2024.03.25
高校時代に持ち前のスピードが開花
福岡県出身の山本は小学校2年時、兄が入会していたクラブチーム(苅田与原RC)で競技を開始。陸上部に入部した新津中時代は全国大会に出場できなかったものの、「楽しくやっていました」と、伸び伸びと競技を続けるなかでタイムを短縮していった。
中学卒業後は、「強い先輩がいたので、もっと強くなれるんじゃないか」という期待を込めて、自由ケ丘高に進学。通学に時間がかかったこともあり、朝は4時半起きで5時13分の始発電車に乗って、帰宅は20時半~21時頃。「とにかく生活サイクルがきつかったです」と振り返るほどハードな日々を過ごした。
練習量が増えて故障もしたが、もともとあったスピードが持久系のトレーニングをしたことで生かされ、才能を開花させていく。
2年時には1500mでインターハイの決勝に進出(16位)すると、初出場した全国高校駅伝で8位入賞(山本は1区で区間23位)。3年時はコロナ禍でインターハイは開催されなかったが、11月に5000mで13分48秒89をマークした。
「中学時代は全国大会に行けなかったので、インターハイを決めた2年時の北九州大会が一番うれしかったですね。しかも1500mでインターハイの決勝に進出できると思っていなかったです。3年時はコロナ禍であまり試合に出場できませんでしたが、5000mの13分48秒は自分でも結構出せたと思いましたし、周囲からも『すごい』と言われてウキウキしました」
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2019年全国高校駅伝で1区を務めた自由ケ丘高2年時の山本歩夢
高校時代に全国トップクラスのタイムを叩き出した山本。2年時だった2019年度、國學院大の“躍進”を目の当たりにして心を奪われた。
「進路で迷っていたのですが、2019年の出雲駅伝6区で土方英和さん(現・旭化成)が駒大を逆転したシーンと、同じ年度の箱根駅伝1区で当時2年生だった藤木宏太さん(現・旭化成)がラスト3kmで一気に前に出た走りが印象が強烈でした。勢いのある大学で、箱根駅伝でまだ優勝していない。自分たちの力で初優勝したいなと思ったんです」
進学した國學院大で出会ったのが平林清澄だ。入学早々10000mで28分38秒26をマークして、出雲駅伝でアンカーに抜擢された同学年のライバルに大きな刺激を受けた。
「平林は練習で無類の強さを誇っていましたし、何よりも楽しそうに走るんですよ。自分はそういう選手に会ったことがなかったので、驚きましたね。僕も楽しまなきゃ強くなれないんだという気持ちになったんです。きつい練習のときも、こんな練習ができるんだ、とポジティブに思えるようになりました」
山本は入学してすぐに故障して、夏にも故障があった。上半期はうまくかみ合わず、出雲と全日本は出番が回ってこなかった。それでも10月から徐々に調子を上げると、箱根駅伝は3区を区間5位(1時間1分59秒)と快走。10位から4位に順位を押し上げた。
さらに2月の全日本実業団ハーフマラソンで日本人学生歴代2位タイ(当時)の1時間0分43秒をマークして、周囲を驚かせた。
その後は、國學院大の主軸の1人として活躍。2年時は出雲駅伝2区(区間6位=区間新)で7位から5位に浮上すると、全日本大学駅伝では2区(区間7位)で10人抜きを披露。両駅伝でチームの準優勝に大きく貢献した。箱根も3区を区間5位と好走して、順位を6位から4位に上げている。
3年時は7月に5000mで13分34秒85の國學院大記録を樹立すると、10000mでも28分16秒92の自己ベストをマークしたが、8月後半に左脛の疲労骨折が判明。出雲は4区を区間6位でまとめたが、全日本は2区で区間11位と苦戦した。さらに箱根を欠場することなり、駅伝シーズンは不完全燃焼に終わった。
3度目の箱根駅伝はケガで給水係に
國學院大の山本歩夢(3年)は今年の箱根駅伝を複雑な思いで迎えていた。 昨年11月後半に右脚大腿骨を疲労骨折。12月中旬に練習復帰したが、すぐに痛みが再発した。その結果、箱根駅伝の出場は見送られ、サポートに回ることになったのだ。 「大学に入学して自分が走らない箱根駅伝は初めてだったので、悔しさもあり、今のチームがどこまでいけるのかという楽しみもあったんです」 チームは12月中旬に登録メンバー16人中10人がインフルエンザに感染し、危機的な状況だった。 山本は祈る思いで、1月2日は寮で待機。翌日は9区・吉田蔵之介(1年)の給水を担当すると、フィニッシュの大手町に向かった。 「1、2年時にも3区を走った翌日に給水をした経験があり、すごく楽しかったのですが、今年は給水だけ。悔しさもありましたが、復路は1、2年生しかいなかったので、下級生が力を出せるように、自分ができることは何なのかを考えながら動いていました」 チーム一丸となって正月決戦を乗り切り、國學院大は総合5位でフィニッシュ。当初は「てっぺん」を目指していただけに100%納得のいく結果ではないものの、最後は意地を見せた。 もし、ハーフマラソンで学生歴代4位タイのタイムを持つ山本が万全な状態だったら、今年の箱根駅伝はどうなっていたのだろうか。大学入学時に描いた“夢”の達成は、次回の101回大会に持ち越されることになった。高校時代に持ち前のスピードが開花
福岡県出身の山本は小学校2年時、兄が入会していたクラブチーム(苅田与原RC)で競技を開始。陸上部に入部した新津中時代は全国大会に出場できなかったものの、「楽しくやっていました」と、伸び伸びと競技を続けるなかでタイムを短縮していった。 中学卒業後は、「強い先輩がいたので、もっと強くなれるんじゃないか」という期待を込めて、自由ケ丘高に進学。通学に時間がかかったこともあり、朝は4時半起きで5時13分の始発電車に乗って、帰宅は20時半~21時頃。「とにかく生活サイクルがきつかったです」と振り返るほどハードな日々を過ごした。 練習量が増えて故障もしたが、もともとあったスピードが持久系のトレーニングをしたことで生かされ、才能を開花させていく。 2年時には1500mでインターハイの決勝に進出(16位)すると、初出場した全国高校駅伝で8位入賞(山本は1区で区間23位)。3年時はコロナ禍でインターハイは開催されなかったが、11月に5000mで13分48秒89をマークした。 「中学時代は全国大会に行けなかったので、インターハイを決めた2年時の北九州大会が一番うれしかったですね。しかも1500mでインターハイの決勝に進出できると思っていなかったです。3年時はコロナ禍であまり試合に出場できませんでしたが、5000mの13分48秒は自分でも結構出せたと思いましたし、周囲からも『すごい』と言われてウキウキしました」 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"]
チーム内のライバル・平林清澄の快走を刺激に
新チームでは前年度に続いて、副将を務めることになり、主将の平林とともにチームを引っ張っている。1月中旬からトレーニングを再開。トラックシーズンから入っていけるように、徐々に練習強度を上げているという。 その中で、平林が2月下旬の大阪マラソンで日本歴代7位、初マラソン日本最高、学生新の2時間6分18秒で優勝したことが、山本のハートに火をつけた。 「練習を見ていても『すごい記録が出るだろうな』と感じていました。これまでの平林の努力がすべて出て、本当に素晴らしかったですね。尊敬に値する走りだと思います。レース中は応援していましたが、一方でフィニッシュ後は『ちょっと離されてしまったな』と感じた部分もありました」 悔しさもあったが、平林から「次はお前の番だぞ」と声をかけられ、「絶対にやってやる」という気持ちが高まっている。 「本当にやる気がでましたね。学生最後のシーズンで悔いは残したくありません。3年時は故障で苦しんだので、故障ゼロで練習を継続することを第一に考えています。5000mは13分25秒、10000mは27分40秒を切って、自分が國學院大のスピードエースだということをトラックシーズンで証明したいです。 三大駅伝はスピード特化型で、出雲と全日本は2区、箱根は3区でアドバンテージを残せる走りをして、優勝に貢献したいです」 大阪マラソンの平林に続いて、3月10日の日本学生ハーフマラソンでは青木瑠郁(2年)が優勝。上昇ムードの國學院大が誇る“もうひとりのエース”が、チームに新たなタイトルをもたらすつもりだ。 [caption id="attachment_131365" align="alignnone" width="800"]
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