2024.04.26
「3Dの動き」と「メトロノーム」でリズムを意識
日本スプリント界の“リーダー”飯塚翔太(ミズノ)が、2024年シーズンの本格スタートを前に、充実の表情で手応えを語る。
「練習はずっと良い感じで、ケガもなく来られていたので、今はとても良い状態です。短い距離でスピードを上げられるようになってきて、逆に200mの前半にスピードを上げ過ぎてしまう傾向が出始めているので、そこをうまく200mの走りにしていかないといけないと考えています」
2度の中大記録会で試運転。3月10日は100mを10秒58(-1.7)、200mを20秒93(+1.3)で走り、2週間後は100m10秒39(+1.0)、200m20秒81(+1.9)と、肌寒いコンディションの中で着実にタイムを短縮した。
4月7日の岩壁杯対抗オープン200mでは20秒48(+1.1)をマークする。これで、12年から13年連続での20秒5切りを達成。そして、今季の公式戦初戦となった4月13日、14日の出雲陸上100mに10秒30(+0.1)で快勝した。
冬季は、「“3D”のように全身を使って走れるようにすることと、200mの前半のリズムの作り方を意識してきた」と言う。3Dの動きについて、飯塚はこう補足する。
「例えば肩甲骨は8の字になるような、競歩に近い動きができると全身が使えます。トップ選手は右足を接地した時、その真上に頭が来て、右肩は落ちる。ボクシングでパンチを出す瞬間や野球でボールを投げる時も同じで、力を発揮するにはそうした3D的な動きが必要だな、と。ただ、走る時にこうやって動かそうと考えながらやっても再現性が低い。走る以外の筋力トレーニングやドリルで、常に意識しながら取り組んできました」
その精度は「9割近くまで上がっています」と胸を張る。
リズムの作り方については、「余力を残しながらも、前半80mでどこまで回転数を上げられるか」を課題とし、スマートフォンのメトロノームを活用している。
「スタート近くに置いて、スマホのスピーカーから聞こえるようにして走ります。タッタッタッタッ……という音が一番わかりやすい。僕は今、200mでは(1分間に)240ぐらいのピッチで刻んでいますが、これを250にしたほうがいいのか、245がいいのか、微妙な加減を模索中です」
そうしたトレーニングの模様を楽しそうに話す飯塚には、近頃、頼もしいパートナーが新たに加わった。所属するミズノから6月に新発売するスパイク「クロノインクスネオジャパン」だ。同社が1997年から展開してきたトップモデルのスプリントスパイク「クロノインクス」シリーズの最新版。飯塚が自身の感覚を伝え、開発担当とともに約2年半かけて作り上げた同シリーズ初の厚底・高反発モデルとなっている。
「スタートではクロノインクスならではのクリップと、地面の感触がすごく感じやすいイメージで踏み出せます。中間から後半にかけては高反発ミッドソールの『つぶれて戻る』反発性があるので、トップスピードを維持しやすい。厚底ですが、安定感にも優れています」
「3Dの動き」と「メトロノーム」でリズムを意識
日本スプリント界の“リーダー”飯塚翔太(ミズノ)が、2024年シーズンの本格スタートを前に、充実の表情で手応えを語る。 「練習はずっと良い感じで、ケガもなく来られていたので、今はとても良い状態です。短い距離でスピードを上げられるようになってきて、逆に200mの前半にスピードを上げ過ぎてしまう傾向が出始めているので、そこをうまく200mの走りにしていかないといけないと考えています」 2度の中大記録会で試運転。3月10日は100mを10秒58(-1.7)、200mを20秒93(+1.3)で走り、2週間後は100m10秒39(+1.0)、200m20秒81(+1.9)と、肌寒いコンディションの中で着実にタイムを短縮した。 4月7日の岩壁杯対抗オープン200mでは20秒48(+1.1)をマークする。これで、12年から13年連続での20秒5切りを達成。そして、今季の公式戦初戦となった4月13日、14日の出雲陸上100mに10秒30(+0.1)で快勝した。 冬季は、「“3D”のように全身を使って走れるようにすることと、200mの前半のリズムの作り方を意識してきた」と言う。3Dの動きについて、飯塚はこう補足する。 「例えば肩甲骨は8の字になるような、競歩に近い動きができると全身が使えます。トップ選手は右足を接地した時、その真上に頭が来て、右肩は落ちる。ボクシングでパンチを出す瞬間や野球でボールを投げる時も同じで、力を発揮するにはそうした3D的な動きが必要だな、と。ただ、走る時にこうやって動かそうと考えながらやっても再現性が低い。走る以外の筋力トレーニングやドリルで、常に意識しながら取り組んできました」 その精度は「9割近くまで上がっています」と胸を張る。 リズムの作り方については、「余力を残しながらも、前半80mでどこまで回転数を上げられるか」を課題とし、スマートフォンのメトロノームを活用している。 「スタート近くに置いて、スマホのスピーカーから聞こえるようにして走ります。タッタッタッタッ……という音が一番わかりやすい。僕は今、200mでは(1分間に)240ぐらいのピッチで刻んでいますが、これを250にしたほうがいいのか、245がいいのか、微妙な加減を模索中です」 そうしたトレーニングの模様を楽しそうに話す飯塚には、近頃、頼もしいパートナーが新たに加わった。所属するミズノから6月に新発売するスパイク「クロノインクスネオジャパン」だ。同社が1997年から展開してきたトップモデルのスプリントスパイク「クロノインクス」シリーズの最新版。飯塚が自身の感覚を伝え、開発担当とともに約2年半かけて作り上げた同シリーズ初の厚底・高反発モデルとなっている。 「スタートではクロノインクスならではのクリップと、地面の感触がすごく感じやすいイメージで踏み出せます。中間から後半にかけては高反発ミッドソールの『つぶれて戻る』反発性があるので、トップスピードを維持しやすい。厚底ですが、安定感にも優れています」日本男子スプリント最多タイの4大会連続五輪に挑戦
2012年ロンドンから3大会連続で五輪に出場中。16年のリオ五輪では男子4×100mリレーで銀メダルを獲得した。4大会連続となれば、日本男子スプリントでは朝原宣治(96年北京、00年シドニー、04年アテネ、08年北京)以来2人目の快挙となる。 飯塚にとって五輪とは、「楽しい。雰囲気は最高」という思いが真っ先に頭に浮かぶ、自身の原動力になっている舞台だ。 「いろいろな競技の選手たちが集まって、他の競技も応援できる。それは世界陸上では味わえないですし、一番上のレベルではオリンピックしかない。あの雰囲気の盛り上がり方はすごく楽しいです」 ただ、自身が出場した過去3大会は、リレーでは結果を残せたものの、200mで出場した個人種目はいずれも予選落ち。「決勝の舞台に立ったらどうだろう。どんな雰囲気で走れるだろう」という考えがよぎることもあるという。 21年の東京五輪で悔しい結果に終わったあと、「まずは明日とか、来年に向けて」と一歩ずつ積み重ねた先に、昨年のブダペスト世界陸上で5大会連続出場・4度目となる準決勝進出へとたどりついた。それ以降は、「次はパリだ」と視線を向けている。 5月3日の静岡国際で200mの本格初戦。その後はセイコーゴールデングランプリを経て、6月の日本選手権を迎える。パリ五輪の代表選考を兼ねる大一番の日本選手権を「ここ何年かは悔しい思いをしているので、優勝してリベンジしたいです」と意気込む飯塚。若手選手が台頭している状況には、「いいですねぇ。刺激をもらえます」と目を輝かせた。 「パリ五輪でも活躍したいです」と力を込める飯塚のチャレンジは、ここからますますヒートアップしていく。RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.04.16
上海ハーフに前回8位の太田蒼生、國學院大・上原琉翔、青学大の黒田然らエントリー
-
2025.04.15
-
2025.04.14
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.12
-
2025.04.13
2025.04.12
3位の吉居大和は涙「想像していなかったくらい悔しい」/日本選手権10000m
-
2025.03.23
-
2025.04.01
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.04.16
上海ハーフに前回8位の太田蒼生、國學院大・上原琉翔、青学大の黒田然らエントリー
4月20日に行われる上海ハーフマラソン(4月20日)のエントリーが発表されており、プロランナーとなった青学大卒の太田蒼生(GMOインターネットグループ)が登録した。太田は青学大時代、4年連続で箱根駅伝に出走。3年時は3区 […]
2025.04.16
ダイヤモンドリーグ第1戦厦門に110mH泉谷駿介と村竹ラシッドが登録!サニブラウン、三浦龍司、豊田兼もエントリー
世界最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)第1戦となる厦門大会(中国/4月26日)のエントリーリストが発表された。 男子110mハードルには、ブダペスト世界選手権5位の泉谷駿介(住友電工)と、パリ五輪5位の村竹ラシッド(JA […]
2025.04.16
人間スポーツ科学科を持つ公立高校が「O2Room®」を導入、スポーツコンディショニングの授業に活用
全国区で活躍する部活動もサポート 2016年に創立100周年を迎えた大阪の伝統校でもある府立桜宮高等学校。1980年にこれまでの普通科に加え大阪府内では初めてとなる体育科を新設し、さらに1999年にはスポーツ健康科学科を […]
2025.04.16
「Tokyo:Speed:Race」に太田智樹、近藤亮太、前田穂南、小林香菜らがエントリー! 海外トップ選手も参加 5月3日に神宮外苑で開催
アシックスは4月16日、さまざまなレベルのランナーが自己ベスト更新に挑戦できるレースイベント「Tokyo:Speed:Race」(5月3日)に出場するエリート選手のメンバーを発表した。 同大会はロードレースでは初となるペ […]
Latest Issue
最新号

2025年4月号 (3月14日発売)
東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL)
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)