◇第104回日本選手権(10月1日~3日/新潟・デンカビッグスワンスタジアム)2日目
日本選手権の2日目、最終種目の男子100mは、桐生祥秀(日本生命)が10秒27(-0.2)をマークし、6年ぶりの優勝を果たした。
久しぶりの頂点に一本指を掲げた。役者がそろった男子100m。スタートから飛び出した多田修平(住友電工)を左前に見ながら、桐生祥秀がグングンとスピードを上げる。「多田君がスタートで速いのは想定内」。今季は「中盤から終盤にかけてフォームが乱れないので焦ることはなかった」と中盤でとらえる。最後は多田、小池祐貴(住友電工)の向こう側にいたケンブリッジ飛鳥(Nike)とまたも一騎打ち。最後は0.01秒抑え、6年ぶりとなる“最速”の座に就いた。
「最近、勝てていなかったのでうれしいですが、タイムが良くなかった」と桐生。毎年のように優勝候補に名が挙がり「土江(寛裕)コーチやシゲさん(小島茂之)、(トレーナーの)後藤(勤)さんがドキドキしていたと思います。メダルを渡したい」と“チーム桐生”への感謝の思いを述べる。
勝ち切れたのはプロとしての自覚。コロナ禍にあって「陸上で生活をしていく。桐生祥秀という名を広めたい。そうした中で甘えがないシーズンを過ごせた」と振り返る。自分自身が「プロとしてどれだけ価値があるのか」。だからこそ、勝ちにこだわった。
「来年の日本選手権は速さと強さを兼ね備えた選手になって戻ってきたい」
東京五輪に向けて、“プロスプリンター・桐生祥秀”はさらに加速する。
4年ぶり優勝を狙ったケンブリッジは2位。「周りは気にせずいけたが、自分の走りができなかった」と悔やみ、最後は「微妙に負けたかなと思った」という。それでも久しぶりの優勝争いに、「表彰台に立てて良かった、と本当に思っています」と充実の表情を浮かべた。
小池は10秒30で3位。「1位かそれ以外かという感じで突っ込んだのですが、最初によろけて、そのまま」と振り返る。「身体が動いている感じはあるので、200mもまた集中できれば」と次に備える。ラスト追い込んだ飯塚翔太(ミズノ)が4位。好スタートを切った多田は「桐生さんを意識して自分の走りに集中できなかった」と悔しい5位にとどまった。
■男子100m
男子100m(-0.2)
桐生祥秀(日本生命)10.27
ケンブリッジ飛鳥(Nike)10.28
小池祐貴(住友電工)10.30
飯塚翔太(ミズノ)10.33
多田修平(住友電工)10.34
鈴木涼太(城西大)10.41
栁田大輝(東農大二高)10.43
竹田一平(スズキAC)10.52
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