2024.02.02
卒業後はSUBARUへ「マラソンで世界を目指したい」
並木は横浜市出身。コース近くに自宅がある2区は地元ともいえる場所だ。
6月の全日本大学駅伝選考会で10000m28分03秒、箱根駅伝予選会(ハーフマラソン)で1時間1分42秒と、ともにU20日本歴代2位の好タイムを残したスーパールーキー・前田和摩が2区の候補に挙がるなか、並木もエース区間を熱望してきた。
当初、小指徹監督は「1区・並木、2区・前田」というオーダーを想定。昨年3月の日本学生ハーフマラソンで4位に入った並木で上位につけて、前田のポテンシャルを引き出す作戦だった。
しかし、注目の前田は11月末に膝、12月頭に腰の張りを訴えたため、練習ができない状況が続いていた。
一方の並木も箱根予選会の後、扁桃炎で1週間ほど苦しんだ。そのため全日本は4区に回りながら、区間5位と好走。「2区を希望していますが、どうなるかわかりません。何区を任されてもいいような準備をしていきたい」と最後の箱根に向けて仕上げてきた。
「2区は12月半ばくらい言われました。前田が厳しくなって自分になりましたが、1年間、2区の準備をしてきたので、プレッシャーもなく、むしろ出番が回ってきてありがたいと思いました」
並木は3位・城西大と19秒差の11位でスタートを切ると、堂々とした走りを見せる。前半は区間賞を獲得した青学大・黒田朝日(2年)と互角に渡り合い、3位集団でレースを進めた。
権太坂(15.2km地点)の通過は個人タイムが7位。2年前は「権太坂で失速して、そのままズルズル下がってしまうレース」になったが、今回は後半もペースが落ちなかった。
「権太坂の下りでもうまくスピードに乗れて、終盤も耐える走りができた。きつかったですが、2年前の経験を生かして、良い走りができたかなと思います」
並木は1時間7分03秒(区間7位)の好タイムで駆け抜けて、チーム順位を11位から6位に押し上げた。2年前から1分13秒もタイムを更新したことになる。
「あと4秒詰めていれば(1時間)6分台。そこは少しもったいなかったですね」と反省が口をついたが、「当初の目標が67分台だったので、それは十分に達成できました。4年生として、『前田だけじゃない』というところは見せられたのかなと思っています」と笑顔も見せた。
4年生エースとしての意地、母校の誇り、仲間たちの絆、地元の大声援。そのすべてを力に変えての完全燃焼だった。
大学卒業後は小指監督が以前、監督を務めていたSUBARUに入社予定。3000m障害で世界と戦う順大・三浦龍司、箱根5区で2度も区間新記録を打ち立てた城西大・山本唯翔らとチームメイトになる。
「いろいろな実業団チームの話を聞きましたが、自分でメニューを考えることができるのがいいなと思ったんです。自分は故障をしやすいので、自分に合った練習ができるのではと感じました。今後はマラソンで世界を目指していきたいです」
昨年10月のMGCを制して、パリ五輪の男子マラソン代表に内定した先輩・小山直城(Honda)に続き、箱根から世界に羽ばたくつもりだ。

2024年箱根駅伝で2区を疾走した東農大の並木寧音
並木寧音(なみき・ねお:東農大)/2001年12月7日生まれ。神奈川県横浜市出身。東京・東京実高卒。自己ベストは5000m13分51秒74、10000m28分16秒30、ハーフ1時間2分35秒。
文/酒井政人
最終学年で実現したダブルエースのタスキリレー
10年ぶり70回目の出場となった東農大。チームは総合22位に終わったが、往路は“4年生ダブルエース”が気を吐いた。 大学1年時からともにチームを引っ張ってきた1区の高槻芳照と2区の並木寧音。タスキ渡しの瞬間、2人の笑顔が交錯した 先頭から43秒差の11位でつないだ主将の高槻は「テレビ実況で『あきらめなかった4年間、高槻・並木の万感のタスキリレー』と表現してくださったのが、すごくうれしかったです。一生の思い出になります」と言えば、並木も「4年間、2人でチームを引っ張ってきました。いつか高槻とタスキをつなげられたらいいなと思っていたので、それができて良かったです」と喜びを口にした。 チームとして10年ぶりの箱根駅伝出場だが、高槻は1年時に8区で、並木は2年時に2区で関東学生連合チームの一員として箱根路を駆け抜けている。 当時は学生連合の白いタスキをかけたが、今回は母校のタスキが胸に揺れていた。 「これまで苦労してきたぶん、農大のタスキには様々な思いが詰まっていたので、ちょっと違いましたね」と並木はしみじみと振り返る。卒業後はSUBARUへ「マラソンで世界を目指したい」
並木は横浜市出身。コース近くに自宅がある2区は地元ともいえる場所だ。 6月の全日本大学駅伝選考会で10000m28分03秒、箱根駅伝予選会(ハーフマラソン)で1時間1分42秒と、ともにU20日本歴代2位の好タイムを残したスーパールーキー・前田和摩が2区の候補に挙がるなか、並木もエース区間を熱望してきた。 当初、小指徹監督は「1区・並木、2区・前田」というオーダーを想定。昨年3月の日本学生ハーフマラソンで4位に入った並木で上位につけて、前田のポテンシャルを引き出す作戦だった。 しかし、注目の前田は11月末に膝、12月頭に腰の張りを訴えたため、練習ができない状況が続いていた。 一方の並木も箱根予選会の後、扁桃炎で1週間ほど苦しんだ。そのため全日本は4区に回りながら、区間5位と好走。「2区を希望していますが、どうなるかわかりません。何区を任されてもいいような準備をしていきたい」と最後の箱根に向けて仕上げてきた。 「2区は12月半ばくらい言われました。前田が厳しくなって自分になりましたが、1年間、2区の準備をしてきたので、プレッシャーもなく、むしろ出番が回ってきてありがたいと思いました」 並木は3位・城西大と19秒差の11位でスタートを切ると、堂々とした走りを見せる。前半は区間賞を獲得した青学大・黒田朝日(2年)と互角に渡り合い、3位集団でレースを進めた。 権太坂(15.2km地点)の通過は個人タイムが7位。2年前は「権太坂で失速して、そのままズルズル下がってしまうレース」になったが、今回は後半もペースが落ちなかった。 「権太坂の下りでもうまくスピードに乗れて、終盤も耐える走りができた。きつかったですが、2年前の経験を生かして、良い走りができたかなと思います」 並木は1時間7分03秒(区間7位)の好タイムで駆け抜けて、チーム順位を11位から6位に押し上げた。2年前から1分13秒もタイムを更新したことになる。 「あと4秒詰めていれば(1時間)6分台。そこは少しもったいなかったですね」と反省が口をついたが、「当初の目標が67分台だったので、それは十分に達成できました。4年生として、『前田だけじゃない』というところは見せられたのかなと思っています」と笑顔も見せた。 4年生エースとしての意地、母校の誇り、仲間たちの絆、地元の大声援。そのすべてを力に変えての完全燃焼だった。 大学卒業後は小指監督が以前、監督を務めていたSUBARUに入社予定。3000m障害で世界と戦う順大・三浦龍司、箱根5区で2度も区間新記録を打ち立てた城西大・山本唯翔らとチームメイトになる。 「いろいろな実業団チームの話を聞きましたが、自分でメニューを考えることができるのがいいなと思ったんです。自分は故障をしやすいので、自分に合った練習ができるのではと感じました。今後はマラソンで世界を目指していきたいです」 昨年10月のMGCを制して、パリ五輪の男子マラソン代表に内定した先輩・小山直城(Honda)に続き、箱根から世界に羽ばたくつもりだ。 [caption id="attachment_127481" align="alignnone" width="800"]
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