2024.03.25
学生長距離Close-upインタビュー
山本歩夢 Yamamoto Ayumu 國學院大學3年
「月陸Online」限定で大学長距離選手のインタビューをお届けする「学生長距離Close-upインタビュー」。37回目は、國学院大の山本歩夢(3年)をピックアップする。
1年時にハーフマラソンで当時日本人学生歴代2位タイの1時間0分43秒をマークした逸材。5000mの13分34秒85とともに2種目で國学院大記録を保持するエース候補だが、3年時はケガで思うようなシーズンを過ごせなかった。
いよいよ迎える学生最終シーズンを前に、これまでの歩みと今後の意気込みを語った。
3度目の箱根駅伝はケガで給水係に
國學院大の山本歩夢(3年)は今年の箱根駅伝を複雑な思いで迎えていた。
昨年11月後半に右脚大腿骨を疲労骨折。12月中旬に練習復帰したが、すぐに痛みが再発した。その結果、箱根駅伝の出場は見送られ、サポートに回ることになったのだ。
「大学に入学して自分が走らない箱根駅伝は初めてだったので、悔しさもあり、今のチームがどこまでいけるのかという楽しみもあったんです」
チームは12月中旬に登録メンバー16人中10人がインフルエンザに感染し、危機的な状況だった。
山本は祈る思いで、1月2日は寮で待機。翌日は9区・吉田蔵之介(1年)の給水を担当すると、フィニッシュの大手町に向かった。
「1、2年時にも3区を走った翌日に給水をした経験があり、すごく楽しかったのですが、今年は給水だけ。悔しさもありましたが、復路は1、2年生しかいなかったので、下級生が力を出せるように、自分ができることは何なのかを考えながら動いていました」
チーム一丸となって正月決戦を乗り切り、國學院大は総合5位でフィニッシュ。当初は「てっぺん」を目指していただけに100%納得のいく結果ではないものの、最後は意地を見せた。
もし、ハーフマラソンで学生歴代4位タイのタイムを持つ山本が万全な状態だったら、今年の箱根駅伝はどうなっていたのだろうか。大学入学時に描いた“夢”の達成は、次回の101回大会に持ち越されることになった。
3度目の箱根駅伝はケガで給水係に
國學院大の山本歩夢(3年)は今年の箱根駅伝を複雑な思いで迎えていた。 昨年11月後半に右脚大腿骨を疲労骨折。12月中旬に練習復帰したが、すぐに痛みが再発した。その結果、箱根駅伝の出場は見送られ、サポートに回ることになったのだ。 「大学に入学して自分が走らない箱根駅伝は初めてだったので、悔しさもあり、今のチームがどこまでいけるのかという楽しみもあったんです」 チームは12月中旬に登録メンバー16人中10人がインフルエンザに感染し、危機的な状況だった。 山本は祈る思いで、1月2日は寮で待機。翌日は9区・吉田蔵之介(1年)の給水を担当すると、フィニッシュの大手町に向かった。 「1、2年時にも3区を走った翌日に給水をした経験があり、すごく楽しかったのですが、今年は給水だけ。悔しさもありましたが、復路は1、2年生しかいなかったので、下級生が力を出せるように、自分ができることは何なのかを考えながら動いていました」 チーム一丸となって正月決戦を乗り切り、國學院大は総合5位でフィニッシュ。当初は「てっぺん」を目指していただけに100%納得のいく結果ではないものの、最後は意地を見せた。 もし、ハーフマラソンで学生歴代4位タイのタイムを持つ山本が万全な状態だったら、今年の箱根駅伝はどうなっていたのだろうか。大学入学時に描いた“夢”の達成は、次回の101回大会に持ち越されることになった。高校時代に持ち前のスピードが開花
福岡県出身の山本は小学校2年時、兄が入会していたクラブチーム(苅田与原RC)で競技を開始。陸上部に入部した新津中時代は全国大会に出場できなかったものの、「楽しくやっていました」と、伸び伸びと競技を続けるなかでタイムを短縮していった。 中学卒業後は、「強い先輩がいたので、もっと強くなれるんじゃないか」という期待を込めて、自由ケ丘高に進学。通学に時間がかかったこともあり、朝は4時半起きで5時13分の始発電車に乗って、帰宅は20時半~21時頃。「とにかく生活サイクルがきつかったです」と振り返るほどハードな日々を過ごした。 練習量が増えて故障もしたが、もともとあったスピードが持久系のトレーニングをしたことで生かされ、才能を開花させていく。 2年時には1500mでインターハイの決勝に進出(16位)すると、初出場した全国高校駅伝で8位入賞(山本は1区で区間23位)。3年時はコロナ禍でインターハイは開催されなかったが、11月に5000mで13分48秒89をマークした。 「中学時代は全国大会に行けなかったので、インターハイを決めた2年時の北九州大会が一番うれしかったですね。しかも1500mでインターハイの決勝に進出できると思っていなかったです。3年時はコロナ禍であまり試合に出場できませんでしたが、5000mの13分48秒は自分でも結構出せたと思いましたし、周囲からも『すごい』と言われてウキウキしました」 [caption id="attachment_131366" align="alignnone" width="800"]
チーム内のライバル・平林清澄の快走を刺激に
新チームでは前年度に続いて、副将を務めることになり、主将の平林とともにチームを引っ張っている。1月中旬からトレーニングを再開。トラックシーズンから入っていけるように、徐々に練習強度を上げているという。 その中で、平林が2月下旬の大阪マラソンで日本歴代7位、初マラソン日本最高、学生新の2時間6分18秒で優勝したことが、山本のハートに火をつけた。 「練習を見ていても『すごい記録が出るだろうな』と感じていました。これまでの平林の努力がすべて出て、本当に素晴らしかったですね。尊敬に値する走りだと思います。レース中は応援していましたが、一方でフィニッシュ後は『ちょっと離されてしまったな』と感じた部分もありました」 悔しさもあったが、平林から「次はお前の番だぞ」と声をかけられ、「絶対にやってやる」という気持ちが高まっている。 「本当にやる気がでましたね。学生最後のシーズンで悔いは残したくありません。3年時は故障で苦しんだので、故障ゼロで練習を継続することを第一に考えています。5000mは13分25秒、10000mは27分40秒を切って、自分が國學院大のスピードエースだということをトラックシーズンで証明したいです。 三大駅伝はスピード特化型で、出雲と全日本は2区、箱根は3区でアドバンテージを残せる走りをして、優勝に貢献したいです」 大阪マラソンの平林に続いて、3月10日の日本学生ハーフマラソンでは青木瑠郁(2年)が優勝。上昇ムードの國學院大が誇る“もうひとりのエース”が、チームに新たなタイトルをもたらすつもりだ。 [caption id="attachment_131365" align="alignnone" width="800"]
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