2024.04.30
◇第58回織田幹雄記念(4月29日/ホットスタッフフィールド広島)
日本グランプリG1の織田記念が行われた。ほぼ終日、冷たい雨の降る天候となったが、パリ五輪を目指す選手がまずまずのパフォーマンスを発揮する見ごたえのある大会となった。
この日、スタンドが沸かせたうちの1人が男子三段跳の安立雄斗(福岡大院)だった。地元・広島市出身の大学院2年生は、1回目に16m26(+0.1)と2年ぶりの16mジャンプを披露。ただ、2回目以降は記録を伸ばせず、韓国から出場していた2人に抜かれて3位で最終試技を迎えていた。
追い詰められた状況ではあったものの、最後は力強い踏み切りからのビッグジャンプ。16m46(+0.2)はトップに立つだけでなく、22年に出した自己記録(16m31)をも大きく上回る跳躍となった。「コンディションの悪い中、自己ベストを15cm更新できたのは自信になります」と会心のジャンプを振り返った安立。「昨年の日本インカレ後に踏み切り脚の(左)足首を手術して痛みがなくなり、思い切って走れるようにったことが大きい。日本選手権に向け、ここからさらに調子を上げていきたい」とさらなる躍進を誓った。
有力選手が集まった男女ショートハードル(110mハードル、100mハードル)。男子は社会人1年目の村竹ラシッド(JAL)が13秒29(-0.6)で快勝。女子は前回覇者の田中佑美(富士通)が13秒00(-0.1)で、日本記録保持者の福部真子(日本建設工業)らを抑え連覇を果たした。
前回大会で脚を痛め途中棄権している村竹は、今回もフィニッシュ後に転倒し周囲をヒヤヒヤさせたが、「思ったよりスピードが出て転倒してしまいました」と苦笑い。それでも、「スタートから1台目の入りもしっかり刻めるようになった」と順調な滑り出しを見せた。女子の田中も、「課題のスタートで遅れず、前半からリズムよく行けた」と、昨年初めて12秒台をマークした大会で幸先のよいスタートを切った。
男子3000m障害には、昨年の世界選手権で6位入賞を果たしている三浦龍司(SUBARU)が登場。ここで8分15秒00のパリ五輪参加標準を突破すれば五輪代表に内定だったが、8分22秒07に留まり次戦以降に持ち越し。「雨に加え、今季障害初戦ということもあって少し緊張しました。それでも初戦としては及第点です」と安堵の表情を見せる。
女子の1500mでは、木村友香(積水化学)が4分10秒75の大会新記録でV。66秒を要したラスト1周でのスピードを課題に挙げ、「前半からリラックスして行けるようなったので、後半、もう少し切り替えが効くようになれば4分07~08秒台は出せる感覚はあります」と、1500mで五輪を目指す意向を示した。男子は後半追い上げた館澤亨次(DeNA)が3戦連続の3分40秒切りとなる3分39秒55で日本人最上位となる2位。「アベレージはアップしているので、日本選手権までに自己ベスト(3分38秒35)を更新し、日本選手権で日本記録(3分35秒42)を狙いたい」と力を込めた。
北口榛花(JAL)を除く60mスローワーが集結した女子やり投は、5投目に59m06を投げた武本紗栄(Team SSP)が逆転でグランプリ初V。ブタペスト世界選手権代表の上田百寧(ゼンリン)、斉藤真理菜(スズキ)が58m68、57で続いた。昨シーズンはベストが57m台に終わっていた武本は「久しぶりに59m台が投げられ、冬季から取り組んできた身体作りの成果を出せた」と喜んだ。同じくブタペスト代表組が揃った男子やり投は、小椋健司(エイジェック)が79m72で優勝。代表組を抑え長沼元(スズキ)が31cm差で2位。3、4位に﨑山雄太(愛媛県競技力向上対策本部)、ディーン元気(ミズノ)が続いた。
女子三段跳は、学生記録を持つ船田茜理(武庫女大院)が6回目に今季初の13mオーバーとなる13m53(-0.2)をマークし優勝。「走力がアップしているので、それをいかした跳躍をして14m台を早く跳べるようにしたい」と笑顔で話した。女子5000mは3000mの通過が9分ちょうどとハイラップを刻むなか、終盤やや離れたものの樺沢和佳奈(三井住友海上)が15分25秒30で日本人トップの2位と健闘した。
大会最終種目となった男子5000mは、ラスト1周を57秒台でまとめた吉居駿恭(中大)が自己ベストに約2秒と迫る13分24秒06で実業団勢を抑え優勝を飾った。吉居は「いい流れだったのでベストを更新できれば良かったですが、タイム的には及第点。パリ五輪を目標にしているので、ここからさらに調子を上げていきたい」と力強く話した。
男子の100mは予選で多田修平(住友電工)が右脚を痛め途中棄権。地元期待の山縣亮太(セイコー)も出力が上がらずB決勝を棄権。主軸が不在となるなか、守祐陽(大東大)が10秒26(+0.7)でV、女子の100mは石川優が11秒77(±0)で2位に入ったのが最高だった。
文/花木 雫
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.17
不破聖衣来が香港で10kmレースに出場 9位でフィニッシュ
2024.11.20
【箱根駅伝2025名鑑】早稲田大学
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
-
2024.11.20
2024.11.01
吉田圭太が住友電工を退部 「充実した陸上人生を歩んでいきたい」競技は継続
2024.11.07
アシックスから軽量で反発性に優れたランニングシューズ「NOVABLAST 5」が登場!
-
2024.10.27
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.11.22
田中希実が来季『グランドスラム・トラック』参戦決定!マイケル・ジョンソン氏が新設
来春、開幕する陸上リーグ「グランドスラム・トラック」の“レーサー”として、女子中長距離の田中希実(New Balance)が契約したと発表された。 同大会は1990年代から2000年代に男子短距離で活躍したマイケル・ジョ […]
2024.11.21
早大競走部駅伝部門が麹を活用した食品・飲料を手がける「MURO」とスポンサー契約締結
11月21日、株式会社コラゾンは同社が展開する麹専門ブランド「MURO」を通じて、早大競走部駅伝部とスポンサー契約を結んだことを発表した。 コラゾン社は「MURO」の商品である「KOJI DRINK A」および「KOJI […]
2024.11.21
立迫志穂が調整不良のため欠場/防府読売マラソン
第55回防府読売マラソン大会事務局は、女子招待選手の立迫志穂(天満屋)が欠場すると発表した。調整不良のためとしている。 立迫は今年2月の全日本実業団ハーフマラソンで1時間11分16秒の11位。7月には5000m(15分3 […]
2024.11.20
M&Aベストパートナーズに中大・山平怜生、城西大・栗原直央、國學院大・板垣俊佑が内定!神野「チーム一丸」
神野大地が選手兼監督を務めるM&Aベストパートナーズが来春入社選手として、中大・山平怜生、國學院大・板垣俊佑、城西大・栗原直央の3人が内定した。神野が自身のSNSで内定式の様子を伝えている。 山平は宮城・仙台育英 […]
2024.11.20
第101回(2025年)箱根駅伝 出場チーム選手名鑑
・候補選手は各チームが選出 ・情報は11月20日時点、チーム提供および編集部把握の公認記録を掲載 ・選手名の一部漢字で対応外のものは新字で掲載しています ・過去箱根駅伝成績で関東学生連合での出場選手は相当順位を掲載 ・一 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会