作りは具体的にどんなことを取り組みましたか。
谷口 走り込みは練習でよく使っている競技場が1周300mしかなく、そこで300mのエンドレスリレーや200m、150m、150m×3をTT(タイムトライアル)でやったり、ちょっと長めの距離を走ったりしました。身体作りでは、ウエイトトレーニングこそあまりしませんが、鉄棒で懸垂をしたり、腕立て伏せをしたりと。鉄棒は昼食を早く終えて、午後の授業が始まる前に後輩と一緒にやることが多かったです。
――高校最後の今季はどんな目標を掲げてスタートしましたか。
谷口 2024年は、2月の日本室内大阪大会U18(すでに優勝)、6月のU20日本選手権、8月のインターハイ、10月の国民スポーツ大会をすべて優勝して4冠を達成するという目標を立てました。U20世界選手権にも出場したいです。記録の面では、父が社会人の時に出した5m31を越えたいです。
――跳躍練習はどれくらいの頻度で行っていますか。
谷口 週2回ぐらいです。跳躍練習の日は気持ちがウキウキして、朝から「今日は良い跳躍をするぞ」と楽しみで仕方ないです。跳躍練習以外の日は走ったり、身体作りをしたりしています。
――谷口選手が思う棒高跳の魅力は。
谷口 棒1本だけで、自分の身長の何倍も高いバーを跳び越えた時の達成感です。
――ご自身の強みを教えてください。
谷口 助走はそれほど速くありませんが、身長が高いほうなのでポールの握りが上がって、筋力がなくてもポールが使えるところかなと。あとは入りの部分で、ポールを曲げて突っ込むまでの動作です。ただ、その部分はいつの間にか身についていた感じです。
――練習ではどんなことを意識していますか。
谷口 自分が前回の試合や練習で良くなかったところや、現在の課題の修正を意識しています。課題は空中動作でポールの反発をうまくもらえていないことで、握りだけで跳んでしまう感覚もあるので、ポールが曲がっているうちに、そのまま上方向に力を伝えられるように取り組んでいます。
余裕を感じた自己ベスト
――愛知県大会では25年ぶりに県高校記録を1cm更新する5m11を跳びました。 谷口 4月に腰を痛めてしまい、そこから記録があまり良くない試合が続きましたが、マッサージなどでケアに努め、比較的良い状態で臨めました。大会記録(5m01)はもちろん、県高校記録更新も狙っていたので、達成できて素直にうれしいです。 ――試合中、腰の状態はいかがでしたか。 谷口 不安はありましたが、朝からすごく走れていたので記録を狙って行けるなと、思いました。 ――県大会はどんなプランで臨み、実際計画通りにできましたか。 谷口 指導者の父(中京大中京高顧問の直土先生)と相談し、まずは東海大会の出場権を決めることを目指して4m60から開始しました。大会新となる5m02は、1回目に使った15.7フィート165ポンドのポールも、2回目の16フィート160ポンドのポールも柔らかい感覚があって失敗しましたが、3回目で硬い15.7フィート170ポンドを使ったら跳べました。5m11もそのままで、うまくアップライトも合って1回でクリアできました。 ――県高校記録の更新へ練習はいかがでしたか。 谷口 ダウンヒル(下り坂の助走路)で、6歩助走でも全助走の時と同じポールが使える移動式の器具があり、それでたくさん跳躍練習をしました。高い高さのゴムバーも跳べていたので、腰の状態さえ悪くなければ跳べるという自信はありました。 ――5m11を跳び、今までの高さと比べて、感覚や景色の違いを教えてください。 谷口 反発の乗り方が違うと感じましたし、空中での景色もまったく違いました。でも、5m11はまだ余裕がありました。その後、5m21はかみ合わずに跳べませんでしたが、まだまだ行けるはずという自信になりました。 ――それまでのベストは昨年のU18大会で跳んだ5m02でした。記録を9cm更新できた要因は。 谷口 昨年と変わったのは、助走のスピードが上がったことと筋力もついたことだと思います。冬季などは走り込みも多かったですし、身体作りもしたので確実にパワーアップしていると思います。 ――走り込みや身体作りは具体的にどんなことを取り組みましたか。 谷口 走り込みは練習でよく使っている競技場が1周300mしかなく、そこで300mのエンドレスリレーや200m、150m、150m×3をTT(タイムトライアル)でやったり、ちょっと長めの距離を走ったりしました。身体作りでは、ウエイトトレーニングこそあまりしませんが、鉄棒で懸垂をしたり、腕立て伏せをしたりと。鉄棒は昼食を早く終えて、午後の授業が始まる前に後輩と一緒にやることが多かったです。 ――高校最後の今季はどんな目標を掲げてスタートしましたか。 谷口 2024年は、2月の日本室内大阪大会U18(すでに優勝)、6月のU20日本選手権、8月のインターハイ、10月の国民スポーツ大会をすべて優勝して4冠を達成するという目標を立てました。U20世界選手権にも出場したいです。記録の面では、父が社会人の時に出した5m31を越えたいです。 ――跳躍練習はどれくらいの頻度で行っていますか。 谷口 週2回ぐらいです。跳躍練習の日は気持ちがウキウキして、朝から「今日は良い跳躍をするぞ」と楽しみで仕方ないです。跳躍練習以外の日は走ったり、身体作りをしたりしています。 ――谷口選手が思う棒高跳の魅力は。 谷口 棒1本だけで、自分の身長の何倍も高いバーを跳び越えた時の達成感です。 ――ご自身の強みを教えてください。 谷口 助走はそれほど速くありませんが、身長が高いほうなのでポールの握りが上がって、筋力がなくてもポールが使えるところかなと。あとは入りの部分で、ポールを曲げて突っ込むまでの動作です。ただ、その部分はいつの間にか身についていた感じです。 ――練習ではどんなことを意識していますか。 谷口 自分が前回の試合や練習で良くなかったところや、現在の課題の修正を意識しています。課題は空中動作でポールの反発をうまくもらえていないことで、握りだけで跳んでしまう感覚もあるので、ポールが曲がっているうちに、そのまま上方向に力を伝えられるように取り組んでいます。両親、兄もボウルター
――陸上を始めたきっかけを教えてください 谷口 父も母(智恵さん、1998年アジア選手権3位)も元棒高跳選手で、兄(柊斗/中京大3年)も棒高跳をしています。そのため、幼い頃から棒高跳が身近にありました。小学1年生で入った愛知ハイテクACという陸上クラブでは6年生まで短距離でしたが、中学生から本格的に棒高跳を始めました。 ――中学では陸上部に入部しましたか。 谷口 いえ、中学には陸上部がありませんでした。父が知り合いのイチゴ農園の方から余っている土地を借りて、マットを置いてピットを立てた練習場があり、そこで跳んでいました。また、中学1年の終わりからコロナ禍で休校となったので、その場所に行って本当にたくさん練習しました。 ――その頃からお父さんから指導を受けていたのですか。 谷口 父の指導もあまりなく、水曜日と土曜日はクラブチームで走り、あとは自主練習でした。たまに父と跳躍練習に行くか、中京大中京高校の練習に参加させてもらっていました。 ――棒高跳の技術は順調に身につきましたか。 谷口 最初は本当に難しくて、やっと「楽しいな」と思い始めたのが、中学2年の夏頃です。申込資格記録を突破して臨んだ2020年の全国中学生大会は「No Mark(記録なし)」。それが悔しくて、「来年は本当にがんばるぞ」と意識が変わりました。 ――中学3年の茨城全中では3位に入っています。 谷口 ランキング的にも高いほうではなかったので、全国大会で入賞し、しかもメダルも取れてうれしかったはずです。ただ、優勝した選手が飛び抜けてすごかったので、「高校では絶対に勝ってやるぞ」という思いはありました。 ――中京大中京高に進んだ理由を教えてください。 谷口 兄が行っていた影響が一番大きいです。兄あってこその自分だと思っています。また、いろいろな種目で日本一をバンバン取っている中京大中京で、自分もインターハイで優勝するという思いで入りました。 ――指導者がお父さんというのはいかがですか。 谷口 やりづらさはなく、むしろやりやすいです。 ――あこがれの選手はいますか。 谷口 澤野大地さんは昔から見てきましたし、同じ愛知県出身の山本聖途さん(トヨタ自動車)や石川拓磨さん(東京海上日動CS)とは、関わりがあって気にかけてくれる方たちで、みんなあこがれです。 ――ライバルとして意識している選手は。 谷口 結城咲翔君(宮崎一3、自己ベスト5m00)は中学の頃から切磋琢磨していて、大きい大会でしか会えませんが、仲も良くて良いライバルです。 [caption id="attachment_136875" align="alignnone" width="800"] 昨年のU18大会で優勝を遂げた谷口選手[/caption] ――競技を続けていく中で、うまくいかない時はどう考えていますか。 谷口 「努力し続けたら結果はついてくる」。そう信じて気持ちをポジティブに持つようにしています。あとは中京大中京には競技力の高い仲間がいるので、苦しい時にフォローし合っています。 ――高校卒業後についてどう考えていますか。 谷口 地元への大学進学を考えていて、棒高跳をがんばります。低学年のうちからインカレ優勝を狙って、チームに貢献したい思いがあります。 ――競技以外で学校生活はいかがですか。 谷口 すごく充実しています。同じクラスには競泳男子800mリレーのパリ五輪代表に選ばれた村佐達也選手や、スノーボードのプロ選手がいて、自分もがんばろうという刺激をもらっています。 ――授業について好きな教科を教えてください。 谷口 体育は昔から好きですが、勉強はあまり得意ではありません。でも、集中することは競技にもつながると思うので、授業はしっかり受けています。 ――練習が休みの日はどのように過ごしていますか。 谷口 自宅でずっと寝ていることが多いです。友達と遊びに行きたい気持ちもありますが、遊ぶと次の日からの練習がすごく疲れるので、遊びたい気持ちは抑えています。 ――選手として、また競技以外での将来的な目標や夢はありますか。 谷口 選手としては国際大会にたくさん出場して、2028年のロサンゼルス五輪に出られたら最高です。競技以外のことはまだ考えていなくて、大学で将来やりたいことを見つけられたらなと。陸上の指導者は自分に務まるかなという思いがありますが、やってみたい気持ちも少しあります。 構成/小野哲史谷口海斗 PROFILE
◎たにぐち・かいと/2007年2月23日生まれ。愛知県出身。猿投中(愛知)―中京大中京高。小1から陸上を始め、7歳だった2014年3月の中京大室内棒高跳競技会では1m41の記録を残している。中学は2年時に20年全国中学生大会に出場。3年時は21年全中3位のほか、U16大会でも3位タイの成績を残した。高1シーズンはインターハイこそ記録なしだったが、U16大会を4m71の大会新V。高2の昨年はインターハイで4位に入ると、国体少年Aは3位タイ、U18大会では優勝した。自己ベストは5m11(24年) [caption id="attachment_136876" align="alignnone" width="800"] 高校ラストシーズンでさらなる飛躍を期す谷口選手[/caption]
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